もう幻のクリアー

standox-2これを使って塗れるなら一財産投げ打ってでも・・・と言うのは大袈裟かも知れませんが、私的には本当に良いクリアーだったと思います。こちらは今は無きSTANDOXの「ラピッドクリアー」で、今も同じ名前で違うクリアーが売られているようですがそれとは全く別物の、当時でも珍しい1リッター単位でのパッケージクリアーです。

値段は確か¥6,000くらいで、通常のクリアーとしてこれは有り得ない値段設定ですが、以前のPRO_Fit(自動車塗装)では外車の保険修理がメインだったので余り材料費の事は気にせず、これはといった仕事ではよくこれを使っていました。その後これが廃盤となりクリスタルクリアーに移行しましたが、無くなる前に買い溜めしておいた物がまだ数十缶残っています。

性能としては全てにおいて郡を抜いていて、ただ作業性と言う面では結構使い難いクリアーですから世間一般的には余り受け入れられなかったのかも知れません。出来上がった塗膜は非常に美しく、また傷が付き難いので長きに渡ってその艶が持続します。ただその反面磨き処理が凄く大変で、多分これのせいで私の上半身は壊れてしまいました。塗装屋がボンネット一枚磨くのに6時間ってあり得ませんよね(苦)。

ちなみにとあるショップのデモカーにこのクリアーを使っていて、車屋さんですから当然目が肥えているのですが、塗ってから(多分)5年くらい経った状態でさらにその凄さに気が付いたようで非常に驚いていました。さらに何かのきっかけでその車両を知り合いの塗装屋さんが塗ったり磨きやさんが磨いたりしたのですが、やはり同じくいつもの塗膜と違う事に驚いていました。

しかしさすがに使用期限と言う物がありますからこれは仕事に使う事は無く、いつか自分の物を塗る時にでも使おう・・・と思っていましたがやはりそんな機会はありませんでした(苦)。ただ良いクリアーと言うのは分子間の結合が強い特性がありますから、だったらという事でいつも遊びで使っているシリコン型に流し込んで使おうと思った次第です。余ったクリアーだとシンナーが入ってしまっていますからそれだと目減りが激しく、流し込んで作った物はみるみる小さくなっていってしまうので、シンナーレスで作ったらそんな使い方が出来るんじゃないかと(あり得無く贅沢な使い方ですが・・・)。

ちなみに先日余った廃クリアーで作ったジョジョの石仮面ですが、やはりと言うかかなり縮んだようで元の物と並べて撮影してみました。

jojo14右がマスターモデルで、それを元に型を作ってクリアーで作った物が左側です。20%くらい縮んだでしょうか。余ったクリアーなのでシンナーも入っていますからそれも大きく関係しています。注形用のレジンでこの収縮は考えられないですよね。

そういえば注形用のクリアーレジンとしてリゴラック2004なる樹脂を検討していたのですが、どうやら設定が一斗缶しかなく、そうなると初期投資が3万円オーバーになるので、遊びとして使うにはちょっと高過ぎるかと・・・。どうせ使う物だから買っておいても良いんじゃ、なんて事も考えなかった訳では無いのですが、如何せんこの手の樹脂は長期保存したら黄変しそうな気がするのでそれが怖いんですよね。そもそもただの塗装屋なので使いきるまでに一体何年掛かるのか・・・といった具合ですし。

または小分けして売り捌くなんて手もあるかも知れませんが、そんな事をやっている時間があるならもっと違う事をしたいですしね。うーん、どうしましょう。

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