W211 E63ブレンボキャリパー 本塗り

 先日よりブレーキ屋さんに預けていたメルセデスベンツW211 E63 AMGのブレンボキャリパー一式です。サンドブラスト処理~洗浄~マスキングまでを行って頂きました。

 そのままでも塗れる状態ですが(ブレーキ屋さんから直でのご依頼の場合はそのまま塗ります)、仕上がった時に多少なりとも艶が出るよう表面をダブルアクションサンダー#120と#180手研ぎである程度研磨します。

 ブラケットの方は旧塗膜の剥離はせず、足付け処理のみ行います。スコッチとナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使い、泥汚れも一緒に落とします。

 脱脂清掃後、塗装ブースにセットします。

 今回はキャリパーとブラケットは共締めで車体に固定される為、ボルトは外した状態で塗装します。

 まずはプライマーを塗り、

 塗膜の厚みを着けたく無い個所に、ベースコートの黒を塗布します。

 黒が乾いたらそれらの個所をマスキングします。

 ブレーキパッドを固定するシャフトを通す穴はクリアランスがかなりしっかりしているので、そこを塗装してしまうとシャフトが入らなくなり、組み付ける方が困るそうです。なのでこちらもプライマーとベースコートの黒のみとしておきます。

ブラケットも全体にプライマーを塗り、先に裏側を塗っておきます。

 ブラケットは艶消しの黒で承っておりますので、ベースコートに直接硬化剤を20%程入れてクリアーは塗らない仕様とします(激安コース仕様)。こちらはこの時点でブースから出して恒温器に入れておき、後で一緒に熱を入れます。

 キャリパーの方はまずは下色にピンクを塗り、

 bremboレッドの近似色を塗装し、十分に乾燥させたらロゴを塗装します。

ロゴの作成については以下のページで紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

W211 E63ブレンボキャリパー ロゴデータ作成

 ここまででベースコートが完了です。

 そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 吊るして塗るとどうしてもクリアーが垂れ易いので、最初の1コート目には乾燥硬化の早い硬化剤(具体的にはMS5-25)、2コート目のクリアーには肌(レベリング)が良くなるよう遅い硬化剤(MS15-30)といった使い分けをしています。

 ちなみにクリアーの乾燥硬化速度を変えるには硬化剤の他にシンナーを変える方法もありますが、クリアーの混合率が「主剤:硬化剤:シンナー」=「2:1:0.45)と言う事もあり、シンナーを変えるよりも硬化剤を変えた方が影響力は緩やかで塗り方もコントロールし易いと思います(勿論気温が上がればどちらも上げていいきますが、季節の変わり目で気温の変動が大きい今の時期はシンナーよりも硬化剤を変えた方が断然塗り易いです)。

当店の場合だとクリアー用の硬化剤は3種類、シンナーは3種類を使っています。一つのクリアーで9通りの仕様が選べるという感じですね(実際はそこまでいきなり気温が変わる訳では無いので、毎日の作業ではせいぜい2~3通りです)。

 車体を塗る場合は塗装面積が大きくなり、肌を繋げたり塗装ミストの馴染みを良くする必要がある為、さらに遅いタイプの硬化剤やシンナーが必要となります。

ボルトもプライマー塗装後、キャリパーと同色の赤に塗装しています。穴の中の側面は塗膜の厚みが付かないようクリアーを薄目にしておきました。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!