塗料作成 完了

bilstein 以前キャリパーの塗装をご依頼頂いた方から「タッチペン用の塗料を作成して欲しい」といったご依頼がありましたので紹介させて頂きます(キャリパーはその後も綺麗な状態との事でお褒めのお言葉も頂戴致しました。有難うございます!)。

尚、塗料の作製については、量は少なくてもかなりの金額となりますので(市販の20倍くらいです)、余程の事が無ければお勧めは致しません。これは塗料自体の金額と言うよりも色を作る為の手間となりますので、何卒ご理解頂ければと思います。

bilstein1 今回はGT-Rに装着していたビルシュタインのショックをオーバーホールされたとの事で、その際にはショックケースも再塗装されたとの事なのですが、どうやら組み付けの時に傷が付いてしまっているとの事で、カーショップでタッチペンを探したとの事ですが近い色が見つからず、また今後飛び石傷用などにも使うと言う事で今回のタッチペン用塗料の作成となりました。

bilstein2ちなみに通常のタッチアップ用の塗料は「ベースコート」用の物で作りますので、それだと艶は出ません。

ただ現状ショックケースに塗られた塗装を見ると艶がある(?)感じですので、今回は艶の出る1コートソリッド用の塗料(STANDOX VOC 2Kエナメル)で作る事にしました。

standox_4ちなみにスタンドックスの塗料(を含む殆どの自動車補修用塗料)は、

・ベースコート用

・1コートソリッド用(エナメル)

上記2種類がシステムが用意されています。

上の画像の棚にはその2種類どちらの塗料もセットされていて、ちょっと判り難いのですが、濃い緑色のラベルがベースコート用の塗料で、明るい黄緑色のラベルが2Kエナメルの塗料となります。

ちなみにこの2種類の塗料ですが、例外なものにDUPONTのセンタりという塗料があって、これは「顔料」は一種類で、それに混ぜる樹脂(バインダー)をそれぞれ変えて使い分けると言う特殊なシステムです。保管する塗料は一種類で良いので場所もコストも取らず一見便利そうなのですが、使ってみると色々無理があるのも理解する事が出来ます(一応10年くらいは使いましたので・・・)。

factory-50尚、先ほどの塗料棚は自宅に置いてある物で、こちらの工場にある方はそれの半分くらいのサイズとなります。

これは知り合いの板金塗装屋さんに頂いたミキシングマシーンが予想以上に大きく、だったらという事でその後2Kエナメルは工場に持ってきています。

standox3-1ちなみに塗料を並べている棚は単なる台では無く、モーターと連動して塗料を攪拌出来るようになっていて、塗料の蓋についたプロペラ(=アジテーターカバー)が回り、一度に全ての塗料を攪拌してくれるようになっています。

こちらに資料が無かったので、以前当工場にいらっしゃったアートトイペインターのGUNさんが撮影した動画を紹介したいと思います。なんだか社外記みたいになってしまいすいません・・・(これもれっきとした仕事ですので)。

bilstein3 と言う訳で原色を混ぜて色を作成します。

bilstein4 本来はスプレーガンを使って色板にスプレーして色を見るのですが、今回は「そこまでは」と言う事で簡易的な色の作成となっています。

bilstein5と言う訳で完成です。

ボトルについては現在別件で色々と検討しているのですが、取り敢えず使い勝手の良いタミヤとミスターホビー用の物を使ってみました。中蓋が外蓋に着いているので手を汚さずに使えるのが便利だと思います。

中央のボトルが20ccで希釈無し、左のボトルは10ccで少しシンナーを入れてあります。毎回ボトルを開けて使うと口が汚れて締まり難くなるので、小分けしながら使うと綺麗に長く使えると思います。

右側のボトルの透明な液体はスタンドクスのハードナー(硬化剤)で、主剤に対して50%(タッチペンなら大体で大丈夫です)混ぜて使うと塗膜をしっかり硬化させる事が出来ますが、タッチペンならわざわざ使わなくても大丈夫だとは思います。

尚、主剤と硬化剤を混ぜると固まってしまいますので、使う分だけ少量紙コップなどに移し、それを適当に筆で混ぜて使うのが宜しいかと思います(硬化剤の着いた筆を容器に直接入れないようにして下さいませ!)。

画像には写っていませんが、別途希釈用(と筆も洗える)シンナーもご用意いたします。

容器やラベルなどもう少し検討してちゃんとしたらウェブショップのページでもご案内したいと思います。ただ普通に配合して作るだけの物は扱わない予定ですので(それはどこでもやっていますので)、「どうしても」と言う場合のみご利用頂ければと思います。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!