今回は比較的最近行った作業の紹介となりますが、ちょっと珍しい内容だったので改めて纏めて紹介させて頂きます。いすゞ117クーペの純正テールランプです。
車としては40年~50年前に製造されていた物で、部品も当時の物となると相当古い物になるかと思います。
まるでワイヤーブラシで擦られたような鋭角で深い傷が至る所に見受けられました。
クリアーレンズ部分にはタバコを押し付けられたような感じでレンズ表面が溶けてしまっています。
周りの金属製の枠は外せないので、先にコンパウンドを使って磨いておきます。
先ほど磨いた枠をマスキングし、レンズ表面を削り落とします。今回はとにかく傷が深いので通常は使わない#320から始めました。
溶けたクリアーレンズには気泡のような巣穴が出来たいたので、ここは透明な接着剤を使って埋めます。
プラスチックプライマーを塗布し、少し大きめにエポキシ接着剤を塗布します。
黒く塗られた枠の部分も傷だらけだったのでここも再塗装を行います。
元々あった深い傷は全て削り落とし、最終的に#800~#1300の目に均してあります。
プラスチックプライマーを塗布し、スモーク塗装を行ったらクリアーを塗って本塗り完了です。
スモーク濃度は控えめに、ただレンズの内側の汚れが見える部分もあるのでそれを目立たなくしています。
塗装時にゴミが付着した場合は磨き処理を行いますが、そうで無い場合はそのまま塗りっ放しの仕上がりとなります。塗装本来の美しさを見て頂きたいですのでワックスの類も一切使っていません。
劣化したレンズ表面を削り落として若干のスモークを入れて色に深みを持たせ、高品位なアクリルポリウレタンクリアー(クリスタルクリアー)で美しい艶具合に仕上がりました。
先ほども紹介したようにワックス等の艶出し剤は使用しておらず、塗膜本来の美しさです。
溶けたレンズ部分も言われなければ気が付かない程の仕上がりになったと思います。
塗装ではクリアーレンズをレッドテールにするような加飾が出来ますが、今回のように古い部品を再生するような事も可能です。どうぞご利用下さいませ。