YAMAHA TRX850 タンク板金

trx こちらもお待たせしております。外装一式の色変えオールペンで承っておりますTRX850も作業着手しておりますので御安心下さいませ。

上の画像はお預かり時のフェーエルタンクで、側面に大きな凹みがあります。ただし当方は現在は塗装専門なので今回は知人の板金屋さんに御願いする筈だったのですが、色々な理由があり結局私自ら行う事となりました。一応以前は板金もやっていたので作業については安心して頂いて大丈夫かと思います。ただし道具は持っていないので、今回はその知人に工具一式を借りる事となりました。

trx1 ガソリンタンクの様な部品は大抵は内側からのアクセスが出来ないので外側から引っ張り出す事となります。素材は鉄なので、同じ鉄製の何かを溶接でくっ付けてそれを引っ張ると言うやり方になりますが、これはスタッド溶接機なる専用の工具があるので想像するよりかなり簡単に出来ます。まあ単に引っ張れば良いという訳ではありませんが・・・。

trx2こんな感じで凹んだ箇所にワッシャーなどを溶接しそれを引き出します。

板金は単純に考えると「凹んだ箇所を引っ張る」と思いがちですが、金属は凹んだ分その周りが高くなるのが普通なので、単にガンガン引っ張り出すと言う訳では無く、「引っ張りながら叩いて元に戻す」と言う事が基本となります。今回の場合は両足でタンクを押さえつけ、ワッシャーで固定した凹み部分を左手で引っ張りながら右手で周りの出っ張った部分を叩いてあげます。スライディングハンマーでガンガン引っ張ると言うよりはハンマリングした時の振動でジワジワと出してくるような感じで、要は極力これ以上鉄板を伸ばさないようにして凹みを元に戻してあげるようにしてあげます。

trx3 そしてこんな感じで終了です。今回は作業着手まで時間がありましたので十分に乾燥させて内部のガソリンを除去しておきましたから火を使っても無事事無きを得ました。

実は職業訓練学校の時、同じクラスの友人からガソリンタンクの穴の補修を頼まれまして、溶接でそれを埋めようとしたらちょっとした小爆発(!)が起きました。タンク内は水で満たしてありましたが若干残っていたガソリンが気化してわずかな空間に引火性ガスとして残っていたようなのです。ガソリンタンクの周りには4~5人の生徒が集まって見ていましたから火柱が上がって破裂音がした時には皆後ろにひっくり返っていました。まあこれは爆風では無く単にビックリして転がっただけなんですけどね。それ以来ガソリンタンクの修理はかなり気をつけています。

trx4 溶接跡を削ったら続けてパテ作業となるのですが、今回は旧塗膜の状態が悪いと言うことで先にある程度の塗膜を削り落としてプライマー&サフェーサーを塗布する事にしました。塗装メーカーのマニュアル上はこちらが正解ですので気にしないで大丈夫です。ただしこれをやると通常は採算が取れないので先にパテを塗るのが一般的です。エポキシパテを使うのであれば先に塗るのがベターですけどね。またはエポキシプライマーならば今度はそちらが先になります。どちらも普通は使われていないと思いますが・・・。

trx5そしてサフェーサー塗布まで完了です。これで一旦熱を掛けて完全硬化させたらパテ作業となりますが、他のパーツも全てこういった下地処理(補修)があるので続きは並行して作業するようになるかと思います。ちなみにこちらはパテが終わったらまた全体的にサフェーサーを塗りなおします。

普通こんな事をしていれば採算が取れないと言うかいつまで経っても仕事が進みませんから、勤め人であれば会社の不利益になるので上から怒られて当然です。自分のやりたいようにやりたかったらそれが出来る環境は自分で作るしか無い、といった所ですかね。または自分の理想的な事をやらせて貰える会社に勤めるかですが、そんな会社は中々無い訳でして・・・結局また自分でやる事になりました。精神的な事よりも体力的に辛い方がまだ全然楽ですからね。どうも最近はブルーカラーが見直されているみたいですが判る気がします。現場の片隅でネチネチやっている方が全然楽ですよ(笑)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。次からはABS樹脂の溶接(溶着)がメインになるかと思います。そちらは予想以上にひどい事になっているのでまだちょっと時間は掛かると思いますが何卒御容赦下さいませ・・・!