ロードスターRF シートバックバーベゼル 本塗り

 先日お預りしておりましたマツダ純正ロードスターRF シートバックバーベゼルです。

一緒にお預りしておりますフューエルキャップは先日サフェーサーを入れていますが、こちらは梨地では無く、まるで塗装した状態のように艶々で下地が良い状態なので、足付け処理だけしてそのまま上塗りを行います。通常ではあり得ない出来具合です。

 まず脱脂を行い、#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行います。一見便利そうな密着剤やガスプライマーですが、それだけに頼ってこれをしないと塗装はいずれ剥がれてしまいます。知り合いの塗装屋さんに聞いた話では一部で訴訟問題になっているようで、ただそんな事は最初から判っていたのではと・・・。

足付けは裏に回り込むフチまでしっかりと行います。

 裏はマスキングしませんが、スポンジ部分に塗料が着くと柔軟性が損なわれて脆くなってしまうので(ボロボロになってしまいます)、

 一回り大きいサイズに紙を切ってそれをマスキングテープで覆います。ウレタン系スポンジはテープがくっ付き易いので直接テープを貼ってしまうと剥がす時にボロボロになってしまうので注意が必要です。

 フチまでしっかり塗りたいので、本塗り時にスプレーがし易いよう、固定は隙間を大きく開けた状態にします。以前作製した自作ワニクリップが役に立っていて、ブンブン振り回しても全くグラつきません。

裏側の塗料が飛びそうな個所にはガスプライマーで処理をしておきます。歴史の浅い材料とか、魔法の様な事を言うメーカーの謳い文句はまともに信用せず、あくまでも補助的な使い方が良いですね。私的には「親水性」にする事がメインなので、それだけで考えれば非常に効果的なアイテムです(しかしコストは上がる一方なのですが・・・)。

 その後プラスチックプライマーを塗り、

ベースコートを塗布します。

今回ご指定頂いている塗色はマツダ純正色「スノーフレイクホワイトパール」(カラーコード:34K)で、こちらは「カラーベース→パールベース→クリアー」の3コートパールの塗装となります。

まずはカラーベースの白を塗りますが、配合データ上だとこれは原色の白(MIX570)のみとなっていて、ただし黒の上にいきなり白の原色を塗っても隠蔽し難い為、まずは下色としてある程度隠蔽力のある白(具体的にはVWのキャンディホワイト)を塗ってから指定の白(白原色まま)を塗っています。白は影響力の強い色ですが、隠蔽力はとても弱いのです。

 その後パールベースを塗布します。粗目のホワイトパールとイエローパール、エフェクトホワイト(ソリッドカラーなのに正面が黄色く透かしが青になる白)で構成されています。

カラーベースの白を3コート、パールベースを3コート、ベースコートは合計6コートとなります。比較的厚塗りの部類になるので念の為ハードナーを10%程添加しています(STANDOXは通常ベースコートには硬化剤を入れなくてもOKです)。

 十分に乾燥させた後、クリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは2コート塗っていて、1コート目と 2コート目には乾燥時間(フラッシュオフタイム)として15分くらい時間を空けています。最近のクリアーは1.5コート(ハーフコートの後にフラッシュオフ無しでフルコート)のタイプが多いですが、当店で使っているクリアー(旧イージーorクリスタル)は2回に別けて塗るタイプです。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります(オプションで変更可能です)。

裏に回り込むようにスプレーし、フチまでしっかり塗ります。

こういった内面の垂直壁を、表側からだけで塗ろうとすると、肌が荒れ易い&垂らし易いくなるので、この場合は最初に裏からある程度塗っておくとそういったリスクを回避出来ます。塗装は車の運転と一緒で、技術の上手さを見せるよりも如何に安全且つリスクを減らせるかだと思っています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

それでは一緒にご依頼頂いているフューエルリッドも作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!