NISSAN SKYLINE GT-R Eengine Cover

s2095年前くらいに施工したKPGC10型スカイラインGT-RのS20ヘッドカバーです(一緒に写っているカブのは今回は関係がありません)。結晶塗装では無く、「艶々で」といったご依頼になっています。

ヘッドカバーで結晶結晶じゃないのは珍しいのですが、とある方面からは何故か人気が絶大で、私的な見解としては恐らくもう他にやるところが無いのでは・・・(完全にレストアをやりきってしまった)と思っています。

s208既に塗られていた結晶塗装は新車時の物では無くその後再塗装された塗膜だと思うのですが、プライマー(金属用)が塗られていなかったので経年でペリペリと剥がれてしまいます。そこを新車時の塗装に忠実に再現とかする必要は無いと思うのですが。

s20結晶塗装の利点としては「鋳造のような粗い素地でもそのまま塗るだけで美しく見える!」と言う事があって、今回のような通常の塗装の場合は素地の粗さが余計に目立ってしまいますから、下地処理はいつもの通り「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程を踏みます。

サフェーサーは通常通り2液ウレタンで、画像のようにかなりタップリ塗っていますから、この形でこれを全面平滑に、且つ研ぎスジを付けない様にと言うとどれくらい大変なのかは塗装屋さんなら判ると思います。

s206サフェ研ぎで素地のアルミが露出してしまっている箇所もあるので、再び全体にプライマーを塗ります。

s205後で凸部を研磨した時に、断面にプライマーの白(明るいグレー)が見えてしまうのは気持ちが悪いので、色を塗る前に予め面研しておきます。

s204そして全体にベースコート(赤)を塗ったら再び凸部の面研をします。通常はタブーですが、この時はこの上に(アルミ素地の上に)そのままクリアーを塗るので、面研はいつも通り番手を細かく仕上げておきます。

s203そしてクリアー塗装です。使っている材料は通常の2液ウレタンで、「ヘッドカバーなのに耐熱塗料じゃなくて大丈夫なの?」と思うかも知れませんが、ヘッドカバーであれば問題ありません。

稀に、塗膜に熱を掛けた時に塗装が浮いてしまった!と言う事がありますが、それの原因は大抵がポリパテです。それ以外では中に水分が残っていたとか(水分が気化する時の膨張で塗膜が膨れます=ブリスター)何かしらの原因があって塗料のせいではありません。まずは自分の作業内容を疑いましょう(勿論経験済みです)。

s202と言う感じで完成です。

s201お納めした後に綺麗でびっくりされる事があるのですが、しっかりサフェーサーを塗っていればこれくらいは普通に仕上がります。大抵の場合はサフェを研ぐのが面倒でそこを省いてしまいますから、艶が引けたような仕上がりになるのです。これを磨く事は出来ませんから誤魔化しが効かないんですよね。

s20実は近々同じ様な内容のご依頼が来る予定で、久しぶりなので作業内容の予習復習にと以前の施工例を見ていました。

費用は通常行っている結晶塗装の倍くらいになりますので、余り需要は無いのが現状でしょうか・・・。