BMW R1200R パニアケース 本塗り

先日サーフェサーを塗っておいたBMW R1200R(2015〜)の純正パニアケース蓋です。その後恒温機に入れて60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

最初は固い木の当て板と#600を使ってライン出しをし、その後柔らかい当て板を使って#600→#800でペーパー目を均し、最後に#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使ってペーパー目の均し&全体の足付け処理を行います。

  オーナー様的に見るとサフェの面積が大きく感じるかと思いますが、細かい傷なども含めると、これが必要最低限の範囲となっています。

塗装は小さくやろうとする方が難しく、例えば4輪自動車の場合、ドアに出来たちょっとした傷だけの為に側面全て(フェンダー・フロントドア・リヤドア・クォーターパネルの4パネル)を塗る場合などもあります。ムラが出来やすいフリップフロップ差の強いシルバーメタリックや、ホワイトパール、キャンディーカラーなどの3コート塗装とかですかね。私も当時、フロントバンパーだけの為に、ボンネットと左右フェンダーを塗った事があります。塗装は「多分大丈夫」というのは大抵上手くいかず、結局後から余計に面倒な事になるので、予め大げさ過ぎるくらいの事を想定して作業を行う癖がつきます。

ただしそうなると会社的には赤字になる為、良い仕事を行おうとするのが必ずしも良い従業員という訳では無く、逆に疎まれてしまうようなケースもよく見受けられます。今だと信じられない話ですが、昔休日にアルバイトに行っていた自動車補修の町工場で、塗装するパネルのエンブレム(ベンツのE430とか)が邪魔だったので外したら「タカハタくーん!それ外したら両面テープ貼り直さないと駄目だから!」という事でマスキングで行う(!)という事をやっていました。平日はディーラーの内製工場で塗装をしていたので、毎回そのギャップに驚いていたのを思い出します。

  台にセットして本塗り準備完了です。

艶消し仕上げは磨き処理が出来ないのでかなりデリケートな塗装となり、透過性塗装(スモーク等)の時と同じく、塗装ブース内の壁と床と塗装台を全てスチーム洗浄してあります。余計な時間は掛かりますが、静電気の発生する乾燥したこの時期はこれがとても有効です。

ベースコートを塗布します。

色と艶は「元と同じような感じで」と承っていますので、色見本の中から近似色を探し、BMWの「GRANITSILBER」(カラーコード:237)を採用しています。

そしてクリアーを塗布します。艶消し専用のクリアーで、塗り方としては艶ありと同じくウェットに2コート、ただし垂らしたりフチに溜まったりすると塗り直しになってしまう為、艶ありの場合に比べ7割くらいの力加減で塗っています。

その後時間が経つと艶が消えています。

ドライコートで塗ると表面がザラザラとなり、爪で引っ掻いたりちょっとした事で傷が付き易くなりますが、しっかりウェットで塗る事で表面がツルンとした艶消しに仕上がります。

また乾燥する過程で不均一になると艶具合にムラが発生するので、それも想定してウェットに塗っています。シルバーメタリックを塗装する際、ウェットな状態が長く続くとその中でメタリック粒子が綺麗に並んでくれるのと同じような感じですね。

磨き処理は行いませんので、この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、数日寝かしたら完成となります。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!