190ベンツヘッドカバー結晶塗装 本塗り

 こちらは先ほど紹介したロードスターとコスワースのヘッドカバーと一緒にご依頼頂いた190ベンツのヘッドカバーです。

ただしこの部品は他のアルミ製と違ってマグネシウム分が多く(?)非常に腐食し易い&再発し易い為、他の部品とは下地処理作業が大きく異なります。

 コスワースのヘッドカバーは軽めのサンドブラストなので当店で作業しましたが、こちらはいつもお世話になっているブラスト屋さんにて強力な直圧ブラストにて作業して頂きました。旧塗膜は勿論、酸化した腐食も根こそぎ削り落として貰っています。

 素地がささくれたリして凸凹している箇所はダブルアクションサンダー#80で均し、全体をシンナーで洗い流すようにして脱脂洗浄をしてあります。

 ちなみにウッカリしていたのですが、今回のヘッドカバーはどうやら文字の部分がプレート貼付けになっていたようです。通常の凸文字は本体と一体で、しかも「2.5-16」ですよね。

 プライマーは耐蝕性がすこぶる高い浸透型エポキシプライマーを使用し、先ほどのプレートの隙間や腐食してささくれた巣穴などに筆を使って奥まで流し込みます。

この後一旦100℃くらいの熱を掛け、続けて結晶塗装を行います。

 素地がガタガタなので艶が出ると非常に汚く見えますが、結晶塗装ではこういった粗を目立たなくしてくれる効果がある為、鋳造製品などのヘッドカバーに採用されるようになりました(多分)。

 マグネシウムは肉が薄いので熱の周りも早く、うっかりしていると180℃を超えてしまったりもするので少し遠めに焼くようにしています。

熱を入れている際、プレートの隙間に残った空気が膨張して大きな膨れが発生したりしますので(塗装屋さんなら判りますよね)、これの対応策としては傍に立って針を使って(実際はスピナール)虱潰しに潰していきます。膨れて破裂すると跡が残りますが、出来始めの時に潰してあげれば塗装屋さんが見ても判らない程に抑えられます。難点としては赤外線で目をやられます(苦)。

いつもはこの後恒温機でまとめて熱を入れますが、今回は上手くローテーションを行ってどれも140℃30分以上の熱を掛けられたので一度焼きのみでOKです。この後凸部を研磨して素地を光らせ、クリアーを筆で塗ってさらにそれが硬化したら完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!