メルセデスベンツW124ヘッドカバー結晶塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたメルセデスベンツW124 E500のエンジンヘッドカバーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はこの様な状態だった物に、

黒の結晶塗装を施しました。

作業の流れとしては、お預かりしてから溶剤槽に浸け置きをして旧塗膜を剥離し、

その後サンドブラストを行って素地調整を行い、

先に裏側に耐蝕性の高いエポキシプライマーを塗って

さらにその後に表側にも同じプライマーを塗って重防錆仕様としています。

また今回はプラグカバーが嵌る箇所や、

タイミングベルトカバーが被さる箇所等には先にベースコートの黒を塗り、

その後マスキングを行って結晶塗装を塗らないようにしています。

尚、使用している結晶塗装用の塗料=焼付型リンターは既に廃盤になっていて、現在は在庫している分でのみの施工となっていますから、

ちゃんと使えるかを事前にテスト塗装を行ってから本塗りに挑んでいます。

一緒にお預かりしていたプラグカバーを取り付けてみました。

確かにカバーパネルは窮屈な感じがするので、パネルが嵌る溝まで結晶塗装を行っていたらこれが入れ難くなっていたと思います。

事前に塗装テストを行ったお陰もあって全体的に均一で適切な膜厚にする事が出来、美しい結晶目が並んでくれたと思います。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ボルトを止めるワッシャーが銅製との事でしたので、穴の周りにも結晶塗装を行わず、ベースコートの黒のみでフラットな仕上がりになるようにしています。

オイルキャップ当たり面は塗装後に凸部を研磨して平滑にしています。

近接画像です。

遠目に見ると結晶塗装は艶消しに見えますが、近くで見るとちゃんと艶があるのが判ると思います。塗膜の表層と内側での伸縮率の違いでチヂミ状の模様が出る仕組みですね。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度の御依頼、誠にありがとう御座いました!


(念のためですが、新規での結晶塗装は現在お受付はしておりません。廃盤が決まった際にお問合せを頂いていた方のみとなっております。)

結晶塗装 受付停止のお知らせ

メルセデスベンツW124ヘッドカバー 本塗り

先日本塗り前のテストを行っておいたメルセデスベンツW124 E500のエンジンヘッドカバーです。

よく脱脂清掃し、エアーブローで埃を飛ばしたら本塗り開始です。

まずは全体にプライマーを塗布します。

既にプライマーは塗ってありましたが、足付け処理の際にアルミ素地が露出してしまっている箇所があるかも知れなく(見た目的にはほぼ大丈夫でしたが念のため)、また直接上塗り=結晶塗装を行うと肌が伸びすぎる恐れがあり、垂れ肌防止の為にも塗っておく事にしました。塗装屋さんなら判ると思いますが、通常の塗装でいきなりトップコート=クリアーを塗るとレベリングし過ぎてしまいますが、それの防止の為に敢えてベースクリアーを塗っておいたりしますよね。なので今回はいつも結晶塗装の前に塗っているプライマーを、それの代わりに塗ってみた次第です(先日のテストピース塗装でも同じようにしています)。

続けて結晶塗装用の塗料=焼付型リンターを塗布します。

塗装内容=塗り方は事前に行ったテスト塗装を参考にし、希釈率を20%、口径1.5ミリのスプレーガンで全体が均一になるよう4コート程を塗り重ねました。

その後120℃程の熱を掛けて焼き付けます。

事前にテストを行った甲斐もあって理想通りの結晶目が並びました。

結晶塗装用の塗料=リンターは保管する期間が長くなるとチヂレ目が発生しなくなる事があり、それが原因で結晶目にムラが生じてしまうのですが、保管方法にかなり気を遣っていたお陰で購入時と遜色無い仕上がりに出来たと思います。

(正直この半年間ずっと心に重く圧し掛かっていて、ようやく健やかに眠れそうです。)

ちなみにリンターを使った事がある方なら判ると思いますが、届いたその日が最も結晶目が出やすい状態になっています。

そこから時間の経過と共に塗料中の樹脂が分離したり酸化して徐々に結晶目が現れ難くなっていくので、

劣化=皮張りが始まる前に容器を小分けし、極力空気(酸素や湿気)に触れる面積を減らし、涼しい場所(理想は冷蔵庫)で保管するようにしています(リンターが廃盤になった時にメーカーの技術者さんと話す機会があり、この方法で間違いないとお墨付きを頂きました)。

ただリンターが廃盤になるとは思ってもいなかったので、殆ど使わない調整用として購入した白などは殆どが廃棄になってしまうかと思います(ちなみに廃棄する塗料は購入した塗料販売店にて有料にて回収して貰えます)。

この後は恒温器で二度焼きを行い、最後にオイル注入口の当たり面を研磨しておきます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

メルセデスベンツW124ヘッドカバー下準備④

先日下準備を行っておいたメルセデスベンツW124 E500のエンジンヘッドカバーです。

以前使っていた結晶塗装用の塗料(焼付型リンター)は既に廃盤になっていて、現在はその前に購入しておいた在庫分で対応していますが、使用期限が切れている(縮れない)場合があるので、念のため本塗り前にテストをしておく事にしました。また次にはNDロードスターのヘッドカバーも控えているのでそれの為でもあります。

お預かりした時にも使用テストを行っていますが、既に半年以上経ってしまっている為、本塗りさながらもう一度確認しておきます。

塗装前の画像が無いのですが、本番と同じように下にはプライマーを塗っています。

その後熱を掛けて結晶目を出しました。

結晶塗装で使う塗料=焼付型リンターはその特性から革張り=保管中の塗料容器の中で空気に触れた表面部分が乾燥して硬い膜ができてしまう傾向にあり、それによって熱を入れてもチヂレ目が発生しない!という事態が頻繁に起こります。

私が行っていた対策としては、一斗缶で届いたら直ぐに1~4キロ程の容器に小分けをし、極力空気に触れる面(機会)を減らすようにしました。

また使った後には容器内に窒素を充填し、塗料の酸化を防ぐようにしています(現在は湿気と反応しないようにとスタンドックスVOCエクストリームプラスのクリアーとハードナーでこれを必須としています)。

今回使った塗料も半年前に採用した物と同じ物で、使用するスプレーガン、シンナー希釈量、コート数なども記録しながら行っています。

ただ使い捨てにするのは勿体なかったので、テストを兼ねつつ趣味の物も塗らせて貰っています。

テストピースの中から良さそうな物を参考に、本番ではさらに微調整を行ってから挑もうと思います。

ちなみにここで良い結果が出られなかった場合には結晶塗装は停止→当初ご希望されていた半艶黒に、NDロードスターのヘッドカバーは返却とする予定でした。現在お預かりしている物は大丈夫そうで一安心です(尚、これまでお問合せを頂いていない事案につきましては引き続き結晶塗装のお受付は停止となっておりますのでご容赦くださいませ)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

メルセデスベンツW124ヘッドカバー下準備③

先日エポキシプライマーサーフェサーと黒を塗っておいたメルセデスベンツW124 E500のエンジンヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させました。

プラグカバーを被せるとこの様な感じで、この部分には結晶塗装を行わないようにします。

またボルト取り付け部も結晶塗装を行わないので、まず通常の和紙タイプのマスキングテープを貼り、

その上に同径のマスキングシート(ポリプロピレン製)を貼り付けます。これが一枚だけだと塗料中の溶剤が着いた際や、熱を掛けて粘着力が弱まった時に端が浮いてしまうのでそれらの予防として行っています。ブレンボキャリパーの塗装時等も全て2重貼りが基本で、まあまあ面倒ですが本塗り中に起こるトラブルを避けられるならやっておいて損は無いかと思います。

マスキングが完了です。

その後、結晶塗装を行う面を足付け処理します。

結晶塗装は素地の粗さを目立たなくするという特徴があるので、多少粗い番手=#320~#500くらいを使っても問題ありません。

指が入り難い細かい箇所はヘラを使ってしっかり当てていきます。

エアーブローで研ぎ粉を飛ばし、しっかり脱脂清掃を行っておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

メルセデスベンツW124ヘッドカバー下準備②

先日裏側にプライマーを塗っておいたメルセデスベンツW124 E500のエンジンヘッドカバーです。

素材はアルミなので通常使うプライマーでも問題無いのですが、

今回はオーナー様の御希望により、耐蝕性の高いエポキシプライマーを使った重防錆仕様となります。

ビスフェノールA型エポキシ樹脂は耐蝕性が高いのが特長ですが一つ弱点があって、

それは耐候性が低いという点となります。

これは漆も同様で、主成分であるウルシオールは非常に強靭で安定した被膜が作れるので1000年以上前の遺跡から当時の漆紙文書が発見されたりするのですが、紫外線はこのウルシオールの分子結合を断ち切ってしまう為、直射日光(紫外線)に当たると急激に劣化してしまいます。

なのでこれの上に耐候性の高い樹脂=上塗りを行う事にって紫外線を遮断し、塗膜全体を強固な物とします。屋外に出しっぱなしの自動車がそう簡単に錆たりしないのは、これら下塗り・中塗り・上塗りがそれぞれの役目を果たしているからですね。

続けて結晶塗装を行わない箇所にベースコートの黒を塗布します。

プラスチックのプラグカバーが被さる箇所と、ボルトが当たる面にも結晶塗装は塗らないようにします。

これらの箇所は事前にオーナー様と打ち合わせをしていますが、数か月前の事となると記憶から殆ど無くなってしまうので、その時に作成したイメージイラストや記事を見ながら作業を行います。

深い溝は中々奥まで塗料が届かないので口径0.5mmのエアーブラシを使って空気の巻き返しを抑えるよう低圧で、ガン距離を近づけて塗るようにしています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!