エアガンシリンダー調色~本塗り

 先日お預かりしておりましたリボルバーのエアガンシリンダーです。

足付け処理の為に#800~#1300の布状研磨副資材(アシレックスレモン~オレンジ)で研磨してみた所、既存の黒は素材色では無く塗装が施されている事が判りました。素材はグレーっぽい色で、ABS樹脂に金属が練り込まれた物との事です。

ペーパー(布)が入り込まない箇所もあるのでナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨洗浄剤)を併用します。

水で洗い流してみると被塗面が親水性になっているのが判ると思います。塗料の密着性はすこぶる良い状態となります。

 そして調色作業です。

使った原色は一番細かいシルバーメタリック(MIX595)とそれより一段階粗くなったシルバー(MIX594)、黒、オーカー、そしてフリップコントローラー=メタリックアディティブ(MIX008)です。メタリックアディティブは透かしを白くして表面を黒くし、メタリックの粒子感を粗く見せる効果があります。またその副作用として艶が消える効果もあって、トップコートクリアーを塗らない今回の仕様ではそれを利用します。

こちらは色板(塗料を吸い込まない厚紙)に塗料を塗った物で、色自体は同じなのですが、左は原色のみ、右はそれにメタリックアディティブを足したものです。艶具合が変わると見た目が大きく変わるのが判ると思います。

 それらを調整しながら見本のシリンダー(こちらはモデルガン用)の色に合わせていきます。

本塗り時にはこれに硬化剤も入れる為、それによって若干艶が出ますから、最終的には本塗りを行いながら調色もする!と言う、中々のアクロバティックな作業となっています。

プラスチックプライマーを塗り、作った色を塗布します。

塗る時はしっかりウェットに塗り込み、自然に艶が消えていくのを待ちます。

 右が見本としてお預かりしたモデルガン用のシリンダーで、左が今回塗装しているエアーガン用のシリンダーです。

調色はどんなに時間を掛けても同じ色にはならず、掛ける時間によって費用をご案内させて頂く方法となっております。今回はある程度軽めと言う事で1時間分の、より難しい色(ホワイトパールやキャンディーカラー等)の場合は3時間以上のコストが必要になったりします。

ちなみに車(4輪自動車)の場合は配合データが存在している事、また近年では既存の塗膜から色を作れる「測色機」なる物があるので、コストを落とされたい場合はそういった設備を持っているショップさんにお願いするのも一つの手段だと思います。

この後はいつも通り60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!