HONDAナンバーブラケット 本塗り

honda2こちらもお待たせしております。ホンダの純正ナンバーブラケットですね。無事本塗り完了しておりますので御安心下さいませ。

御依頼品は新品で既にシルバーに塗られた状態です。特に傷などは無いので下地処理は全体に細かい傷を付ける「足付け処理」のみでOKとなります。ただし後ほどちょっとしたトラブルが起きるのですが(HONDAのカラード製品と言う事で塗装屋さんならここで気付きますよね)。

honda3そして本塗り準備完了です。小さめのダンボール箱にガムテープで固定し、箱を左手で持って右手でスプレーするような塗り方で行います。よく脱脂処理をしてエアーブローをしたらいよいよ本塗り開始です。

honda5今回の御依頼は「半艶黒」で承っておりますので、ベースコートの黒を塗ったら続けて「半艶クリアー」を塗ります。ただしこの部品、既存の塗膜が弱かったせいかベースコートの黒を塗った時点で中央付近に「チヂレ」が発生しました。ただ先程も紹介したように「ホンダのカラード製品(塗装済み製品)は要注意」は自動車の塗装をやった事がある人間であればある程度理解(覚悟)しているのでチヂレが酷くなる前に止めてありますから特に大きな問題にはなりませんでした。対処方法としてはウェットコートは極力避け、ミディアムウェット或いはセミドライコートといった感じで溶剤分を多く残さないような塗り方で行います。塗った直後は水平方向からエアーブローを行い溶剤が揮発するのを助けてあげます。ちなみにこの時垂直方向からのエアーブローだと表面だけを乾燥させてしまい塗膜内部に溶剤分が閉じ込められてしまうので塗膜に対して水平方向からのエアーブローが有効です(とDUPONTを使っている時にデモマンの方から教えて頂きました)。

honda4チヂレは酷くなる前に気付いたので特にサンディングなどは行わずそのまま本塗りを終えました。多少跡が残ってもナンバープレートで見えない場所なのでと思っていましたがそれすら解らない程度ですから御安心くださいませ。

恐らく新品時の塗装でも中央付近のナンバーが付くと見えない部分にはしっかりと塗装を行わず、極度にその部分だけ膜厚が薄かった為に今回の塗装よって侵されてしまったのだと思います。ウェットに塗り続けても周りの塗膜は大丈夫だったかも知れませんね。

ただしこういったプラスチック部品で「激しいチヂレ」が起きてしまうと対応が難しいので(シンナーは使えません)、被害を大きくしない事が重要ですかね。

ちなみにちょっと前に御依頼頂いたベンツVクラスの新品フロントグリル(塗装済み品)も同じくチヂレが生じました。日産系のフロントグリルはチヂレは良く起こります。これらはいずれも「既存の塗膜」がその上に塗られる塗料によって侵されてしまう訳ですが、中には素材自体が溶けてしまうような物もあります(主にパソコン外装に使われるABS樹脂)。

こういったちょっと癖がある物も事前に理解しておけば大きなトラブルは避けられます。ただし私も最初の頃はこれらのトラブルに大きく悩まされた事がある訳で、普通ならば「二度とやりたく無い」と言う事になるのですが、逆にそういった事があるので商売的にはチャンスなのだと思います。

某アニメで「我が夫となる者はさらにおぞましき物を見るだろう」と言うセリフがありますが、塗装の世界はまさにそんな感じでして(笑)、それを如何にスマートに仕上げるかに今までの経験が活かせるのだと思います。歳だけを取っていても意味が無いですからね・・・(苦)。

この後時間が経っていくとクリアーは徐々に艶が消え、最後は丁度良い半艶になっていきます。完成までもう少々お待ち下さいませ!