スバルサンバーヘッドカバー塗装 完成

先日本塗りを終えていたスバルサンバーのアルミ製ヘッドカバーです。

凸部を研磨してアルミ地を光らせました。

最初は手研ぎで始めたのですが結構凸凹していたので#120ダブルアクションサンダーでやり直し、改めて手研ぎ#120→#180→#240→#320→#400→#500→#800で仕上げています。

アルミ地そのままの方が綺麗だし金属感があって良いのですが、そのままだと腐食の進行が早いのでクリアーを筆で塗っておきます。

その後60℃40分程の熱を掛けたら完成です。お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々は未塗装のアルミ地剥き出しの状態だった物に、

青の結晶塗装を施しました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

初期の頃は完成時の画像は3枚程度だったのですが、

ネットオークション等で売られている「塗装済み品」 が多く出回った事もあり、

ちゃんと全体を撮影するようにしました。

またフォトショップやスマホでも画像(動画含む)の加工が簡単に出来てしまうので、「サイズの縮小以外は未加工」と明記するようにしました。ただ使っているカメラ(NIKON D200)が古い為にISOが250まで、シャッタースピードは1/20~1/40となってしまうので手ぶれが生じてしまい、なので枚数を沢山撮ってその中から使える物を選ぶようにしています。

今回は新品だったのでホースパイプ部のメッキも綺麗に残っていたのですが、亜鉛メッキは余り長持ちしないので(大体ここが錆びているので)、プライマーとベースコートの黒を塗っておきました。

ボルト穴周りの箇所は漏れ防止の為に結晶塗装は塗らず、ホースパイプ部と同じようにプライマーとベースコートの黒を塗っています。

ちかくで見ると単なるザラザラでは無く、チヂレ模様がしっかり出ているのが判るかと思います。

今回使っている塗料=焼付リンターが廃盤になった事で当店でも結晶塗装の受付を停止しますが、今後遜色ない代替品が出るようであれば再開する可能性も無くはありません。

当面は残っている塗料を趣味に使い、それが無くなって(使用期限が切れて)代替品を使ってみる機会がありましたら、改めて検証&紹介しようと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

スバルサンバーヘッドカバー 本塗り

  先日お預かりしておりましたスバルサンバーのアルミ製ヘッドカバーです。

新品ですが全体に油膜が着いている場合が多いので、全体をシンナーで洗い流すようにして脱脂処理を行います。ちなみに方法としては、剥離時に使う溶剤槽の上にヘッドカバーを吊るし、スプレーガンに入れたシンナーで上から下までゆっくりスプレー、その後上下をひっくり返してもう一度行います。ネジ穴の中などに油が残っていてもこれでしっかり除去出来ます。

その後全体の表面にあるバリを削っておきます。オルゴールのピンのような小さな突起ですね。

その後リン酸処理を行い、よく乾燥させたらマスキングを行います。ボルト穴周りはそのままマスキングでも良いのですが、一応プライマーを塗っておくようこの時点ではそこは養生はしません。

今回本塗り前のテストとして使うパーツです。色見本キーホルダーの制作に使う背板の部分ですね。

まずはプライマーを塗り、

結晶塗装にしたくない箇所にベースコートの黒を薄膜で塗ります。

新品なのでホースパイプ部はマスキングして残しても良かったのですが、この部分に使われているメッキは薄い為に経年で錆が出やすく、なので一緒にプライマーを塗っています。黒くするのは単に意匠の問題ですね(グレーのままだと格好悪いので)。

ベースコートの黒が乾いたらマスキングを行います。

まずは事前にテスト塗装を行いました。それぞれコート数を変え、結晶目が良さそうな方を参考に本番に挑みます。

テスト塗装で行った感覚を参考に、全体が同じ膜厚になるよう意識しながらスプレーをして本塗り完了です。お待たせしました!

本塗りの前にテスト塗装を行うとそれだけ手間と時間が掛かるのですが、

これのお陰で失敗率が格段に下がりました。

上手く結晶目が出ない場合はこの時点で直ぐに溶剤槽に入れて一からやり直すのですが、精神的に非常によくないので(かなり凹みます)、数年前から今回のように事前のテスト塗装を行うようにしました。

ただ大量生産では無く一品塗装だけでこれを行うとかなり効率が悪いので、今回結晶塗装用の原料(焼付リンター)が廃盤になったのをきっかけに当店も受付を停止する事にしました。社員が何人も居て損益分岐点を考えないといけない状況ならここで粉黛塗装等を導入して新規開拓をしたりする必要があると思うのですが、そもそも利益を追求したくて今の小物塗装を始めた訳ではないので、多少採算が合わなくても楽しく出来る事を優先して続けていこうと思った次第です。

既に120℃30分程の熱を掛けていますが(規定は120℃20分)、後日もう一度二度焼きを行ってから凸部を研磨しようと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ヤリス用エアフィルター遮熱板塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたヤリス用のアルミ製エアフィルター用遮熱板2枚の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々黒アルマイトの上に艶消し黒塗装が施されていた物に、

黒の結晶塗装を施しました。

裏表それぞれ同じように仕上げています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

先ほどの状態からそれぞれをひっくり返しました。

こちらのパネルは元々この面のみ結晶塗装の予定でしたが、

固定方法を工夫する事で裏表共に一緒に塗れるよう対応しました。

尚、前回の記事でも紹介しましたが、当店で使用している結晶塗装用の塗料(焼付リンター)が廃盤となってしまいましたので、それをもって当店での結晶塗装のお受付も終了とさせて頂いております。幸いにして赤については少し前に新品を購入していたので余分が多少あり、こちらであればもう少しお受付は可能です。

結晶塗装がまだメジャーでは無かった頃、懇意にして頂いているオートサプライヤーさん(塗料屋さん)から色々と教えて頂き、某GT-RショップのRBエンジンパーツ一式を塗装したのが今から20年前の事でした。

最初の頃はいつも行っている塗装(自動車ボディの塗装)に比べると「塗って熱を入れれば勝手に模様が出てくる簡単な塗装」と思っていた結晶塗装ですが、やればやるほど奥が深く、仕上がり感が「塗って焼いてみないとどうなるのか判らない」という事もあり、その後は超絶難しい塗装の一つとなりました。一時期は3回塗っては1回塗り直すという非常に採算の合わない業務となっていたのです。

その後本塗りを行う前に「結晶目を確認する為のテスト塗装」を行う事で成功率はかなり高まりましたが、毎回2回分の塗装(2ベイク)を行う事になったのでやはり採算が合わない所もあり、辞め時を考えていたところで今回の廃盤ですから、まあ丁度良い機会だったのだとも思っています。

塗装した物を毎回撮影して掲載するというのはかなりのプレッシャー(難易度)ではありましたが、お陰様でここまでの結晶目を安定して出せるようになり、とても勉強になったと思っています(一度メーカーの技術担当の方にも相談をさせて頂きまいて、その際はお忙しい中有難う御座いました)。

一応仮組みをした感じでも撮影をしてみました。

恐らくはこのような感じで(向きで)エンジンルーム内に装着されるのだと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂きまして誠に有難う御座いました!

エアフィルター用遮熱板 本塗り

先日下準備を行っていたヤリス用のアルミ製エアフィルター用遮熱板2枚です。

元々黒かったのですがそちらの塗膜は剥離し、現状は黒アルマイトが残った状態となります。全体は#120で研磨足付け作業→リン酸処理を行っています。

まずはプライマーを塗布します。

吊るして塗る事も出来ますが、スプレーのし易さと全体の肌(膜厚)を均一に出来るよう、地面に対して水平の状態で塗装を行うようにしています。

ひっくり返して裏側も塗ります。

また結晶目の確認の為、事前にテストピース=今回は趣味で作っている色見本キーホルダーのパーツを塗ります。素材はアクリル樹脂なのでプラスチックプライマーを塗っています。

画像だと一枚ですがこれを2つ、それぞれコート数(膜厚)を変えて塗っていて、実際に熱を入れて結晶目を確認します。

問題無い事を確認したら、理想の仕上がりに近い方を参考に本番に挑んでいます。通常の艶あり仕上げと違って「熱を入れて初めて仕上がりが判る」というような塗装なので、本塗り前のシュミレーションは重要な作業となります。

そして本塗り完了です。お待たせしました!

ヘッドカバーのように凸凹している場合はある程度誤魔化しが効きますが、今回のようにフラットな面だと粗が非常に目立つので、全体が均一な膜厚になるようかなり意識して塗っています。塗装中は心拍数が異常に高くなっているのが判るので、いつか塗り終わった直後に心筋梗塞で倒れて誰にも発見されないまま死んでしまうのでは・・・と思っていたりします(なのでいずれスマートウォッチを購入しようかと)。

その後120℃程の熱を掛けて塗膜を硬化(熱重合)させます。

良い感じに結晶目が出てくれたと思います。

業者さんからのご依頼ではこちらの日記で紹介する事は無いのですが、先日お納めした新規でご依頼頂いたショップさんからのヘッドカバー結晶塗装では「すばらしい仕上がりですね。お客様に画像見せたところ驚いてました」とのお言葉も頂戴しました。

ちなみに上手く結晶目が出てくれなかった場合には、このまま溶剤槽に着けて塗膜を全て洗い流して一からやり直します。塗った直後(焼き付けた直後)なら比較的簡単に剥がせるのでそれが一番手っ取り早いです。精神的には相当やられますが…。

ちなみに今回は裏と表という概念がありませんので、両面どちらも美しい結晶目に仕上がるにようにしています。これがどれだけ大変か塗装屋さんなら判って頂けるかと…。

この面は元々結晶塗装にはせず「艶消し黒」とする予定でしたが、

メインのこちら側と同様、両面共しっかりとした結晶目に仕上がっているかと思います。

この後はもう一度恒温器で二度焼きを行いましたら改めて完成の紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

エアフィルター用遮熱板 下準備

先日お預かりしておりましたヤリス用のアルミ製エアフィルター用遮熱板2枚です。

まずは表面に塗ってあった艶消し黒を削ろうと#120のダブルアクションサンダーを当てたのですが、中々下地が出て来なく、どうもおかしいと思ったらこちらの製品は黒アルマイト(恐らく硬質タイプ)が施されている物でした。通常アルマイト処理をしたらそのままだと思うのですが、恐らくは質感の向上の為に黒く染めた上にさらに艶消し黒を塗っているのだと思います。かなりしっかりした製品のようですね。

尚、無理にアルマイト被膜を削り落とす必要は無く、全体を#120で研磨してしっかり足付け処理をしておきました。

塗装する前に念のためそれぞれの部品が組み合わさる状態を確認しておきました。

つばが外側になるようです。なのでこの部分もしっかり結晶目を出すようにしないとですね。この後リン酸処理を行います。

尚、今回右側の部品は片面のみ結晶塗装の予定でしたが、固定方法を工夫する事で、当初オーナー様がご希望されていたように両面塗れるようにしました。以前セドリックのグリルメッシュネットを塗った時と同じ方法で、被塗物より一回り大きいフレームを作ってそこに細い針金で全方向から固定して宙に浮かせたような感じですね。

通常であれば被塗物の穴をS字フックで引っかけてそのまま塗るのが一般的ですが、それだとスプレーガンからのエアーでふらついたり、しっかり手で持って位置を固定出来ないので私的に好きではありません。特に結晶塗装の場合は膜厚でちぢみ具合が変わりますから、通常の艶あり仕上げ以上に本塗りには神経を使います。

そういった事もあって結晶塗装は比較的早い段階で受付が出来なくなる(細かい点を気にすると採算が到底合わない)と思っていた事もあって、そしてつい先日オートサプライヤーさん(塗料屋さん)からこの結晶塗装用の塗料=リンターが廃盤になったとの報告があり、それであればという事で今回を機に結晶塗装の受付を停止させて頂く事としました。

尚、同メーカーから代替品は出るようなのですが、「各樹脂メーカーの代替品を検討してまいりましたが全く同様の模様を出す樹脂は見つかりませんでした」との事なので、メーカーさんがそう言うのであればエンドユーザー(私のような塗装屋)も納得のいく仕上がりには出来なさそうなので、今ご依頼頂いている案件を持って一旦停止とさせて頂こうと思った次第です。ご不便をお掛けして申し訳御座いませんが、何卒ご理解を頂けますようお願い申し上げます。

尚、新しい結晶塗装用の塗料(ニュー焼付リンター)が思いの他良い物という事が判れば(もしくは既存と変わらない代替品が入手できるようであれば)復活する可能性もあるかも知れません。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!