セリカXX 1G-GEUヘッドカバー色確認

先日お預かりして色の確認をしておいたトヨタセリカXXのヘッドカバーです。

その後アルカリ洗浄槽の浸け置きで一回目の洗浄を終えたので、改めて文字の青色の確認をする事にしました。

使用するのはRM社の色見本帳で、ただ当店で使用している塗料はSTANDOXですから、ここから色を見つけても配合データは得られなく、ただその後知り合いの塗装屋さんから測色機(画像右下)を譲って頂いたので、今回はこれを使って色見本から測色してしまおう!という作戦です。ちなみに測色機もメーカー毎に違っていて(ハードは恐らく同じ物を使いまわしソフトを各社専用にしていると思われます)、しかもお値段は100万円くらいはしますから、かなり特殊と言うか贅沢な使い方をしていると思います。

RM社の色見本=Colormasterのシステムの良い点としては、「青」といったら青系だけの色見本を纏めている所にあります。通常自動車補修塗装用の色見本は「自動車メーカー」毎に別けられているのが普通で、RM社の色見本にはこの概念が無く、PANTONEや日本塗料工業会のような色相毎での色見本の使い方が出来るのです。

・・・が!そんな中でも同じような色味の見本は見つからず、だったらという事で、色相はズレていても明度・彩度(濁り)が似たような色を選び、

それを測色してSTANDOXの配合データを得て、その中に使われている「赤味の強い青」を、「黄色味の青」への比率を多くする事で対応する事にしました。塗装屋さんなら判ると思いますが、色味(色相)を変えるより濁り具合を変える方が案外難しかったりしますよね。例えば「ピンク」を作る場合、もう少し色を淡くしようと思って白を足すと「明度」が上がり「彩度」は落ちます。逆に赤味を強くしようと思うと彩度が上がり明度が落ちるという全体のバランスが変わる事になる為、調色作業はそう単純な事では無いのです。

と言うような感じで、「塗装」と一括りに言っても覚えなくてはならない細かい仕事が沢山あり、それでいて業界全体の賃金が低い傾向にあるので人材不足は早い段階から顕著に表れ、このままではマズイ!と言う事で、誰でも比較的簡単に塗装の仕事が出来るようにこういった測色機の様な物が登場したのだと思います。

ちなみに今回の色は厳密な調色作業をする訳ではありませんので、後日本塗りの際に配合データから一部の原色の比率を変え、出来た色と選んだ見本とを見比べて簡易的に色の調整を行います(非調色でこの場合は無料)。なのでヘッドカバーは剥離作業を行うべく、この後溶剤槽に浸け置きをします。残った油汚れもここでさらに洗浄する算段です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!