トヨタパブリカステアリング補修⑦

 先日までに割れ部分の修理をしていたトヨタパブリカのステアリングです。修理した割れ部分はまだ粗研ぎの段階なので精密なラインが出ていませんが、ここで一旦エポキシプライマーサフェーサーでステアリング全体を覆う事にします。

見た目は悪いですが、ステアリングを回しながら万遍なく塗れるよう台にセットしました。

 エポキシサフェーサーを準備し、さらにそれに入れるガラスパウダーを用意します。ガラスパウダーは硝子繊維を細かく粉砕した物で、パテの補強材、モルタルやコンクリートのひび割れ抑制材として使用されたりします。

エポキシサフェーサーについては以前施工したカーボン製のBMWパニアケースの塗装施工例で紹介していますので、宜しければ以下の記事をご参照下さいませ。強固な三次元網の目構造により、素地の上に結合力の強い被膜を一層作ろうという作戦です。

BMW Carbon Fiber Side Case

 主剤と硬化剤とシンナーを混ぜて作ったエポキシサフェに、先ほどのGP(=ガラスパウダー)を10%添加します。エポキシだけでも強固な被膜が出来ますが、さらに骨材となるガラスパウダーを入れて強度を上げます。イメージとしては極薄膜のFRPといった感じでしょうか。

GPについては以前制作したGMCのアルミホイールキャップの記事で紹介していますので宜しければご参照下さいませ。

GMCホイールキャップ 第一回注型樹脂 完成

 GPを10%添加したエポキシサフェを、ウェットで2コート程ステアリング全体に塗布します。

ちなみに先日ワークショップでお逢いした塗装屋さん方々から、「FRP(この場合はガラスクロス)を貼った方が早いのでは?」といった意見が出ましたが、今回のご依頼ではオーナー様から「握り具合で違和感を感じるのが嫌なので極力オリジナルの太さに」とご指定を頂いているのでそれは出来ないのです。案の定皆さん引いてました。

 一時期W124辺りのメルセデスベンツで、10年くらい経った新車塗膜全体にクラック(もしくはチョーキング)が発生するという事案が多発した事がありましたが(業界では有名な話です)、事故補修とは関係ないそれを、コストを掛けずどうやって直すかと言う事で使われたのがこのエポキシサフェです。暈しパネルにクラックが入っていたらもうどうにもなりませんからね。

 常温で1時間くらい寝かしてエポキシサフェの表面が指触乾燥したら、続けてウレタンサフェーサーをウェットオンウェットで塗布します。

 この後またパテを使ってもう一度サフェを塗るので、今回は膜厚を着け過ぎないよう2~3コート程に留めておきます。

この後一晩以上寝かし、後日熱を掛けたら再びパテ作業となります。

ステアリングと併せてホーンボタンとなるアルミプレートも作業進行していますので、後日そちらも紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!