①に続きます。
サフェーサーが完全硬化したら全体にガイドコートを行い、小さいアクリル板にペーパーを貼ってアルミ素地のザラザラとした梨地を平滑に研ぎ出します。
最初は#320で始め、最終は#800で均します。
まず下塗りとして適当な白で下塗りとしました。クリアーも塗り、一旦ここで熱を掛けて完全硬化させます。
下塗りとした白を足付け処理します。この時点では下地のラインは出ているので、特にコシの強いペーパーは使わず、布状の足付け処理用副資材やナイロンブラシ、ウォッシュコンパウンドなどを使います。
まずはベースカラーのALPINE WHITEⅢを塗布します。
最初の状態を確認しながらマスキングのラインを決めていきます。
それぞれ配合データから作製した色を用意します。尚一部の色はブレが強かったので少し修正しています。
色を塗る順番としては、隠ぺい力の弱い方から強い方へと塗り重ねていきます。
しっかりマスキングをしたつもりでも若干浮いてしまう箇所がありますので、そういった箇所を修正していきます。
こういった塗装はフリーハンドで絵を描くような塗装と違い、極力人間の手で行ったような痕跡を残さないよう、機械的な仕上がりを目指します。
周りをマスキングし、最後の凸部面研を行います。最終は#800です。
金属を研いだ場合、酸化した黒い粉がベースコートの白に付着して取れなくなってしまう事もあるので、そういった箇所は再びベースコートを塗り直します。凸部はさらに面研します。
エアーブローとタッククロスを使って最終チェックを行い、一部のマスキングを貼り直します。
今回は面研して露出したアルミ素地にもクリアーを塗るので、その箇所には密着剤を塗っておきます。
ラインが曲がって見えるのは形状自体が平滑では無い部分で、真上から垂直に見ると全てのラインは真っすぐ見えるようになっています。
凸部は塗装後にさらに削り出してアルミ素地を露出させる方法もありますが、今回は腐食の発生を遅らせる為に一緒にクリアーを塗っています。
艶が出ると判り易いのですが、凸文字の周りはフライス加工で一段溝が深く彫られています。
わざとなのかは分かりませんが、これも各工程で少々厄介でした。
今回は一度に極端に膜厚を付ける事は避けている為、最初の状態にあったようなクラックが発生することも無いと思います。
これをまさか人の手で行ったとは判らないような仕上がりを目指しました(基本的にはどのご依頼もそう考えて行っています)。
出来上がったこちら製品は仲介人の方を経て海外に居るオーナー様に届けられまして、仕上がりに感動して頂けたようで直接電話でお礼のご連絡も頂きました(ただやはり言語の違いがありますので、片言ながら日本語が出来る友人の方を介してと言う形でした)。
後になって支払い方法をどうすれば!と思ったのですが、そちらも仲介人の方から日本円でお振込み頂きました。
ちなみに結晶塗装については時々海外の方からお問合せがあるのですが(特にUAEが多いです)、やはりその場合も日本国内に在住の日本語が出来る仲介人の方が要る場合に限らせて頂いております。
サージタンクに続きます。