トヨタスマートキー本塗り

去年の暮れに本塗りを終えていたトヨタスマートキーカバーですが、仕上りでどうも気になるところがあったので、オーナー様にご承諾を頂いて再塗装をさせて頂く事となりました。部品をお預かりしてから既に半年以上経っていましたが、そこからさらに2ヶ月費やしているという感じです。お待たせして大変申し訳御座いません。

と言う訳で、先日STIのマスキングシートをレーザー加工機で作成している時にこちらも一緒に作成しておきました。大量に作っているのはワンオブサウザンド方式だからです(仕上りにバラつきが生じる為、その中から一番良い物を使おうと言う方法です)。

 当然ですが下地処理も最初からで、表面張力で盛り上がったフチのクリアーは#1500で平らに削っておき、全体を足付け処理します。

 こちらが気に入らなかった以前塗装したロゴで、パッと見は何が変なのかは判らないと思いますが、メタリックが若干ムラっぽくなっています。輪郭も多少ガタツキがあります(画像で見ると私も判りません)。

 こちらの方が判り易く、真ん中の鍵のマークでベースコートの黒に上に重ねたSPFシルバーがダマ&ムラっぽくなっているのが判ると思います。上下のボタンと比べても少し黒が強いですよね。

 ただしやり直すとなると全ての部品となるので結構大変でした。せめてベースカラーが普通の色なら良かったのですが、今回は3コートホワイトパールと言う事で、この場合は関係の無い部品まで一緒に塗らなければなりません。白の上に重ねるパールは透過性があるので塗り方で色が違ってしまう為、同じ条件で一緒に塗らなければならないのです。

ちなみに色自体は以前使用した塗料を保存していたのでそのままの使用となります(それでも塗り方によって色が変わるのが3コート塗装なのです)。

 ベースコートを塗り終え、十分に乾燥させてテープフリーな状態になったら作業場を二階に移動してマスキングを行います。

 これだけカットしても使える物は極一部で、やはりと言うか今回はマスキング塗装で行うレベルを超えていたっぽいです。サイズが小さい分、気になるレベルがさらに細かくなってしまうと言う…。多分以後やる事はありません(さすがに懲りました)。

 捨て用のマスキングシートを仮貼りし、位置が決まったらガイド役のラインテープをそれに合わせ、さらに水平にして貼ります。

 こちらが26個作成したマスキングシートの内で最も出来の良い物です。と言うかまともに使えるのは3個しかありませんでした。カッティングプロッターと違ってレーザーはやはりセッティングが難しいです。

 尚、今回はベースコート(ホワイトパール)の塗り方にも一工夫しました。

少し前に施工したS-WORKS(自転車フレーム)のロゴ入れがいつも以上に上手くいき、どうしてそうだったのかを色々と検証した結果、ベースコートクリアーの一個手前に硬化剤を数%混ぜた層を加えていたからかも知れない、という事に至りました。すいません、ちょっと難しいと言うかこちらは塗装屋さん向きの説明です。

 今回の場合だと、「白→白→白→白→パール+硬化剤→パール→ベースコートクリアー」といった構成でのベースコートとなっています。最後のベースコートクリアーは保険みたいな感じです(ミストが飛んでも拭き取れます)。

通常ロゴ入れでマスキング作業を行う場合はベースコートには硬化剤を使わないか、もしくはもっと下層で使って表層には影響がない程にするのを(私は)基本としています。例えば私の場合は「白+硬化剤→白+硬化剤→白→白→パール→パール」といった構成です。

 表層の方に硬化剤を含んだベースコートがあるせいで、表層は「半生」の状態となり、その上に塗るロゴの輪郭がよりシャープになる!と言う予想を立てたのです。

ただしこれはデメリットもあって、ベースコートは乾いていると思って実際は乾いていない(硬化していない)為、テープの糊の溶剤分が塗膜を侵してしまい跡が残ったりします(恐らくシルバーでは致命的になるかと)。

 そしていよいよ3コートSPFシルバーです。ミニカーの色見本は色の具合を見る為の物です。

 まずはベースコートの黒を塗ります。

 ちなみに今回近くまで寄って撮れているのはマクロレンズを使っているからで、通常現場では使いませんが今回は細かい作業だったので細部まで撮ってみようと思い持ち込みました。

 下に黒を塗ったらその上にSPFシルバー(STANDOX JML-906)を塗ります。バインダーを4倍入れて(1:4)含有量を調整しています。

 色見本にも同じように塗って塗り加減を確かめています。

 そして全てのベースコートを塗り終えたらクリアーを塗って本塗り完了です。

 完璧とは言えませんが(塗装にそんな物はありません)、今回は何とか許せそうです。毛埃が乗ったりするのが嫌なので、今回は指触乾燥した状態になってから撮影しています。

 ボタンのロゴに関しても前回に比べて断然良くなりました。ただ今回は元々大丈夫だった物もわざわざ塗り直さないといけないと言うのがむしろリスク高となり、精神的に結構厳しかったです。ベースカラーもロゴカラーも3コート塗装と言うのは今後考えないといけませんね。

 こちらも全然関係なかったカバーパネルですが、スイッチだけ塗ると色が変わってしまうので一緒に塗っています。

こちらはサイド部分のボタンですが、やはりカバーパネルとツライチになるので色違い防止の為に一緒に塗っています。尚、非常用(?)スペアキーはツライチでは無いので色違いは到底判らないでしょうから再塗装の必要は無いと思い塗っていません。

これでようやく次の段階に進めそうです。モヤモヤしていた二か月間がようやくスッキリしました。

完成まではもう少しお時間掛かりますがどうぞもう少々お待ちくださいませ!