BMW K1200GTサイドカウル修正(移植仮止め)

BMW K1200GT サイドカウル修正(計測)

先日紹介しておりました、BMW K1200GTの全塗装の作業となります。

今回使うのはこちらのグリーン色の右サイドカウルで、

ただし欠損した部分は修復歴がある為、まずはそれらを除去して素の状態に戻します。

元々の修理に使われていた物はウレタンかエポキシ系の接着剤かと思いきや、ドライヤーで炙ると柔らかくなり、ドライバーで抉ると比較的簡単に剥がれてくれました。どうやら熱可塑性の樹脂のようです。

 補修材を剥がした跡には無数の穴が空けられていました。ちょっとかわいそうな感じです。

元々着いていた物は熱可塑性の接着剤(グルーガンの強力なタイプのような感じ)とファイバークロスを併用した物で、2液硬化性の接着剤に比べると脆い気がしますが、手軽さや環境負荷と言う面ではこういった物の方が優れているかも知れません。

ちなみに100円ショップで2液のエポキシ接着剤が売られているのを見かけますが、あれってシンナーとかよりかなりヤバい物だと思うので、本当に大丈夫なのかと時々心配になります。

 表側はサンダーでパテを削り落としました。

 穴に詰まっていたパテと樹脂もドリルで揉んで除去します。これからここを溶かして接着するので、熱に溶けない素材(熱硬化型樹脂で今回の場合はポリパテ)があるのはマズイのです。

 裏側もダブルアクションサンダーで削って綺麗にしました。また接着剤を塗る為の足付け処理として、これを広範囲に行っておきます。

 まずは革一枚(塗膜一枚)で残っていた破片2個を仮止め溶着します。

溶着に使うのは半田ごてとプラスチック製の溶棒で、手前の青い小手はブーストボタンでワット数が変わり温度が上昇するという優れ物です(最近は普通にあるかもですが)。

樹脂を溶かす場合に気を付ける事としては、熱くし過ぎると泡を吹いて強度が落ちる(密度が下がる)事、弱いと溶け込みが甘くなってしまう事で、その辺だけ気を付ければ普通の半田ごてで大丈夫だと思います。

 こんな感じで取り敢えず的に割れた個所を固定しておきました。尚、この時点では強度は無く、部位によっては革一枚と言う感じで、この時点では取り敢えずそれぞれが動かないようにするだけの感じです。

 そしてこちらがドナーとなってくれる白いカウルの方です。修復されている個所は避け、使える部分のみをカットして移植します。

 一応起点を設けてそこから目安をつけ、エアーソーで切り出します。

 同じようにして、グリーン色のカウルの方もカットします。

 ただカットして気が付いたのですが、切り出した白いカウルの方は角にも亀裂が入っていました。

 表側の塗装を剥がしてみると割れた個所にはパテが埋め込まれていました。中々男前な修理で、羨ましい限りです。

 最初に計測した数値を基に、カットした部位を調整しながら仮止めします。

 位置が決まったら軽く溶着します。多少隙間があったのでそこは溶接棒(青い色の部分)を使って充填します。

 再度位置を計測し、大丈夫なようなら表側も軽く溶着します。先程と同様、この時点ではまだ強度は無く、ここから溶接棒を良く溶かし込みながら充填して強度を高めていきます。

他にも割れている個所があるので、その辺もチェックしながら徐々に進めていきたいと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!