スバルエンブレム(枠無:背面赤)本塗り②

先日透過性の赤=レッドキャンディーを塗っておいたスバル純正エンブレムです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

一応状態を確認する為、マスキングテープを剥がしてステンレストレーの上に置いてみます。ここでゴミなどが混入していたら最初からやり直しですし、ヒビが入っていたら部品自体を交換する事となります(いずれも経験済みです)。

問題無ければ表面を#1300相当の布状研磨副資材(アシレックスオレンジ)で研磨し、六連星の部分はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。

出来上がりだけの画像を見て「単に背面の色を変えるだけでどうしてその金額に?」と思う方もいらっしゃると思いますが、このように作業内容を紹介する事でご納得頂けるのではと考えています。

足付け処理が完了したらマスキングを貼り直し、

脱脂清掃をして本塗り準備完了です。

まずは粗目で輝きの強いメタリック=STANDOX MIX598を塗布します。

こちらの原色は非常に隠蔽力が弱いので、1コート塗っただけでは上記画像のように下地が透け透けなのが判るかと思います。

その後3コート程塗り込みましたが、まだ隠蔽していないのが判るかと思います。

恐らくこれ単体で完全隠蔽させるにはウェットで8コート程塗る必要があり、そうなると塗膜限界を超えてしまう為(厚塗りし過ぎ)、そういった場合は別途下色を使う必要があります。

と言う訳で、続けて隠蔽力の高いシルバー=今回はフォルクスワーゲン純正色のリフレックスシルバー(LA7W)を2コート程塗りました。

一般的にはメタリック修理が細かい物が隠蔽力が高く、上記の塗色はこのSTANDOX MIX594が多く配合されている為、下色として使うようにしています。特に別の色や原色そのままでも良いのですが、色々使い勝手が良い塗色と言う事でこれを使うようにしています。

ちなみに通常は先に隠蔽力の高い下色を塗ってから本来の色を塗りますが、今回は反対側から見る事になるのでこの順番が逆になっているという訳です。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

裏側なのでクリアーを塗らなくても良いのかも知れませんが、1液型ベースコートはクリアー中のハードナーが浸透して2液反応する構造になっている為(2 komponent)、耐久性を考えるとクリアーを塗っておく必要があります。

ベースコート単体でも直ぐには問題が起きなかったりしますが、例えばガソリンが沁み込んだり、この後に貼る両面テープの糊に含まれる溶剤分=トルエンやキシレンや酢酸エチルなどによって塗膜が侵されるという可能性もあるので、長期的に良好な塗膜を維持すると考えると、自動車外板を塗るのと同じ塗膜構造にしておくのが良いかと考えます。

この後は再び60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。3コート3ベイクといった感じですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ステップワゴンメッキエンブレム 下準備

先日お預かりしておりましたホンダステップワゴンスパーダの純正メッキエンブレムです。裏側に残っていた両面テープの糊をシリコンオフで除去しておきました。

素地調整を行い、まずはプライマーを塗布します。

尚、エンブレムの固定は裏側に両面テープを2段に三か所貼り、それをワニクリップで掴むようにしています。

プライマーは裏側に回り込むようにしてフチまでしっかり全体を覆うように塗ります。

この後はサーフェサーを塗る方法もあるのですが、

今回はトップコート=グレー色の1コートソリッドカラーを塗る事にしました。

通常使っている塗料とは違い、クリアーに直接顔料(色)が入ったタイプ=スタンドックスVOC 2Kエナメルとなります。原色の黒と白を混ぜ、規定量のハードナー(硬化剤)とシンナーを添加しています。

今回のエンブレムの場合はサイズが小さい事、また研ぎ作業が難しい(素地を露出させてしまう可能性が高い)と言う事で、サフェに比べて肌が荒れにくい方法で行ったという感じです。

ちなみにグレーでは無く直接ご指定の色=ホンダミラノレッドを塗る事も可能なのですが(その場合ベースコートの赤+クリアーでも問題ありません)、今回使ったプライマーの肌目が出てしまっている事、艶引けする可能性があると言う事で一旦隠蔽し易いグレーで完成させ、完全硬化後に改めて足付け処理をして本塗りという方法にしました。

ちなみに当初は、

①「プライマー塗装→サーフェサー塗装→完全硬化→研ぎ作業→本塗り」

②「プライマー塗装→本塗り→完全硬化」

の2通りを想定していたのですが、今回そのどちらでも無く、

③「プライマー塗装→下塗り→完全硬化→足付け作業→本塗り」

という方法にしたという感じです。

いずれも我流という訳では無く、塗料メーカーのマニュアルに沿った方法で(所謂ウェットオンウェット)、これらいずれの方法でも品質(主に塗料間の密着性)は担保された作業内容となっていますのでご安心くださいませ。

ちなみにメッキの上に透過性塗料=キャンディーカラーを塗った「カラーメッキ風塗装」や「ブラックメッキ風塗装」などの方法としては、

④密着剤塗装→本塗り

といった内容で、この場合今回使っているプライマー(黄色味のあるグレー)は使えませんから、経年で密着剤の効果が弱くなるとその上の塗膜がペリペリと剥がれてしまうという事になります。室内ショーケースの中で飾っておくのであればそれでも大丈夫なのですが、常に雨風紫外線下の暴露状態で果たしてその密着剤の効果がいつまで続くのか、といった感じですね

この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、後日足付け処理を行ったらいよいよ本塗りとなります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

カメラパーツ 本塗り

先日調色&艶調整作業を終えていたカメラ用のパーツです。その後溶剤(洗浄用シンナー)に浸け置いて既存の塗膜を剥離しました。

そんなに強い塗膜では無かったようで一日浸け置き&ワイヤーブラシで擦って綺麗に剥がれました。

その後ダブルアクションサンダー#180で研磨して素地調整&足付け処理を行います。アルマイト処理されている場合を想定しての作業ですね。

その後リン酸処理を行います。アルマイト処理されているとこれが効かないので(完全に効かない訳ではないですが効き難い箇所と効く箇所でムラが起きてしまう為)、最初に物理的な研磨をしておいたという訳です。対してこちらは化学的な素地調整=化成処理といった感じですね。

裏側は元々塗装されていなかったので今回も塗料が着かないようにマスキングしておきます。

台にセットし、

よく脱脂清掃を行います。

まずはプライマーを塗布します。

元々塗られていた塗膜は、今回行っている足付け処理・化成処理・プライマー塗装が行われていなかった為に経年でペリペリと剥がれて来てしまっていたのだと思います。

職業訓練学校時代に金属塗装業界の権威のような方が講師として来ていて、金属塗装=工業塗装は「如何にコストを落として量産出来るか」が肝なので、自動車ボディのように下塗り、中塗りは行わず、どうやってそれを省けるか(上塗りのみで済ませるか)に重きを置いているとの事でした。また大抵の場合直すよりも買った方がトータルコストが低いというのも理由の一つなのだそうです。2千円で売っているオーブントースターが壊れて、メーカーに修理をお願いする人はまず居ないですよね(往復送料だけでその金額になってしまいますので…)。

その点自動車は屋外雨ざらしで使う事が前提で、しかもそれで錆が出たりしたら大きな問題ですから、量産品だとしてもかなりしっかりとした塗装が行われているという訳です。身近にある物としては非常に優秀で且つ高級な塗膜なんですよね。

続けてベースコートを塗布します。黒に近いグレーです。

ベースコートのみだと缶スプレー(1液ラッカー系塗料)とさほど変わらないので強度としては低いですから、

最後にクリアー(2液アクリルウレタン型)を塗って本塗り完了となります。お待たせしました!

クリアーは事前にテストしていた内容通り、半艶:艶消し=1:2の割合で、スプレーガンも同じ口径0.5mmを採用しています。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

元々あった見本が無いので(剥がしてしまったので)見比べられませんが、

事前に作っていた艶確認用のピースを見本用の色板として作成しておきました。

良い感じに艶具合を合わせられたと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

カメラパーツ 調色&艶調整

先日お預かりしておりましたカメラパーツです。

今回は調色と、艶調整の作業も承っていますので、塗膜を剥離する前にそれらを行います。

ちなみに艶具合については以前に色見本を作製していて、

まずはこちらを参考にしてスタート地点を決めるようにします。

今回の場合だとこちらの「艶消し」:「半艶」=1:1の混合率の物が近い感じで、これを参考に3種類の艶具合を調整する事にします。

ちなみに上の画像の色見本では、左側の車型の色見本とカメラのパーツを比べると後者の方が艶が無い感じで、その右側のプレートとカメラパーツを比べると後者の方が艶があるように見えますが、「左側と右側の艶具合は同じ」となります。全然違って見えますがこれは「曲面」か「平面」かの違いで、それだけでここまで艶具合が違って見えるのです。不思議ですよね。

と言う訳で、まずは調色作業から始めます。

まずは原色の黒からスタートしてみると、カメラパーツの色はそれよりも白味=グレー寄りなのが判りました。

また艶のない状態のまま見ても色味は判りませんので、艶出し剤=当店の場合はスプレーガンにシリコンオフを入れてスプレーして確認するようにしています。市販の缶スプレータイプの艶出し剤(同じく揮発速度の遅いシリコンオフ)の方が便利なのですが、余り使う機会が無い当店だと中のガスだけ先に無くなってしまうので少々面倒ですがスプレーガンを使うようにしています。

調色には専用のライトを使います。当時10万円くらいで買ったインバータータイプの物ですが、今はLEDとかになっているのでしょうか。

シンナーで希釈した白を数滴ずつ入れてその都度乾燥→艶を出して色味を確認してを繰り返します。

調色が終わったら今度は艶調整の作業となります。といってもこちらは塗りながら艶の具合を変えられる訳ではないので、予め艶具合が変わる配合にしたクリアーを用意し、それぞれを塗って確認する方法となります。本塗り同様の作業なので手間と時間も相応に掛かります。

また艶具合は本塗り時の環境(膜厚等)によっても変わる為、塗装条件もそれに合わせて行います。今回は被塗物が小さいと言う事もあり、肌目が出にくいようスプレーガンタイプのエアーブラシ、IWATA HP-G5(口径0.5mm)を使います。霧が微粒子化されるので肌理の細かい塗り肌を目指します。

最初にあった色見本と同様、曲面と平面それぞれ同じ仕様で塗った物を3種類作成します。

缶スプレーのような1液ラッカーの艶消しクリアーなら塗って直ぐに艶具合が判るのですが、今回のような主剤と硬化剤を混ぜる2液ウレタン系の艶消しクリアーの場合は数時間掛けて艶が消えていくような感じなので、先に条件を決めて本塗り同様に塗装→完全硬化してから艶具合の確認といった方法となります。

また塗って直ぐに熱を掛けたりしても艶具合が変わるので(安定しないので)、とにかく直ぐには艶の確認が出来ないといったもどかしさがあります。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させたら、艶具合を確認する前に予め作成しておいたシールを貼り付けます。

今回は、K9140(半艶):K99150(艶消し)を、

・「1:1」

・「1:1.5」

・「1:2」

の3種類作成しました。

その中で最も近かったのがこちらの「1:2」 =「半艶1:艶消し2」の配合率となります。これにハードナーが重量比で27%、シンナーが18%入ります。

上の画像で見るとやはり左側=曲面の色見本の方が艶があり、右側=平面の方が艶が無いのが判るかと思います。ただしこれらは同じ艶具合です。艶具合どころか色自体も違って見えるのが特徴です(艶が無いと白=グレー寄りに見えます)。

ここまで厳密に管理しても塗り方ひとつで艶具合は変わってしまったりするので、とにかく事前に出来るだけの事をやっておく必要があります。

こちらのデータに未記載な物としては、


・ハードナー:VOC20-25

・シンナー:2K 10-20 18%

・温度:12℃

・湿度:50%


といった感じです。後で書き足しておきますね。

ちなみにここまでやっても艶具合は塗る環境で変わり、例えばベースコートの膜厚や肌によっても影響されるので、実際には「一旦艶あり」で仕上げ、その後再び足付け処理を行って艶消しクリアーだけを塗るのが正解だったりします。小物の塗装で厳密にそこまでは不要かも知れませんが、自動車車体の補修塗装=ベースコートを塗る部分と塗らない部分(暈し箇所)で艶具合が変わってしまう筈なので、以前頂いた自動車塗装屋さんからの質問には「私だったら一旦艶ありで仕上げた後に調整した艶消しクリアーのみで塗ると思います」と回答しておきました。面倒ですが後日また塗る機会があった時には絶対助かると思うんですよね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Z33ブレンボキャリパー塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていた日産Z33用ブレンボキャリパーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はこの様な状態だった物に、

日産KADの艶消し仕様で塗装を施しました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ロゴのサイズは元と同じで、

フロントが80ミリ、

リヤが40ミリとなります。

ロゴの色はSTANDOX MIX571=原色の黒そのままとなります。

今回は塗装とは別にオーバーホールも行いました。尚、サンドブラストとOHにつきましては外部の方への委託作業となります。

部品はお持ち込みで、ブーツ・シール・ブリーダーバルブキャップ(ゴム)を交換し、その他(ピストン等)は再利用しています。

ボルト&ステー取り付け部やガスケット当たり面、パッド固定ピンを通す穴の内側は塗膜の厚みをつけないようプライマー&ベースコートの黒のみを薄膜で塗装しています。

ブレンボを塗る際には一旦全部の塗膜を剥がしてしますが、既存の塗装に問題が無ければ無理に剥がす必要はありません。自動車ボディ=例えばボンネットを塗装する場合、全部剥がしてから塗るなんて事はまずありません。3回の塗装でも上から塗り重ねていくのが通常の方法で、それによって何か問題が起きるという事もありません。問題が起きるとしたら作業の方法自体で何か間違えているという事になります。

ただブレンボキャリパーの場合、元々塗られている塗装(新品時の塗装)に問題があって、よく見受けられるのがベースカラー(今回の場合だとゴールド色)とトップコート(クリアー)との密着性が低く起こる層間剥離で、この場合一部で剥離が起きているだけでも「全て剥がれる可能性がある」という事になるので、こういった場合では全部剥がしてから塗り直す必要があります。キャリパー以外の新車時塗膜では、トヨタのホワイトパールクリスタルシャイン(カラーコード:070)などは新車時から下地と上塗りとの間で密着性が低く、経年でペリペリと剥がれたりするのは有名な話ですよね。なのでブレンボキャリパーの場合はほぼ100%剥離を行ってから塗装を行うようにしています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

 


その後オーナー様から装着後の画像とコメントを頂きましたので紹介します。

こちらがリヤで、

こちらがフロントですね。

「お世話になっております。 キャリパーを装着したのでコメント書かせていただきました。 とても良い塗装の仕上がりで大満足です! ありがとうございました! また何かありましたらご連絡させていただきます!」との事です。こちらこそありがとうございました!