LOOK695

look 二年前くらいに和歌山県のトライアスロンショップさんより御依頼頂いたLOOKのカーボンフレーム&フォークです。元々は地元?の塗装屋さんに御願いしていたらしいのですが、どうもそちらでは上手くいかなかったらしく、作業途中で引き揚げて当店にやって来られました。

look2フレームとフォークの他にステムやシートポスト、クランクなどの塗装も受けています。通常ここまでとなるとかなりの費用となりますのでお気をつけ下さい。

look1青い部分はマスキングテープが貼ってあって「とりあえずこんなイメージで」的な感じになっています。その他詳細についてはメールで伺っていまして、いつもそうなのですが直接会って打ち合わせをする訳ではありませんので(そう言う形態はお受付しておりません)この辺の擦り合わせ的な作業が一番重要になると思います。それはもう大変です。

look1青い部分は塗装で、オーナー様のショップのURLをこんな感じで「カーボン抜き」にする感じです。

LOOK と言うような事を一つ一つ整理して、まずはこんな感じでイメージイラストを作成します。文章けだとミスが生じる可能性が高くなりますが、こんな風に視覚的に見ることが出来ると直感的に判り易いですから勘違いなどのミスも減りますよね。

look2他の塗装屋さんはどうなのか判りませんが、その場のノリで色とか塗り分けをかを決めるのが怖いので、とにかく資料を集めて出来る事は極力データ化しておきます(ただし「お任せコース」ではコストを下げる為に逆にこういう事はしないようにしています)。

時々「2015年モデルのカラーリングそのままにすると幾らですか?」といったお問い合わせがありますが、開発関係者じゃない限りそれについてのデータなどは持っていませんから普通に考えて出来ないですよね。

look3 クランクについてはクリアーを塗るだけですが、元々ここにあるロゴをフレームにもお揃いで入れるのでそれに近い色を色見本帳から選びます。これであれば次回「あの時と同じ色を」と言われてもそれが可能になるのでとても有効です。車みたいに「補修」がちゃんと商業として成り立っていればこういった色もちゃんと配合データが存在してくれる筈なんですけどね(近代の車で外装色の配合データが無いなんて有り得ません)。

look4 色についてはショップのイメージカラーがPANTONEの色番号で管理されているのですが、これは塗装(顔料)では無く印刷(染料)となりますので実はちょっと違います。STANDOXの場合はこれも配合データが配布されていたりするのですが、これを元に色を作っても全然違う色が出来てしまいます。ただデータが存在するってだけでも凄い事なんですけどね。

look10と言う訳でこれに関しては簡易的な調色で色を作ります。本来はこれもデータとして残したいのですが、そこまでするとかなりの手間なので今回ここコストは削っています。

look3 各ロゴをプリントアウトし、それらを貼ってロゴのサイズや貼り位置をイメージします。

look4各ロゴの縦横比を変える分けにはいきませんので、こうやって実際に貼ってみて幅や長さを確認します。小さ過ぎたら寂しいですし、かといって無理にキツク配置したら変ですしね。この辺は二次元では判らないんですよ。

look5 さらに思わぬところに穴が開いていたりするので、それを避けつつ良い塩梅を見つけます。

look8 各パーツもそれぞれ指定があるのでそれ通りに進めます。仕事がこれだけだったらまだ良いのですが実際はそうもいかないので、とにかく作業内容書を沢山作ってそれ通りに作業を進めます。

look12 そして、マスキングです。

look13 片側だけなら感覚で貼ってしまって構わないと思うのですが、それを両側対象に揃えるとなると作業の難易度はいきなり高くなって、右を貼って左を貼って右を剥がしてとか延々繰り返して左右を揃えていきます。この作業が多分一番難しいですよね。

look14 この頃は知人の自動車板金塗装工場に間借りをしていたので作業用テーブルなどがありませんでしたから、こんな感じでスチール台の上にダンボールを置いて簡易的な作業台にしていました。

look19 そして本塗り開始です。塗装というと単に塗るだけに思えますが、実際は塗る以外の作業の方が結構大変です。出来上がって左右の塗り分けのラインが違っていたりロゴが思ったよりも小さかったなんていうのは誰でも嫌だと思いますが、実際そう言う事に一番時間が掛かっているのです。

look20 水色のベースコートが終わった状態で、たったこれだけの塗り分けですが私にとってはとてつもなく大変な作業でした・・・。

look21 抜き文字の部分のマスキングを剝がし、LOOKのロゴをシルバーに塗ったら全体にクリアーを塗って本塗り完了です。ただ実は他にもボトムブラケットが入る部分やフォークが挿さるヘッドチューブ周り、そしてブラインドナット部を黒に塗っていたりします。

look23 「ここで塗り分けます」って目印があればまだ楽なのですが、曖昧なプレスラインで左右対称にマスキングをするのはかなり難儀です。

look24カーボン素地を活かした塗装の場合、失敗するとまた色(クリアー)剥がしてやり直しになるのでどうしても作業が新調になります。「多少食み出ても気にしませんので」なんて普通は許してくれませんからね(当然です)。

look26 フォークも塗っています。

look28 ステムやシートポストのような小物部品の場合は、塗るよりも買った方が安く済むケースが殆どです。

look6 そして完成です。

look7 仕事に完璧はありませんが、手間と時間が掛かった仕事に関してはやはり感慨深いところがあります。まあせいぜい小物ですけどね(笑)。

look8 普段は見えない裏側って言うのがちょっとお洒落ですよね。

look9 これも裏側ですが逆に目立つでしょう。

look10 クランクとシートポストはクリアー塗装のみです。

look11 こういった小さいロゴについてはさすがに当店では出来ません。デカールでの作製は可能ですが既存のガンメタ?のような色あわせまでは出来ないのです。または一旦シルバーでプリントして単品の状態でスモーク塗装を施しそれを塗膜に接着して平滑に研いでクリアーを塗って一体化-なんて事で出来ないかも知れませんがあり得無い金額ですよ。

nextstage2 そしてその後組みあがった状態の画像を頂きました。

nextstage1ちなみにこういった作業は事前に見積もりで作るだけでも相当な時間が掛かってしまいますので現在はザックリとした御見積もりのみの対応となっております。最初に紹介したようなそれぞれの作業内容を決めてようやく見積もりの詳細を作成するやり方となっております。申し訳御座いませんが何卒ご理解下さいませ。