PCケースシャーシ 本塗り

 こちらも大変お待たせしました!パソコンケースのシャーシ部品の塗装、無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。

下地作業自体はかなり前から始めておりまして、本塗りのタイミングが来るまでは一旦寝かしておきました。

素材はスチール(鉄)で、表面には亜鉛メッキが施されていますので、全体を#240のペーパーと粗目のスコッチで足付け処理を行います。

 ちなみにこのスコッチなる物ですが、昔はカットされた物が小さい箱に入っていたのですが、途中からは画像のような大型の箱でさらにロールタイプになりました。ミシン目が入ってるので手で綺麗に千切れます。

スコッチは繊維状の物に研磨粒子が塗布されていて、イメージ的には「やさしい」感じがするのですが、実際はペーパーなどよりも粗い研粒が使われているようで、自動車ガラスの水垢取りなどに使おうとすると信じられないような深い傷が入って取り返しのつかない事態になります(塗装屋さんなら経験があるのではと…)。

 尚、平面部分には極力ダブルアクションサンダーを使います。

 こんな感じで足付け処理を行っていて、脱脂清掃後は一旦仕舞っておきました。

 そしてタイミングが来たら再び出して台にセットして本塗り開始です。

 今回はクリアーを塗らない【激安コース】の仕様での艶消し黒塗装なので、吊るした状態では無く置いて塗ります。

 吊るした方が楽そうに思えるのですが、隅まできっちり塗ろうとするとスプレーガンんからのエアーで揺れてしまいとても難しいのです。

 順番としては、「裏プライマー→表プライマー→表つや消し黒→裏つや消し黒」といったような感じで塗ります(実際の裏面と表面と言う事では無く判り易いようにです)。

 まずはプライマーを塗布します。

 15分程置いて乾燥したら裏返して再度プライマーを塗ります。

 そしてベースコートの黒を塗ります。

 黒には硬化剤を数パーセント添加してあります。

 通常スタンドックスのような2K(コンポーネント)タイプの塗料ではベースコートに硬化剤を入れる必要が無く、ただしこれはラッカーのような溶剤揮発型と言う訳では無く、その上に塗られたクリアーの硬化剤分がベースコートに浸透し2液反応を起こすと言う原理です。なのでベースコートの塗膜が厚くなるとクリアー中の硬化剤が奥まで浸透しきらず、結果硬化不良の不完全な塗膜になるという訳です。DUPONTのセンタリは樹脂がABからXBに変わった事で塗膜が厚くなり易い傾向になり、一時期このトラブルが多発しました。なので多分今のDUPONTでは「最初から硬化剤を入れて下さい」といったアナウンスがあるのではと思います(無いとしたら改善されたのでしょう。多分・・・)。

 STNADOXでも当然そういった事はあり得るので、コート数が多くなりがちな3コートパールなどはやはりベースコートに硬化剤を添加しておきます。ただし先のように理論的に判っていればベースコート全てに添加する必要は無く、最初の数コートさえ入れておけば大丈夫と言う訳です。

 ちなみによくある「クリアーだけがペリペリと剥がれて来た」と言うトラブルですが、これはベースコートを外資系塗料で、クリアーを10:1などの国産塗料で塗ったような場合です。実際私が昔アルバイトに行っていた工場でこれをやっていて、名目は「DUPONTで塗ってます!」と言う事なのですが、クリアーに10%しか入っていない硬化剤がベースコートに届く訳も無く、結果数年経ってクリアーだけが剥がれるという恐ろしい自体になります。もしくは完全に剥がれないまでも「妙に飛び石傷が多い気が…」と言うのはそういう事です。

尚、指触乾燥はしていますがやはり硬化剤が入っている為、そのまま置いておくとくっ付いてしまったり痕が付いたりするので、本塗りを終えたら直ぐに吊るしておき、その後は通常通り熱を入れて硬化させておきます。

11個の部品を裏表共にクリアーまで塗ろうとするとかなりの費用が掛かりますが、こうやって塗ればかなりのコストを下げられますので、今回のように直接触れたり屋外で使ったりするような事が無い物であればお勧めだと思います(ただし艶消しに限ります)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!