バイク用ブレンボキャリパー凹み文字塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたバイク用ブレンボキャリパー2個の凹み文字部塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々は別の色(ハードアルマイトのゴールド色)だった物で、それに黒アルマイトを施した状態でした。

ご依頼としては「黒アルマイトはそのまま残し、bremboの凹み文字部だけを白に」という内容で、

ただしアルマイト処理された被塗面にそのまま塗装を行っても塗膜は十分に密着しませんから、

凹み文字部だけをサンドブラストし、

プライマー塗装後、ベースコートの白→トップコート(クリアー塗装)を行いました。

さらに今回は文字周りの傷が多かったという事もあり、上塗りを2回行ってそれらを目立たなくすることにしました。

よく見ると凹み文字のエッジ部(山のライン)が削れているのが判ると思いますが、これによって白もフチがガタガタになってしまい、なのでそれらを極力目立たないよう2度塗りで対応しました。

一般的な考え方からすると「塗料を流し込む」という感じなので比較的安価に出来そうなイメージがありますが、実際はキャリパー全体を塗るより大変ですしリスクも高いので、そもそも受け付けてくれるショップさんが少ないのでは、と思う次第です(対応してくれるところがありましたら是非ご紹介くださいませ)。

各画像はサイズの縮小以外は未加工です(今回の場合など撮影後の画像加工次第でいくらでも綺麗に仕上げられると思いますので)。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂き有難う御座いました!

バイク用ブレンボキャリパー凹み文字 本塗り

先日凹み文字部のみをサンドブラストしておいたバイク用のブレンボキャリパー2個です。その後よく脱脂清掃し、次はいよいよ塗装用のマスキングを行います。

ただそれぞれのキャリパーで微妙のロゴの形が違うのでかなり大変です…。

マスキングの仕方としては、サンドブラストの時よりも0.1~0.2mm程大きくしています。

それでもラインピッタリという訳ではなく、少し食み出るような感じでマスキングしています。色が入らないとマズイし、ピッタリだとバリが出来てガタガタになってしまうからですね。

尚、前回の記事でも紹介しましたが、今回のキャリパーは凹み文字部に元々あった被膜を剥がす為か、何かしら尖った物でその辺りを強く抉った痕が結構あり、こちらのキャリパーでは「r」の部分に特に深い傷がありました。

また他にも気になる箇所が結構あったので、今回は本塗りでは無く「下塗り」として二回に分けて塗る事にしました。通常であればサフェまたはパテを使うところですが、さすがにこの凹み文字の中でそれを行うのは現実的では無いのでこの方法としています。まずはプライマーを塗布します。

もちろんピンポイントをエポキシパテで埋めるという手もあったのですが(ラッカーやポリエステル系のパテはデメリットがあるので使えません)、塗らない箇所(黒アルマイトを残す部分)を傷つける訳にはいきませんから、リスクを抑えつつ仕上がりが良くなる方法としています。

続けてベースコートを塗布します。

色は前回と同様、VW社のキャンディホワイト(カラーコード:LB9A)を使用しています。

深い傷があった箇所は、同色の2Kエナメル=1コートソリッドを使って筆挿しします。クリアーに直接顔料が入ったような感じで、それ単体でも仕上げられる塗料です。トラック等商業車に使われるような塗装ですね。クリアーと同様、ハードナーを添加して使います。自動車ボディならこちらの配合データもあるので、ソリッドカラーなら全部これを使っても出来るのですが、早く出来る以外にメリットがあまり無いので殆ど使う事はありません。

そして最後にクリアーを塗って本塗り(下塗り)完了です。2コート目のクリアーを塗り終わったらすぐにマスキングを剥がします。

今回は先ほどの「r」 の部分以外にも抉った痕があって、

この時点だと埋まって見えないのですが、完全硬化後にそれが目立ったので、もう一度クリアーだけを塗るようにします。

60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、部分的に白を塗り、再度凹み文字部全体にクリアーを塗りました。

画像は既に二度目の熱入れも完了した状態です。丸い部分(bとoの内側)のマスキングも剥がし、それらにはベースカラー(白)が殆どついていないのが判るかと思います。

どうしても抉った部分、特にこちらのキャリパーの 「c」と「m」の上側が目立ちますが、

一度目の塗装の仕上がりより断然よくなったと思います。

念のためこの後もう一度60℃40分程の熱を掛けて硬化させておきます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Mitsubishi Lancer brembo Matt Gray

いつもご贔屓頂いている業者様から御依頼頂いたランサーエボリューション用純正ブレンボキャリパー一式です。

新品時のブレンボキャリパーに塗られている塗料は焼き付け型で、使っている内に色褪せたり(褪色)、クリアー層がペリペリと剥がれてくるのが特徴です(層間剥離)。

自動車の外装パーツ(ドアやボンネット)と違って形が歪な為にサンダー等での作業が難しく、なので一般的な自動車板金塗装店では敬遠されがちな物だったりします。私も車体を塗っていた時は殆ど扱っていませんでした。

ただその後車体から「小物」の塗装専門にシフトし、またその時間借りしていた知人の工場内に、私と同じような形態で作業をしていた方がブレーキキャリパーのOHや販売等を手掛けていて、それの下請け的に大量のブレンボキャリパーを塗らせて貰う事で作業的に慣れ、現在に至っています。

その後間借りしていた工場から今の場所に移り、現在もこれらブレーキキャリパーの下準備についてはその方にお願いしています。こちらのページで詳しく紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

下請け時には先ほどの状態でそのまま塗装を行っていたのですが、現在はそれにサンディングの作業を追加しています。深い傷や打痕、梨地の処理等ですね。

塗装前の脱脂洗浄も2回繰り返すような感じでしっかり行っています。

ちょっと判り難いのですが、こちらは打痕部にエポキシパテを塗っています。

まずは全体にプライマーを塗布します。

膜厚を着けたくない箇所=ボディ固定部やガスケットあたり面、パッド固定用のピンが入る穴の内側等ですね。

続けてベースコートにトヨタ「マットストームグレーメタリック」(D08)を塗布し、bremboのロゴを黒、最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

艶消しクリアーは艶ありの場合と同様、ウェットに2コート塗っています。垂れるとその後の処理(磨き)が出来ないので塗りなおし確定ですが、肌を荒らしてしまうとその後傷が付きやすい塗膜になってしまうので、艶消しでもツルンとした肌にする事でそれを防ぐようにします。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

 その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

さらに数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

装着してしまえば細かい箇所など目立たなくなってしまうのですが、

製品単体の状態でのお渡しとなるとどうしても全体を隈なく見て(見られて)しまうので、そういった点で小物の塗装は同じ塗装屋さんでも嫌がられる傾向にあると思います。まあそもそも車体を塗る為の設備を構えた工場=所謂保険を使った事故修理を主体として作った工場で小物を扱うと採算が合わないという所もありますよね。

私の場合、小学生の頃から小さい物=プラモデルや鉄道模型(Nゲージ)が好きで毎日それらを作っては塗っていたので、それを仕事に出来た現在は毎日が楽しく、非常に幸運だったと思います。

そういった模型塗装の時にはカッティングプロッターやデカール作成、スプレー塗装等の技術が全く無かったので多くのジレンマを抱えていて、その後それらの事を出来るようになったのが楽しくて仕方ありませんでした。自動車のボディなんて絶対ロボットが塗っている!と思っていましたから、それを人の手でやっている姿を見た時の衝撃は今でも忘れられません(まさに動きはロボットのそれだったのでそれも衝撃的だったのですが。笑)。

なので当時の私からすると「艶々」にする事は非常に特別で、それがとても難しい事だと思っていましたが、

実際に塗装を続けていると、むしろ今回のような艶消し・半艶仕上げの方が難しい事に気付かされます。

ただその後、材料=艶消しクリアー自体も進化を遂げていて、昔非常に苦労したDUPONTのAU175に比べると、現在のSTANDOXマットクリアーシステムはとても安定した艶消し仕上げが出来るようになりました。使用されている顔料(恐らくはシリカゲル)が従来の1/15のサイズになったとかで、これによって樹脂中の分散や固形化がされなくなったのだと思います。以前は使う度にしっかり缶の蓋を開け閉めし、底に固まった顔料を攪拌棒で攫っていましたが、これが無くなったのでアジテーターカバーでも使えて作業効率も上がりました(その後検証していて問題無いを確認しています)。

ただ艶消しクリアーは通常のクリアー=5キロ缶に比べて容量が少なくとても割高で、また作業には多くの神経を使うので通常の艶ありよりも割増費用が必要になっています。その点はどうかご理解頂ければ幸いです。

バイク用ブレンボキャリパー凹み文字 下準備

先日お預かりしておりましたバイク用のブレンボキャリパー2点です。

今回ご依頼頂いているのは凹んだ文字部の塗装で、その他の部分は何もしない仕様となります。むしろ全体を塗るよりも難しく手間の掛かる作業となります。

まずはマスキングシートを作成します。文字部にマスキングテープを貼り、鉛筆の芯を擦り付けて輪郭を抽出します。

それを剥がしてスキャナーでPCに読み込みます。

そのままでは精密さに欠けるので、ソフト(Illustrator)を使って細部を修正しながら輪郭線のベクターデータを作成します。

出来上がったデータを使い、カッティングプロッターでマスキングシートをカットします。塗装作業で使用するのは雌型ですが、輪郭線の作成では雄型を実際の被塗物に貼り付けて確認~修正を繰り返します。ちなみにどちらも同じように見えますが、若干形が違うのでそれぞれでデータを作成しています。多分切削加工時のブレかと思います。

データが出来たらキャリパー全体を脱脂清掃し、これから行うサンドブラストの為のマスキングを行います。

ちなみに今回のキャリパーはどうやら既存の文字部の塗膜を剥がす為に、鋭利な物で抉ったような傷が結構あります。今回のように全体を処理(塗装)しない場合はこういった箇所の修正が出来ないので、残った塗膜は無理に剥がさず溶剤に浸けるか剥離剤を使うのがベストですかね。

マスキング用のシートは、最初に仮貼りしたデータより0.3mmサイズを小さくした物を使っています。エッジ(山)のラインより少しはみ出るような感じで、万が一でもブラストが食み出ないようにですね。

尚、通常のマスキングテープ(和紙タイプ)だとサンドブラストをした際に貫通してしまうので、ブラスト箇所にはPP製のマスキングシートorテープやガムテープを使います。

凹み文字の塗装ではこれらの作業が非常に手間で、それ故に塗料を流し込む方法が多く採用されているのだと思います。メーカーとしても1年持てば良いという判断なのでしょうね(実際は半年くらいで浮いてくるようですが…)。

そしていよいよサンドブラストです。通常使っているメディア(砂)は番手が粗いので(#60くらい)、今回は(今回も)#180を単体で使います。

前回は直圧ブラストのタンクに入れて使いましたが、威力的には吸い上げ式でも大丈夫そうだったので、ペットボトルに#180の砂を入れてそこにパイプを差し込む方式にしました。結果からすると全く問題無く、むしろ通常の時もこの方がストレス無く出来そうです。

こちらが作業前で、

こちらがブラスト後となります。

ちなみにサンドブラストを行う理由としては、アルマイト処理された被膜に直接塗装を行っても十分に密着しない為です。アルマイト被膜自体塗料がくっつきにくい性質で、また足付け処理されていない面にも塗料は十分に密着しません。前者の対処方法としてはアルマイト被膜を溶かす薬品等もあるのですが、それこそワンミスで大変な事になるので今回のようなケースでの使用は現実的では無く、また後者にしてはペーパー掛けでも勿論良いのですが、やはりこの形状で周りを傷つけず隅までしっかり処理するのは難しい、という事となります。

砂が中に残っていると無用な傷がついてしまうので、一旦全部マスキングを剥がし清掃しておきます。

この後はさらにサイズを変えたマスキングシートを使い、いよいよ本塗りとなります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルSTIブレンボキャリパー塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗を終えていたスバルSTIブレンボキャリパーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々は鮮やかなイエローが褪色して黄土色っぽくなっていた状態で、これらの塗膜を全部剥離し、

改めてシルバーの塗装を施しました。

シルバーはVWのリフレックスシルバー(LA7W)で、STIのロゴは元のサイズ通りに、色は黒としています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ボディ取り付け部やガスケットあたり面、パッド固定用のシャフトが通る穴等は塗膜厚が付かないようプライマーとベースコートの黒のみの塗装としています。

ブレンボというと赤でのご依頼が多いですが、

シルバーも結構多いです。STIもそうですが、ホンダ系も何度かこの色で施工しています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!