ジムニーヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたジムニーJA22のエンジンヘッドカバーです。タイミング的には早いのですが、丁度赤系の結晶塗装を行うので、先行して一緒に作業を行う事にしました。

ただこの場合、アルカリ洗浄槽に浸け置きしておく時間が短くなってしまうので、

今回は超音波洗浄器を使う事にしました。メガネ屋さんの店頭に置いてある物の、強力なタイプですね。

いつも使っている洗浄槽から水を移しても良かったのですが、今回はスピードアップさせたかったので新たにお湯を使って洗浄液を作りました。

ちなみに使っている洗浄剤はこちらの製品です。

その後よく洗い流して乾燥させておきます。

バッフルプレートの隙間を塞ぐようにマスキングを行います。

表側も同様に、バッフルプレート内部に通る道を塞ぎます。

ブラストボックスに入れ、

サンドブラスト(軽め)を行いました。

その後リン酸処理を行い、しっかり洗浄&乾燥させておきます。塗装はとにかく塗装以外の作業が多いですね。

まずは全体にプライマーを塗布します。

続けて結晶塗装を行いたくない箇所に、ベースコートの黒を塗布します。

それが乾いたらマスキングを行い、

結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。リンターは1液の熱硬化型塗料で、この後140℃~170℃程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。マニュアル上では120℃20分なのですが、赤外線ヒーターだと熱の掛かり方にムラが生じるので高め&長めに設定しています(具体的には上から照射すると上面は170℃でも側面は140℃くらいにしかならなく、それ以下になっている箇所もあると想定して高めに設定しています)。

100℃くらいから結晶目が現れてこのようなチヂレ模様になります。

結晶目は熱を掛けるタイミングや環境、膜厚によって大きく変わるのが特徴で、それだけに通常の艶あり仕上げより難しい塗装だと感じています。

色は「鮮やかな赤」となります。

単体で見ると鮮やかなのかくらいのか判り難いのですが、

見本と比べると色相・明度・彩度の違いは良く判ります。

今回は「暗めの赤」と一緒に塗りましたので、並べて撮影もしました。

右が先ほど紹介したジムニーJB23のヘッドカバーで、こちらは日産系の「暗めの赤」となります。今回紹介しているJA22のヘッドカバーはフェラーリ系の「鮮やかな赤」となります。並べてみないと色は本当に判らないです(思い込みが何より怖いです)。

この後は恒温機で二度焼きを行い、さらに数日寝かしたら完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!