新旧ヘッドカバー 完成画像

lancia3 ちょっと前に業者さんからご依頼頂いたランサーヘッドカバーの完成画像があったので紹介させて頂きます。こちらは比較的最近のヘッドカバーですが、同じ様な内容の艶有り塗装でもかなり古いヘッドカバーもご依頼頂きましたので一緒に紹介させて頂きますね。

lancia4 ヘッドカバーの塗り替えは結晶塗装が多いですが、今回のように艶有りの仕上げも可能です。ただし結晶塗装に比べ下地処理がシビアになりますからこちらの方が費用が高くなるケースが多いです。そもそも結晶塗装は鋳造製品の素地の悪さをそのままでも綺麗に見せる為に採用された塗装ですから当然といえば当然ですけどね。

lancia5 ヘッドカバーに使う塗料は通常の2液ウレタン塗料です。よく「耐熱塗装で」とご希望されたりしますが塗装屋としてはその意味と言うか必要性は良く判りません。剥がれる事を懸念するとしたらそれは塗料の問題では無く下地に問題がある場合が殆どだからです。新車の時から塗られている塗装は焼付け型塗装ですが(「耐熱」では無く「焼付け型」です)、10年くらいすると塗装がペリペリと剥がれるのは大抵はプライマーが塗っていない事が原因です。罪の無い材料が濡れ衣を着せられるのはちょっと可愛そうですので、責めるのであれば使用方法を間違えたメーカーの方かと・・・。ただRB26エンジンのヘッドカバーはちゃんとプライマーが塗ってあるので勝手に剥がれたりはしないですよね。どなたかが頑張ってくれたのだと思います。FJは駄目でしたが・・・。

lancia6 そしてこちらはかなり古いランチアのヘッドカバーです。元々腐食が出ていてボロボロの状態でしたが、「直圧サンドブラスト→エポキシプライマー→プライマーサフェーサー→研ぎ」で下地を作り直したので研き無しでも艶々に仕上げられました。まあこんな形ではポリッシャーが引っかかって直ぐに下地が出てしまいますので普通は研きませんよね。

lancia7こういった部品は恐らく最後までゴミ(スクラップ)になる事は無く、同じように「レストア」といった作業は私的に好きです。ただそれを「車体」でやろうとすると正直商売としては中々難しいと思います。見た目だけを綺麗にするなら何とかなるにしても、鉄板の合わせ目や溶接などで熱を入れた箇所の裏側や袋状になったピラーやサイドシェルの内側などまで気にすると終わりが見えなくなってしまいます。やればやる程そういった箇所が気になってしまうので、到底「見て下さい」「ベストを尽くしました」なんて言えなくなってしまうのです。

対してこういった部品単体の物であれば完璧は無いにしてもある程度の理想にまでは近づける事は出来ます。実はこのパーツは馬の置物と同時期での作業だったので、それと一緒に一旦九州まで移動して(勿論発送で)直圧ブラストを浴びて戻って来ています。車体でそれはさすがに難しいですが、単品部品であればそんな事も現実的な費用内で可能になるので、自分で言うのも何ですがお陰で今は比較的満足出来る仕事が出来ていると思います。有り難い限りですよ・・・。