TRX850 アッパーカウル修正

trx6 昨日に続けてTRX850の作業を進行させています。こうなると他の作業は中々進まなくなってしまいますが、何とかキリの良い所まではやって行きたいと思いますので何卒ご理解頂ければ幸いです。

こちらは先程紹介したガソリンタンクと同じ車両のアッパーカウルで、正直こちらの方が性質が悪いです。ガソリンタンクとは違う人間が作業しているように見受けられますがどっちもどっちと言う感じです。まあある程度の覚悟はしていましたが・・・(疲)。

まずは現状の悪い箇所に印を付けます。普段は油性マジックなどは絶対に使わないのですが(塗装面にこれを使うとニジミなる大きな問題を発生します)、作業していて消えたらマズイので今回は特別です。ちなみに普段こういった場合のマーキングではクレヨン系の白を使っています(板金塗装屋さんと保険屋さんなら必ず持っているアレです)。

trx9修正が必要な箇所としては、転倒などで付いた傷や割れでは無く、それを修正した箇所を修正するのが今回のメインとなります。何を言っているのか良く判りませんね・・・続きます。

trx12まずは問題が起きているであろう箇所の塗装を剥がしていきます。こちらはタンクとは違ってちゃんと足付け処理はされていますから「塗装がペリペリと剥がれる」という事は無いのですが、塗膜の下からは凄く厚塗りされたポリパテやらステッカー(!)が出て来たりしています。

trx7 特にひどいのが割れた箇所の修理方法で、どの箇所もポリエステル系のFRPとポリパテで埋められている為か直した箇所全てで問題が発生していました。作業内容からしてプロの仕事であるのは確実なのですが、昭和のバイクと言う訳でも無いのですからもう少し何かやりよう(良い材料やその使い方)があったのでは・・・と思う次第です。

とにかく悪い箇所は全部剥がし、割れた隙間に残ったカスはカッターやピックツールで掻き出します。この後の作業で不純物が残っているとマズイんですよ。

trx10割れた箇所は半田ごてで一旦溶かして再接着します。イメージとしてはアルミの溶接を樹脂(プラスチック)で行っているような感じですかね。割れた箇所をV字型に解かしては移動して隣に盛ってを繰り返します。PP(ポリプロピレン)などでは難しいですが(私には出来ませんでした)、ABSなら溶着は比較的簡単です。

trx8 使うのは半田ごてとカウルと同じ素材であるABS樹脂です。欠けた箇所にはABS板をカットしてそれを裏当てしてさらに何枚かを重ねて厚みを確保しています。

trx11最後は掘った部分に新たに樹脂を足しつつ埋めていきます。

気をつける事としては、一度高温になって溶けたABS樹脂は体積が増えるように膨らんで、その分「密度」が小さくなっていますから強度は落ちている筈です。なのでその分裏側に沢山盛っておくとか、「ガラスクロス+接着材」などで補強しておく事が宜しいかと思います。今回は元々裏側に貼ってあったガラスクロスがそのまま利用出来る箇所はそのままで、その他はやはり盛って体積を増やして強度を高めています。

この後、溶着した箇所をサンダーで削り落としたらパテでラインを形成、そして全体にサフェーサーの塗布となります。まだまだ先は長いですが集中して作業しているので比較的進行具合は早く出来ていると思います。

どうぞもう少々お待ち下さいませ!