先日よりお預かりしておりました手摺用の土台部分3個と、それらを固定する為のネジ18本です。艶ありの黒でご依頼を頂いておりました。
スクリュービスの方はネジ穴が多少舐めっていて、表面盛り上がった状態になっていた為、
サンドブラスト処理を行いました。右側のビスは未使用品だったのでそのままの状態でブラスト処理を行います。
ブラスト作業完了です。ちなみに表面だけであればサンダー等によるペーパー掛けで良いのですが、使用を考えるとドライバーを挿し込む+の穴の中まで足付け処理を行いたい為、サンドブラストを使用しています。
プライマーを塗布します。こちらはこれで錆びる恐れが無い為、一旦埃の付かない場所に保管しておきます。
手摺の土台部分はプラスチック製で、素材はPA(ポリアミド=ナイロン樹脂)、それに20%グラスファイバーが練り込まれています。
これを先ほどのネジと同じようにサンドブラスト処理してしまうと、表面が毛羽立って素地が荒れ過ぎてしまう為、こちらはペーパーとスコッチブライト、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。
続けてサフェーサーを塗布します(特に記述が無い限りサフェは2液ウレタン、STANDOXのシステムフィラーです)。
その後60℃40分程の熱を掛けてサフェを完全硬化させ、全体にドライコートで黒を塗ります。これは研ぎ忘れを防止する為の「ガイドコート」です。
全体を#600→#800で水研ぎし、最後に当たりの優しい(研磨粒子が均一な)布製の研磨副資材(アシレックス)を使ってペーパー目を均します。
よく脱脂清掃し、素地が露出した個所には再度プラスチックプライマーをスポット的に塗布しておきます。
面積自体は小さいのですが、形がイビツだったり、塗装する面が多面に及ぶ場合にはその分塗装費用も上がる傾向にあります。
その後60℃40分程の熱を掛け、数日寝かしたら完成となります。
クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。
側面は完全な平滑では無く、多少窪んだような形状になっています。裏側を見ると骨のある部分なので、マセラティのリモコンキーカバーと同様、成型時に樹脂の体積が目減りして引っ張られるような感じになるのでは、と思っています。
裏側は見えませんが、固定した時に隙間が空いても素地の色が見えない様、裏まで周り込む様にして塗装しています。
ネジが当たる個所はその圧力と捩じれから塗装が剥がれてしまう事は避けられませんが、間にプラスチック製のワッシャーを入れたり油を塗ったりする事でそれらは軽減出来ます。
ドライバーは実は色々種類があって、物によってはピッタリと嵌るようになる為、その選択を間違えなければ塗装は簡単に剥がれないで締められると思います(以前同じようにしてネジを塗装した物を取り付けた業者さんは、かなりのトルクで締めても塗装は剥がれなかったと御報告頂いております)。
この度のご依頼、誠に有難う御座いました!