トヨタスマートキーカバー 下地クリアー

 先日透明エポキシレジンでトヨタの極小エンブレムを注封しておいたトヨタスマートキーカバーです。

 他の塗装品と一緒に二回程熱を掛けて完全硬化させておきました。

 カバーの形状が山なりになっている為、注いだエポキシレジンは「中央が低く、両端が高い」という状態になっています。考えてみれば平らじゃなかったんですね。

と言う事なので高い部分をある程度だけ#800で研磨しておきます。無理をしてホワイトパールの部分を削ってしまった場合、恐らくもう立ち直れ無い気がしますので…。

 低い部分にはペーパーが当たらない為、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理をしておきます。汚れが残っていたりしたらそれも問題なので、カバー全体を一皮剥いて丁度良い感じですかね。

 親水状態になって表面に水の膜を貼った状態です。完成のイメージが徐々に見えて来たのでは無いでしょうか。

 カバー全体にクリアーを塗ると反対側のパネルと色違いが発生したり嚙み合わせが悪くなる可能性がある為、クリアーは平面のみ、プレスラインでボカす事にしました。最後の最後には全体にクリアーを塗らなければいけなく、またライン出しはこの一回で終わるとは考えられませんしね。

ちなみにクリアーは透明ですが白い物に塗ると色味(黒さ)が出ます。車の塗装では常識ですが、ドア一枚クリアーだけを塗るとそのパネルだけ黒くなるのでとても気分が悪いのです(普通の方は気づかないかも知れませんが)。

対処方法としては、隣接パネル付近のクリアーは薄目にする(1コートもしくは1.5コート)か、またはクリアーに直接ベースコートの白やフラットナーを入れたりして対応しますが、余り気分の良い物ではありません。ちなみにこれは私的な見解ですが、10:1などの国産アクリルウレタンであればそんなに黒味は出ないので気にしなくてよく、対して外資系のポリウレタンは強く表れると思います(どちらもアクリルポリウレタンではありますが、アクリル寄りか、ポリエステル寄りかと言う事です)。

 クリアーを1コート塗った状態です(実際は既に筆指しも行っています)。

 スプレーだけではクリアーは埋まらないので、筆を使って直接クリアーを垂らしていきます。

ちなみに「筆指し」といっても今時本当の筆を使う事は無く(多分)、画像のような物を使うのが一般的です。ハジキの場合など、極々少量のクリアーをピンポイントで筆指す事が可能です。厚く盛ると熱を入れて磨いた後でも凹みますからね(結果二度焼きと言うとても面倒な事に)。

 スプレーガンでクリアーを塗っては筆指しをするという事を4回程繰り返しました。

ただやはりと言うかカバーの形状が湾曲してしまう為、盛りたい部分からクリアーが流れ出てしまっていきます。

うーん、この状況、どこかで経験したような気が…。

ああ!そう言えばBMWの古いボンネットバッジをレストアした時にもそんな事が!と思い出しました。

後に工程をまとめた施工例にはそんな事は全く書いてありませんが、同じように塗っても塗っても周りにクリアーが落ちてしまっていたので反対にして吊るして中央のクリアーを戻していたのです。

と言う訳で、しっかりクリアーを塗り込んだら最後には天地逆になるように吊るして放置します。

後日クリアーが固まったら再度熱を掛けて完全硬化させ、再びエンブレム周りを研いで平滑化、上手く行けば本塗りに、駄目だった場合はまた同じことを繰り返します。引き続きどうぞもう少々お待ち頂ければと思います。

そして本塗りが完了しているレンズ関係の塗装ですが、本日ある程度撮影も終わっていて、明日には全て紹介~完成のご案内が出来る予定です。発送は週明けになってしまうかも知れませんが、こちらももう少々お待ちくださいませ!