MITSUBISHI LANCER Engine Cover

三菱ランサーエボリューションのマグネシウムヘッドカバーです。いつもご贔屓頂いている業者さんからのご依頼となります。

最初は中古品のヘッドカバーを送って頂いたのですが、マグネシウム素材の場合塗装が剥がれ、その下に腐食が発生し、またそれによって素材が浸食されている為に単に塗膜を剥がすだけでは無く、専門店による強力な直圧サンドブラスト、耐食性の高い浸透型エポキシプライマーの使用、さらには浸食された跡をサフェーサー塗布→研磨で整えなくてはならなく、それだけで10万円以上の費用が必要となります。

ですので今回は新たに新品部品を用意して頂きました。

全体を足付け処理した後、プライマーを塗布します。

今回は「明るい赤メタリック」をご希望でしたので、マツダソウルレッド風で塗装を施します。

まずアンダーカラーはソウルレッドプレミアムメタリック(カラーコード:41V)を使用し、

その上に当店規定のキャンディーレッドを重ねます。こちらはベースコートです。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

ランエボマグネシウムヘッドカバーは元々似たような色で、ただしそちらは2コートキャンディーレッドで比較的暗い色味、艶も引けたような仕上がりとなっています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

そして完成です。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ブルー系だとパールだけでも鮮やかで明るい色味が可能なのですが、

赤系のメタリックパールはどうしても「濁り」が出てしまう為、今回のような発色の良い赤メタリックを再現するにはキャンディー塗装での施工が必要となります。

凸文字はベースコート塗装後に研磨して金属素地を露出→クリアーを一緒に塗る仕様もありますが、その場合どうしても腐食がし易いのでマグネシウムヘッドカバーの場合は余りお勧めしておりません(ただ格好良いのでそれを犠牲にしても構わない!という事であればお受付は勿論可能です)。

その他凸文字自体を削り落としてしまう!という事も可能です。

この度も当店をご利用頂きありがとうございました!

SENNHEISER Microphone EW500 

先日お預かりしておりましたSENNHEISER EW 500 G4-935-JBワイヤレスマイクです。その後完成してオーナー様にお納めしていますので、改めて作業内容を纏め、施工事例のページに追加しておきます。

各パーツは#800相当の布状研磨副資材で足付け処理しています。

よく脱脂清掃したらまずは下塗りにSTANDOX MIX891を塗布します。粒子は中目、正面が最も明るく透かしが最も暗いシルバーメタリックです。

続けてキャンディーブルーとキャンディーバイオレットを混ぜた物を塗り重ねていきます。

膜厚によって色が変わってしまいますので、全体が均一になるよう塗り重ねていきます。

ちょっと判り難いのですが、見本として頂いた画像をiPadで見ながら色味を調整しています。左がご希望の色味の画像(iPad)で、右が今回塗っているマイクです。

ここまでが着色=ベースコートで、

最後にトップコート=クリアーを塗って完了です。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

今回はこちらのアンテナ部分の塗装もご依頼頂きました。ただしここを塗ると電波の通りが悪くなる可能性がありますので、もしご懸念の場合にはお控え頂ければと思います(マイクメーカーの方曰く、東京ドームや武道館等の大きなホールで使う場合は塗装はNG、ZEPPくらいの規模なら問題ないだろうとの事でした)。

また今回は色見本キーホルダーの塗装もご依頼頂いています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

そして完成です。こちらはストロボを使った撮影となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります(彩度を高くしたりコントラストを上げて塗装が綺麗に見えるようにしたりはしていません)。

今回は青味寄りのバイオレットのキャンディーカラーとなります。

組付けた際、パーツ毎の色がブレないよう注意して塗装をしています(ただしくっつけた状態だと固着してしまう為、ピッタリ一回転した位置で塗っています)。

こちらは自然光での撮影となります。

マイク下部のところは稼働するようになっていて、ここを塗装してしまうと動かした際に塗装が剥がれてしまう可能性があるのですが、そちらをご了承頂ければお受付も可能です。

色見本キーホルダーの制作は塗装のご依頼を頂いた方のみ対応となっております。

その後こちらのマイクが実際に使われている画像を見つけましたのでそちらも紹介させて頂きます。

車のパーツ等もそうですが、塗装した物が実際に使われている姿を見れるのは嬉しいですね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

SENNHEISER SKM835 Wireless Microphone

先日お預かりしておりましたゼンハイザーSKM835-XSWワイヤレスマイクです。

既に完成してオーナー様にも発送していますので、施工事例として纏めて紹介をさせて頂きます。

マイクボディにはグレーメタリックの塗装が施されているので、こちらは#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行っています。

マイクのグリルは艶消し黒(クリアー塗装無し)の塗装が施されていて、この形状だとペーパーや布状研磨副資材(アシレックスレモン)では網の隙間に届かないので、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って足付け処理をしています。

マイクとグリルの間に挟まるプラスチック製のスペーサーは樹脂素地の状態で、こちらも#800で足付け処理をしていますが、素材が不明で不安な所もありますので(削った感じではPP=ポリプロピレンと考えています)、

念のためガスプライマーを使った火炎処理も行っておきます。

ガスプライマーについては以下の記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

→>Mazda Diesel Fuel Cap

色については当初はお貸出しした色見本帳からお好みの色を選んで頂いていて、そこから原色のバイオレットの含有量を増やすよう(赤味を出すよう)承っておりましたが、その後参考画像を送って頂きまして、そちらにイメージを合わせる事となりました。

使用した原色を撮影するのを忘れてしまったので、後々の為に以下に記載しておきます。


・MIX598 ブルー(彩度のある標準的な青)

・MIX566 パープル(青味のある赤)

・MIX569 バイオレット(赤味のある青)

・MIX845 サテンブルーパール(粗めのブルーパール)

・MIX821 アメジストパール(バイオレットパール)

・MIX598 ブリリアントシルバー(最も粒子が大きいメタリック)

・MIX811 シルバーダラーコース(輝きの強い中目メタリック)


深みを残したかったので黒や白系は入れず、それ故に隠ぺい力が弱いので下色を使った3コート塗装とする事にしました。

左の色見本が最初に選んで頂いた色で、それに比べて赤味(バイオレット)が強くなっているのが判るかと思います。また色見本に比べると深みがありますが、今回はこの上にガラスフレークを重ねるので、それを想定してメタリックは少なめにしておきました。

まずは下色として、隠ぺい力の高い適当なブルー系メタリックを塗装します。具体的にはVW社のシャドーブルーメタリック(カラーコード:LD5Q )を塗って下地の黒を完全隠蔽させます。

その後今回作ったベースカラーを塗布します。

ちょっと判り難いのですが、先ほどのブルーの上にガラスフレーク=「PP304」を重ねました。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

よく見ると青系のキラキラした物(ブルーパール)と赤系のキラキラした色(アメジストパール)があるのが判るかと思います。

さらにその上に白く膜を張ったような物がガラスフレークで、ブース内の蛍光灯ではそんなに目立ちませんが、一点からの光=太陽光やスポットライトでこれが煌めきます。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

そして完成です。

スポットライト下だとガラスフレークが煌めくのが判ります。 この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

Mitsubishi Lancer brembo Matt Gray

いつもご贔屓頂いている業者様から御依頼頂いたランサーエボリューション用純正ブレンボキャリパー一式です。

新品時のブレンボキャリパーに塗られている塗料は焼き付け型で、使っている内に色褪せたり(褪色)、クリアー層がペリペリと剥がれてくるのが特徴です(層間剥離)。

自動車の外装パーツ(ドアやボンネット)と違って形が歪な為にサンダー等での作業が難しく、なので一般的な自動車板金塗装店では敬遠されがちな物だったりします。私も車体を塗っていた時は殆ど扱っていませんでした。

ただその後車体から「小物」の塗装専門にシフトし、またその時間借りしていた知人の工場内に、私と同じような形態で作業をしていた方がブレーキキャリパーのOHや販売等を手掛けていて、それの下請け的に大量のブレンボキャリパーを塗らせて貰う事で作業的に慣れ、現在に至っています。

その後間借りしていた工場から今の場所に移り、現在もこれらブレーキキャリパーの下準備についてはその方にお願いしています。こちらのページで詳しく紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

下請け時には先ほどの状態でそのまま塗装を行っていたのですが、現在はそれにサンディングの作業を追加しています。深い傷や打痕、梨地の処理等ですね。

塗装前の脱脂洗浄も2回繰り返すような感じでしっかり行っています。

ちょっと判り難いのですが、こちらは打痕部にエポキシパテを塗っています。

まずは全体にプライマーを塗布します。

膜厚を着けたくない箇所=ボディ固定部やガスケットあたり面、パッド固定用のピンが入る穴の内側等ですね。

続けてベースコートにトヨタ「マットストームグレーメタリック」(D08)を塗布し、bremboのロゴを黒、最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

艶消しクリアーは艶ありの場合と同様、ウェットに2コート塗っています。垂れるとその後の処理(磨き)が出来ないので塗りなおし確定ですが、肌を荒らしてしまうとその後傷が付きやすい塗膜になってしまうので、艶消しでもツルンとした肌にする事でそれを防ぐようにします。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

 その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

さらに数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

装着してしまえば細かい箇所など目立たなくなってしまうのですが、

製品単体の状態でのお渡しとなるとどうしても全体を隈なく見て(見られて)しまうので、そういった点で小物の塗装は同じ塗装屋さんでも嫌がられる傾向にあると思います。まあそもそも車体を塗る為の設備を構えた工場=所謂保険を使った事故修理を主体として作った工場で小物を扱うと採算が合わないという所もありますよね。

私の場合、小学生の頃から小さい物=プラモデルや鉄道模型(Nゲージ)が好きで毎日それらを作っては塗っていたので、それを仕事に出来た現在は毎日が楽しく、非常に幸運だったと思います。

そういった模型塗装の時にはカッティングプロッターやデカール作成、スプレー塗装等の技術が全く無かったので多くのジレンマを抱えていて、その後それらの事を出来るようになったのが楽しくて仕方ありませんでした。自動車のボディなんて絶対ロボットが塗っている!と思っていましたから、それを人の手でやっている姿を見た時の衝撃は今でも忘れられません(まさに動きはロボットのそれだったのでそれも衝撃的だったのですが。笑)。

なので当時の私からすると「艶々」にする事は非常に特別で、それがとても難しい事だと思っていましたが、

実際に塗装を続けていると、むしろ今回のような艶消し・半艶仕上げの方が難しい事に気付かされます。

ただその後、材料=艶消しクリアー自体も進化を遂げていて、昔非常に苦労したDUPONTのAU175に比べると、現在のSTANDOXマットクリアーシステムはとても安定した艶消し仕上げが出来るようになりました。使用されている顔料(恐らくはシリカゲル)が従来の1/15のサイズになったとかで、これによって樹脂中の分散や固形化がされなくなったのだと思います。以前は使う度にしっかり缶の蓋を開け閉めし、底に固まった顔料を攪拌棒で攫っていましたが、これが無くなったのでアジテーターカバーでも使えて作業効率も上がりました(その後検証していて問題無いを確認しています)。

ただ艶消しクリアーは通常のクリアー=5キロ缶に比べて容量が少なくとても割高で、また作業には多くの神経を使うので通常の艶ありよりも割増費用が必要になっています。その点はどうかご理解頂ければ幸いです。

SHURE SM58&Drumstick

先日お預かりしておりましたシュアSM58ボーカルマイクとPearlドラムスティックです。その後完成してお納めしていて、改めて施工事例として作業内容を纏めて紹介します。

マイクはいつものように足付け処理をして塗る準備を済ませ、

ドラムスティックについては固定箇所の関係から2回に別けて塗装を行ないます。こちらは#320→#800で足付け処理を行っています。元々プリントされていた「Pearl」等のロゴは削れて無くなっています。

マイクとグリルはいつものようにベースコートを塗布します。色はブガッティ・ヴェイロン「ティファニー・エディション」に採用されたTIFFANY GREEN(カラーコード:V603)となります。「ティファニーブルー」の名称は商標権があるみたいですが、自動車のボディカラーに設定された色を塗るのは何ら問題ありませんから、これを教えて頂いた塗装屋さんには感謝です!

ドラムスティックの方はある程度の所で暈すようにして一旦芯棒から取り外し、

よく乾燥させた後、最初に塗った先端部をマスキングします。色は塗っていますがここはクリアーを塗らず、この後の塗装で固定部として使う為ですね(どの道スティック先端は使えば塗装が剥がれてしまうので)。

また今回はロゴ入れも承っていますので、そちらの準備もします(当然ですが先にやっておきました)。

デカールにまず少しサイズを大きくした白(特色ホワイト)を印刷し、続けてマゼンタを印刷します。フチを白くする感じですね。

その後工場の二階に場所を移し、

デカールを貼り付けます。

その後よく乾燥させます。

マイクの方もSHUREのデカールを貼りました。

デカールはシールと違ってそれ自体では強度がないので、必ずトップコート=クリアーを塗る必要があります。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

そしてこちらのドラムスティックはつや消しクリアーとなります。

艶ありと同様ウェットで2コート塗りますが、こちらは徐々に艶が消えていきます。

艶が消えた状態です。

今回ドラムスティックを艶消しにした理由としては「木目」を目立たなくする為で、もしこれが艶あり仕上げの場合は別途サーフェサーやパテ等でこれを埋める作業が必要となり、かなりコストが上がってしまいます(塗装費と同等かそれ以上となります)。

今回はこれを艶消しとする事で木目を目立たなくし、またクリアーを塗っていない箇所との境界を目立たなくしました。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はこのような状態だった物に、

マイク本体をティファニーグリーンに、

ロゴをピンクで施工しました。

こちらは自然光での撮影となります。

ドラムスティックは元々は木製の未塗装無垢素材だった物に、

同じくティファニーグリーンの艶消しクリアー塗装仕上げとしました。

かなり華やかな組み合わせになるかと思います。

その後オーナー様より「本日、マイクとドラムスティックを受け取りました。想像以上の出来映えで、御社へ塗装を依頼して本当に良かったと思っております。」とのお言葉も頂戴しました。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!