メルセデスW124ヘッドカバー プレート作成

w1242 先週本塗りを終えていましたが焼き付け後の画像が無かったので改めて紹介させて頂きますね。こんな感じで無事結晶塗装本塗り完了しております。

色についてはこの画像で見る限りでは余り黒味が感じられませんが、実際には周りの皆さんが「今回は随分黒いね!」と言うくらいですので御安心下さいませ(今回は「ドス黒い赤」で承っていますので)。

w1243 そしてプラグカバーを被せてみました。やはりこのままだと何かが足り無いですよね。ちょっとのっぺりし過ぎているのです。

と言う事でこのプラグカバーにオーナー様が手配した「切り文字」とプレートの装着~塗装も承っています。

w1244 土台となる細長いプレートはアルミ製で切り文字はステンレス製です。何故かというとレーザーでカットするのはステンレスの方が楽だからですかね。アルミも出来るのかも知れませんが余り聞かないです。

まずは接着面を足付け処理します。ダブルアクションサンダーの上に乗せて指で押し付ける感じですかね。この時点での足付け処理は塗装の為ではなく「接着」の為の作業です。

w1245 切り文字の固定に使うのはエポキシ系の接着剤で、業界では有名な3Mのパネルボンドです。これが出た当時は「そんなんじゃ溶接の変わりにはならないでしょ」と批判も多かったようですが、これによるメリットを考えたら使わない手は無いかと思いますよ。溶接した箇所の後始末が未処理で日に日に錆び朽ちていくのを考えれば・・・ですかね。剥がれてしまうのは脱脂不良とか攪拌不良とか何か理由があったのでは無いでしょうか。

w1246 特に今回のような異種金属の接合?には接着剤は便利です。最近ホンダのフレームでスチールとアルミを溶接(確か摩擦熱で)する技術が採用されていますが、町工場レベルの設備でそれの修復は難しいでしょうから修理はいったいどうするんでしょう・・・(BMWはカーボンフレームを採用するんでしたっけ・・・)。技術の向上は歓迎出来ますが万人向けで無いと消費者も損をしてしまいそうで怖いです。

位置が決まったらこのまま熱を掛けて強制乾燥硬化させます。本当は板でも当てて押し付けたいところですが(確か密着性は圧力に比例する筈ですので)、切り文字が微妙にでもズレたら取り返しがつきませんからこのままの状態で熱を掛けることにします。一旦硬化してしまったこれを非破壊で剥がすのは恐らく不可能かと思いますので・・・。

w1247 エポキシ接着剤は80℃30分くらいで完全硬化するので設備さえあれば比較的早く次の工程にいけます。

続けてサンドブラストを行いますが、これは塗装前の「足付け処理」の為の作業です。切り文字の側面部分(1ミリでしょうか)もちゃんと足付け処理しないと経年で塗装が剥がれてしまったりするのでこの辺の作業は結構大切なのです。

そもそもエンジンヘッドカバーの塗装で「耐熱塗料じゃないと剥がれてしまう」と言うのは塗装屋の見解としてはちょっと間違いで、それ以前に「下地」で何か問題があるのでは?と思うのが最初になります。足付け処理はされているか、適切なプライマーは塗られているか、問題のある塗膜または腐食した素地を残したまま上から塗っていないか、ですかね。それを材料のせいにしてしまってはちょっと可哀想だと思うのです。その前に作業内容で改める所があるのでは・・・ってところですかね。勿論これは私自身にも当てはまる事ですが(苦笑)。

w1248そしてブラスト完了です。これはこれで格好良いですがアルミは腐食し易いですし汚れも付き易いのでこのままと言う訳にはいかないのです。もう少しメディア(=研磨粒子)が細かければ装飾として使えるんでしょうが・・・。

w1249そしてプライマーを塗布しとりあえず下地は完了しました。

色は純正と同様に艶消し黒をベースにし、最後に凸文字の表面を面研して光らせたら完成です。文字の部分はステンレスですから腐食の心配は無いので今回は面研後のクリアー(筆塗り)は行わない予定です。私的にはそのままの方が金属的な質感があって良いと思いますが、あえてクリアーを塗った艶感と言う事でも勿論構いません。ただプライマーを塗らない(塗れない)以上、クリアーは後々剥がれてしまうとは思いますのでそれであれば最初から塗らない方が良いかも知れませんかね。どうぞ御検討下さいませ!