ビアンキフレーム 下準備

bianchi5 長らく溶剤槽に漬け込んでおいたビアンキのアルミフレームです。途中何度か出してスクレーパー&ワイヤーブラシで擦っていまして何とかここまでになりました。剥離剤を使えば一発なのですが色々考えると出来るだけあれは使いたく無いんですよね(使った事がある方なら判るかと)。

bianchi6 パイプ状の箇所は傷などもあるのでダブルアクションサンダーにて表面を削りますが、こういった入り組んだ箇所には塗膜が残っていたりするのでこういった箇所はサンドブラストで処理します。

bianchi7 ブラストボックスに入れて準備完了です。蓋を閉めてもかなりホコリっぽいのでマスクは欠かせません。長生きしようとは考えていませんが苦しんでの最期は辛いですからね(塵肺は大変です)。

bianchi68そしてこんな感じにスッキリしました。ワイヤーガイドの中なども処理しておきます。

bianchi8 で、プライマーを塗る前に最初に外しておいたブラインドナットを取り付けておきます。「プライマーの後じゃなくて大丈夫なの?」と思うかも知れませんが、フレームとナットの間にはエポキシ接着剤を充填するので錆びは出ませんから御安心下さい。ちなみにパネルボンドの説明書にも「鋼板に直接」と書いてある筈ですので。

ちなみにピンセットが一緒に写っているのは、最初に外して回収出来なかったブラインドナットの破片3個をチューブの内部で固定する為です。

方法としては穴から少し除いた箇所にエポキシ接着剤を付けて影響が無さそうなところ(水抜き穴から遠い所)に転がして固定させ硬化させてしまいます。グリースを入れると言う手もありますが二度と見る機会は無いですからこの方が確実ですかね。ちなみに最初から判ってやっている事でミスをしている訳ではありませんから御安心ください。ブラインドナット付近の腐食除去を優先させた為です。

bianchi9穴の周りにエポキシ接着剤を塗布したらブラインドナットを打ち込みます。ブラインドナットはアルミとスチールを用意していますが今回はスチールを御選択頂きました。ちなみにアルミとスチールだと電位差の関係上そこに腐食が生じ易いですがちゃんとプライマーや今回のようなエポキシ接着剤が塗られていれば大丈夫です。シーラーでも勿論構いません。何もしないでっていうのだけは避けた方が宜しいかと・・・(まあ私も自分の自転車は気にしませんが。この部分はもう腐食だらけです)。

bianchi10 そして食み出たエポキシ樹脂をシンナーでふき取り、適当なボルトを強く締めこんで空回りしないようであれば完了です。

ちなみにブラインドナットの打ち替えは当然有料になるので、特に問題が起きていなければ打ちかえる必要はありません。カーボンフレームであれば万が一の割れなどを考えるとそんなリスクを負う必要は無いと思いますので・・・。

bianchi11 そして台にセットして全体を脱脂したらプライマー塗布の準備完了です。実際塗るよりもここまでの作業の方が余程時間が掛かっている訳ですが、塗装にはこういった「付帯作業」が必要なので比較的費用は抑えてはあると思います。時々「剥離とプライマーの塗装までやって欲しいのですが」といったお問い合わせがありますが、それだけでは塗装屋の仕事にはなりませんので出来ないのですよ・・・。何卒御理解下さいませ。

bianchi12 そしてプライマーの塗装が完了です。塗装屋としてはようやくこれで一安心と言う感じです。

こういった作業は本来であれば分業で行う方が効率が良いのですが、そもそも当店には私一人しかいませんし(苦)、それだと楽しさが半減してしまうという所でもあります。大変だった下地作業だけをやってあとは誰かに塗られてしまう、しかもその仕上がりが余り良く無いなんて事だったら残念過ぎますよね・・・。結果、何でも一人でやらないと気が済まないと言う事なのです。

せめてデスクワークを無くして現場だけやっていたいんですけどね。これが今後の課題でもあると思います(故の工場引越しと言う事なのです)。