インプレッサ シフトカバー シボ部本塗り

 先日お預かりしておりましたスバルインプレッサのシフトカバーパネルです。

 既にペーパーが掛けられていたので、それを均す為に#800の耐水ペーパーで水研ぎを行います。

 その後はパネル全体の足付け処理を行います。シボのシワの谷部分はペーパーだと足が付かない(当たらない)為、スコッチ(繊維に研磨粒子が塗布された3Mの足付け処理用製品)とウォッシュコンパウンド(液体研磨材)を使って処理します。

よく脱脂清掃し、台にセットしたら本塗り開始です。まずは周りのシボ部分からですね。こちらはクリアー(艶消し)を塗らない【激安コース】の仕様となります。

 全体にプラスチックプライマーを塗布し、ベースコートの黒を塗ります。中央部分は後で塗りますがそこも気にせず一緒に塗ってしまいます(むしろドライコートにならないようウェットに塗り込みます)。

 ベースコートの黒はそのままだと若干艶が出たままになります。

通常の艶消し仕上げであればこの上に艶消しクリアーを塗りますが、今回はベースコートだけで終わらせますので少し変則的な方法で艶の調整を行います。

 プラモデルの塗装などでは砂吹き(ドライコート)などを行って艶を調整したりするようですが、その塗り方だと密着性が著しく低下したり、爪でちょっと擦っただけで簡単に傷が付いたりするので自補修(自動車補修塗装)では通常やってはいけない塗り方の一つです。塗料メーカーの講習に行った方なら判ると思いますが、ベースコートはとにかくウェットに塗って!と教わる筈で、シンナーで希釈したりするのも基本的にタブーです。

 こちらは通常メタリック・パールで使うフリップコントローラー(正面と透かしの明度の調整に使う物)ですが、艶消しの効果もあるのでこれを黒に混ぜます。例として、ガンメタにこれを入れると透かしが明るくなって正面が黒くなり、メタリックの立ち方が変わって若干ギラツキ感が増します。各塗料メーカーに設定があり、普通によく使われている原色の一つです。

 原色の黒に10%程入れ、硬化剤も10%程入れています。

 通常STANDOXはベースコートに硬化剤(本来はハードナーと呼びます)は不要ですが、クリアーを塗らない場合は直接ベースコートに入れて塗膜の強度を高める(と言うか2液ウレタン反応を起こす)事が出来ます。ストラクチャー塗装を行う場合と同じですね(本来ハードナーは20%混合ですがそれだと艶が出過ぎるので10%に留めています)。

 ただしハードナーを添加しているとこのままマスキングをする事が出来ませんから(テープの跡が残ってしまいます)、一旦ここで熱を入れて硬化させておきます。

外資系の多くはベースコートが1液タイプですが、それはラッカーと言う訳では無く、クリアーの硬化剤分が浸透して2液反応を起こすという仕組みです。ですので自家塗装などでラッカー缶スプレーで色を塗った後に2液ウレタンを塗るのは実はNGだったりしまして、まあでもその辺は趣味の範囲と言う事で問題は無いのかと思います。

この後は周りのシボ部分をマスキングし、中央を艶あり黒で塗装します。またゴムパッドが貼ってあった個所も艶消し黒ですが、ここはいつものように一旦艶あり黒で一緒に塗ってしまい、最後にそこだけまた艶消し黒で塗るようにします(その方が見切りのラインが綺麗に段差無く仕上りますので)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!