先日サンドブラストを掛けておいたER34スカイラインのヘッドカバーです。一緒にブラストを行ったヘッドカバーの方は結晶塗装で別物なので、先にこちらの下塗りを行う事にしました。
プラスチックパーツ類は綺麗に洗浄し、全体をペーパーで足付け処理をしてあります。
こういったエンジンルーム内に使われるプラスチックパーツは、耐熱性の面からPP(ポリプロピレン)やPA(ポリアミド)など、塗装との相性(密着性)が悪い素材が使われていて、本来であればサンドブラストを掛けて素地を荒らし投錨効果を期待したいところなのですが、今回は結晶塗装では無く「艶有り仕上げ」となっていますので、極力素地の毛羽立ちを抑えるべく、ペーパーでの足付け処理となっています。
ただこういった細かいところにはペーパーが当て難く、プラスチックプライマーだけに頼るのは中々不安な面があります。
という所で使うのがこの火炎処理で、これを素地を炙る事で表面を溶かし、さらに専用のガスボンベ内に入っている成分を被塗面に付着させる事により、足付け処理と同じような効果を得られるという算段です。
ただこれだけに頼ると(足付け処理を何もしないとなると)結局不安要素が出来てしまうので、下地処理自体は今まで通りに行い、それにこれをプラスする使い方にしています。任意保険を二重に掛ける感じですかね(こうやってキリが無くなってしまう訳なのですが・・・)。
そしてプライマーを塗布します。ヘッドカバーは思ったよりも腐食が強かったので重防錆仕様として耐食性の高い浸透型エポキシプライマーとしました。
そして本来であればここでサフェーサーを塗布するのですが、これらの部品全てを研ぐとなると大変な高コストになってしまうので、今回はトップコートを二回分行う「2度塗り」で対応する事にしました。
塗っているのは白に近いグレーで、所謂「1コートソリッド」となります。クリアーに顔料分が入ったような塗料で、仕上がり自体は普通の艶有り塗装と同じです。クリアーと同じく硬化剤も50%入ってます。
パッと見は綺麗に見えますが、プラスチックパーツはやはりペーパーが深く入った箇所には筋状の毛羽立ちがあり(PPはもう仕方がありません)、またアルミ製のヘッドカバーは腐食による侵食で、多少なり表面は凸凹しています。タイミングベルトカバーは部品自体の形がボコボコで、これはもう仕方の無い物と御理解頂ければと思います。
2度塗りで対応するメリットとしては、研ぎの工程を省いて大幅なコストカットを出来る事で、デメリットとしては全体を研げませんからある程度の粗が残ってしまう事、シャープ感が損なわれるといった事があります。
ただ今回の製品はエンジンルーム内のパーツで、鏡のようなシャープ感も必要無いとは思うのでこの方法で十分だと思います。前回行った時もこれと同じ仕様ですし、以前施工したアテンザのフロントグリルなどもこの方法でオーナー様にもご満足頂けていますのでご安心下さいませ。
それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。まずは熱を入れて少し寝かしてからの作業になるかと思います。どうぞもう少々お待ち下さいませ!