アルファロメオGTA V6エンジンのエンジンカバーとサージタンクです。
こちらのエンジンカバーは通常のヘッドカバーと違って「飾り」的な物なので、外した状態でも走行は問題ありません。
サージタンクについてはこれが無いと車が走れませんので、予め代替品を入手してそちらを塗装、完成後に整備工場さんなどに持ち込んで交換される方法が宜しいかと存じます。また余った部品はネットオークションなどに出品すれば買った金額と同額程度で売れると思います。
まずはアルカリ洗浄槽に数日間浸け置きし、内部のオイル汚れなどを取り除きます。
通常凸部は塗装後に研磨するのでそのまま塗ってしまうのですが、この部品はフィン部分砂型鋳造されたそのままの仕上げなので、塗装する前にある程度研磨しておきます。 通常は#800で仕上げますが、塗装前なので#80で削っておきます。
その後リン酸を使って化成処理を行い、さらに洗浄した後に十分乾燥させてマスキングを行います。
リン酸処理を行う事でこの後に塗装するプライマーの密着性を高めます。
続けて結晶塗装を行い、140℃~170℃程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
結晶塗装用の塗料は通常の塗装(当店の場合は2液ウレタン系塗料)と違い、1液型の熱硬化性メラミン樹脂塗料となります。
時々「後はエンジンの熱で固まる」といった事項を見かけたりもしますが、それだけの熱では規定の温度までは達せず「生乾き」の状態になってしまいますのでご注意下さいませ。
最初は#120から始めて180#→#240→#320→#400と均し、最後は#800で光らせます。
さらにその後、アルミ素地が露出したところに2液のウレタンクリアーを筆で塗り、この後の腐食の進行を遅らせます。
色は赤と黒が人気ですが、青や黄色、また今回のようにパールを効かせたりする事も可能です。
ただし結晶塗装は原色の種類が限られていて、さらに熱の加わり方次第でムラが生じますので、色の再現性については「大体似た感じ」といった程度でご了承下さいませ。
凸部の研磨には多少エアーツール(サンダー)も使いますが、仕上げは全て手研ぎです。
そうしないと角が丸まってしまい、シャープなエッジに仕上がらないのです。
車体に装着されると見えない裏側なども表同様にしっかりと仕上げています。
塗りが弱いとこの目が細かくなり、また塗り方が悪いと全体がムラになってしまいます。安定して美しい結晶目に仕上げるのは実は結構難しい塗装となります。