自転車アルミフレーム 下準備

giant4 溶剤槽に浸け置きしておいた(多分)GIANTのアルミフレームです。旧塗膜が綺麗に剥がれましたので素地調整~凹み部分のパテ補修を行います。まずは全体を#120のダブルアクションサンダーで研磨します。

giant5 凹みもそうですが若干腐食も出ています。サンドブラストでも良いですが浅く広範囲な腐食のようなので今回は燐酸処理+浸透型エポキシプライマーでの対応にする事にしました。

giant6 燐酸処理はパテを塗る前に行います。パテをやった後にこれを行うと、パテ自体は大丈夫なのですがパテの際部分のアルミ素地を溶かしてしまい(と言う表現が正しいかどうか判りませんが)際部分のパテは剥がれてしまうのです。ちなみに燐酸は金属にしか通用(反応)しませんので塗装等がされていても殆ど無力です。

giant7 そしてよく乾かしたらパテを塗り削ってラインを整えます。

giant8 パテを塗った箇所以外にも結構な数の浅い凹みがあるのですが後はサフェーサーの塗布~研ぎで整えられる範囲なのでこの辺で良しとしました。結構活躍して来られたフレームのようですね。

giant9 最初は耐食性の高い浸透形エポキシプライマーを薄めに2コート程度塗布します。サフェーサーに比べ若干艶があるのが判ると思います。2液型のエポキシなので厚塗りもOKですが、エポキシ特有の「分子間の結合が強く切削性がとても悪い」と言う事もあってこれを研ぐのはとにかく大変ですので、ウェットオンウェットで続けてこの上に2液ウレタンサフェーサーを塗布します。下手に焼くと密着しなく大変な事になりますので(再度足付け処理が必要です)、この時期なら自然乾燥で30分くらいが丁度良いと思います。イメージとしては「半生+半生=溶解し合って結合」みたいな感じですかね。多分分子同士でも組み合っていると思いますがその辺は専門では無いので物理的なテスト(JISのクロスカット法)でのみ確認しています。

ちなみにエポキシの弱点としては「耐候性が悪い」と言う特徴があるのでこのまま屋外で使うとボロボロになってしまいます。上塗り系の塗料は耐候性が良いのでこの上にそれを塗ればOKなのですが、顔料の隙間が生じ易い粗めのメタリックなどでは粒子間を紫外線が透過して下層のエポキシ塗膜を崩壊させてしまう、と言うケースもあります。なので直接下塗りに上塗りを塗る場合は一旦グレーなど隠蔽性の高い顔料を塗るのがお勧めですかね。尚、今回はウレタンサフェーサーを塗るのでその辺を考える必要はありません。

giant10そしてサフェーサーを塗布します。肌を荒らすと研ぐのが面倒なのでパテが入っているところなど膜厚をしっかり充填させたい箇所を最初に4コート行い、今度はそれを希釈して全体に3コート程度塗ります。

違う種類の塗料を未硬化の状態で塗り重ねる「ウェットオンウェット」は上手く使うと非常に効果的で、これは新車の塗装でも採用されています。昔は7コート7ベイクなんて塗装毎に毎回焼くなんて非効率な事をしていたみたいですが近年は環境の事を考えて効率良くやっているようです。ただそれだと途中の「中研ぎ」が出来ないので新車肌がやたら汚い、と言うデメリットもあるみたいですけどね。先日掲示板でも話題になったマツダの「ソーラーレッド」についてちょっと調べてみたら、恐らくそういった弊害の為かボディの肌は凄く粗いか、または磨き倒してツルツルになっている様です。もう、言わんこっちゃ無い、みたいな(笑)。

それではサフェーサーが完全硬化しましたら全体を研ぎ、あと色も作らないとですね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!