インプレッサ 牽引フック サフェ入れ

imp48 インプレッサのフロントグリルやフォグカバーなどと一緒にご依頼を頂いている前後の牽引フックです。大掛かりな下地処理が必要なのはこちらだけなので先に作業を行っておきました。

ちなみに当初はサンドブラストを予定していたのですが、どうやら鋳込み時の梨地がそのまま残っていて、このまま艶々のキャンディーレッドに仕上がっても果たして美しいのかどうか・・・と言う事で作業内容を変更する事にしました。

imp49サンダーで削って見ると梨地だけでは無く面自体が平らで無いのが判ります。

また塗料がしっかりと食いついていませんが、これの理由としてはプライマーが塗っていない事と、これはむしろ幸いだったのですがこの製品にはしっかりと亜鉛メッキが施されていました。

塗装工程においては亜鉛メッキも密着性の点において邪魔になってしまう事もあるのですが、これは本当に良かったです。

imp50 内側の曲面はサンダー系が使えないのでリューターで削ります。

ただし一方向の傷だとプライマーも密着しませんので(シングルサンダーも然りです)、その後縦・斜めに傷を付けておきます。

imp51 アルミと違って鉄なのでダブルアクションサンダー(#80)だけでは刃が立たず、結局ベルトサンダーからの作業となりました。ただ手作業とは違って全然スピードは違いますし、何よりこういった作業は結構楽しいです(笑)。

imp52少し塗料が残っているように見えますがあれが亜鉛メッキ層です。足付け処理がされていれば残ったままプライマーを塗っても全く問題ありません。

ただしポリエステル系(パテ)の場合は注意が必要で、時々板金屋さんが「どうもこのパテはエッジの付きが甘いな・・・」なんて事がありますが、それはパテのせいでは無く亜鉛メッキが原因の場合が多いです。エッジだけでは無くその中も食いついていないので後でブリスターが出たりしますから注意が必要です。

imp53 そして最初にプライマーを塗ります。

世間一般的にはプライマーを塗らずいきなりサフェーサーを塗るケースが多いようですが、亜鉛メッキと同等の防錆効果を期待したい場合はプライマーの塗装も必須です。国産は判りませんが、外資系の塗料マニュアルにはちゃんとそう記されています。

自動車の板金塗装はディーラーの内製工場でも社内外注の下請け作業だと時間優先になりがちで、私の知っている限りではわざわざプライマーを塗ったりはしている塗装屋さんは居なく、また徒弟制度が強く残る業界なので上司(親方)がやっていない事を勝手にやったりするのもタブーですから、中々難しいかも知れません。良かれと思ってやっている事が会社にとって良い事かは別ですからね。

imp54そして最後は2液のウレタンサフェーサーをタップリ塗って完了です。サフェーサー(実際はプライマーサフェーサー)は防錆と言うよりかは防水の役割が大きいです。

塗膜には目に見えないような小さな穴「気孔」があって、クリアーなどの上塗り塗料はこれが結構スカスカです。エポキシ系の樹脂はこれが非常に優秀なのですが、樹脂の特性上「耐侯性が弱い」と言う弱点があるので基本的に下地にしか使えません。ドライカーボンが紫外線でボロボロになるのは繊維だけでは無くエポキシ接着剤との組み合わせで構成されている為ですね。

塗料は「下塗り」「中塗り」「上塗り」それぞれに特徴があって、それらを上手く組み合わせる事によって強固な塗膜を形成する事が出来ます。鉄の塊である車が屋外に放置されていれも簡単に錆が出ないのはそういう事で、自動車補修が「高機能塗装」と呼ばれるのはそういう所以があるからです(と言っても前記したようにちゃんと使わなければ意味が無いのですが)。

それでは作業進行しましたらまた紹介しますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!