スズキブルバードフロントカウル 下塗り

bluebird先日よりお預かりしておりましたスズキのブルバード(BOULEVARD)です。作業着手しておりますのでご安心下さいませ。

boule 元々塗られていた塗装はキャンディーカラーだったのは判っていたのですが、いざペーパーで足付け処理をしてみると削った粉が赤い…。どうやらクリアーに直接赤を入れた「2コートキャンディー」だった模様です。当店で施工するキャンディーカラーは「3コートキャンディー」が基本ですっかり最後に塗られているのは透明なクリアーだと思い込んでいました。

ちなみに2コートキャンディーのデメリットは勿論耐候性で、メリットはコストです。バイクの新車塗膜では結構普通の事なので油断していました。

このまま塗っても大丈夫なのかも知れませんが、念の為一応対応策を行ってから本塗りにする事にしました。

boule1 問題なのは「ブリード」、いわゆる「ニジミ」と呼ばれるトラブルで、染料を使ったキャンディーカラーの上に色を塗ると下の色(今回は赤)が上に浮いて来ます。

身近なものでは油性マジックや金属製品へのゴム印などに使われる不滅インキ(TAT)で、塗装屋さんなら判ると思いますが、その上に色を塗っても延々文字が浮き出て来ます。上に塗られた塗料にインクが侵されて塗料中に溶け込んだり塗膜中の微細な気孔を通って表面上に現れる現象です。

ただし対応策が無い訳では無く、さらに念の為にテストピースを作ってから作業を進めることにしました。

サフェーサーが塗られたスチール製の色板にマジックで模様を描き、板の半分に「ニジミ止めシーラー」を塗布します。尚、製品自体はSTANDOX製では無いので掲載は控えさせて頂きます(秘密と言う訳では無く調べれば普通に売っているのが見つかります。それでもと言う方はメール頂ければご案内致します)。

boule2 手前半分にニジミ止めシーラーを塗り、中央より奥側はインクの上にそのまま色を塗っています。

尚使用した塗料はSTANDOX 2Kエナメルのグレーです。所謂「1コートソリッド」と呼ばれる塗料で、クリアーと同じく主剤:硬化剤=2:1で硬化する塗料です(念の為ですが当店はMSハードナーなので2:1です)。

手前のニジミ止めシーラーを塗った部分は下に描いた黒い線が全く見えなくなっていて、奥は線が見えるのが判ると思います。ちなみに3コート塗って完全隠蔽はしています。

boule3と言う事でこちらも一旦下にニジミ止めシーラーを塗り、同じように2Kエナメルのグレーを塗ってとりあえず「下塗り」としました。これで一旦熱を掛けて完全硬化させ、その後改めて本塗りを行う予定です。

ちなみに使うのは2液ウレタンサフェーサーでもOKで、ただその場合かなりしっかりとした研ぎ作業が必要となる為、今回は想定していなかった作業としてコストを抑えるべくこの方法jにしています。

または「ノンサンディングサフェ」と言う手も無い訳では無いのですが、あれを塗ってそのまま上塗りって私的にちょっと無理があると思っていて(苦笑)、勿論何度も使ったことはありますが、塗り肌と艶引けが私的に嫌いなので在庫はしていますが今後使う予定は無いと思います。

しかも一旦固まると信じられないくらい固いので、研ぎ前提としても使う気になれないんですよね(日本のユーザー向けでは無いだけで、もしかしたら海外では人気があるのかも知れません)。

と言う事で少し遠回りとなりますが作業は進行しておりますのでどうぞご安心下さいませ!