LOOKカーボンフレーム&フォーク塗装 完成

look153 大変お待たせしました!LOOKのカーボンフレームとカーボンフォーク、遂に本日完成となります。本当に長らくお待たせ致しました・・・!

最初の状態も紹介しますね。

look1最初はこのような状態で、一番上に塗られていたクリアー層が剥がれて来てしまっていたので一応旧塗膜は全部剥がして塗り直す事にしました。

look49カーボン素材の場合は溶剤やサンドブラストが使えないので、チューブの塗膜は手作業で削り落とし、今回外せなかった(外せない訳では無いのですが構造上中に落ちるリベットの破片が回収出来なかった為です)アウター受けなどは周りを養生してその部分のみサンドブラストで塗膜を剥がしました。

密着していなかったクリアー層だけを剥がせればよかったのですが、変な塗膜が少しでも残っていると結局後で悪い影響が出てしまいそうだったので結果的に全剥離としています。

look154 今回手間が掛かったのがこちらのダウンチューブのロゴで、パッと見は黒く見えますが実際はカーボン地が透けて見えるようになっていて、しかも若干スモークを入れてわざとカーボン目が控えめになるようにしています。

ロゴ周りの最初の画像もあるので紹介させて頂きますね。

look168新車時の塗装はマスキング時に生じる激しい段差がありますが、今回の塗装ではその辺も払拭出来ていると思います。

look158そもそも新車時の工程とは違うので(とても手間が掛かってます)、普通あそこまでの段差が付く事はありません。

look156 さらに大変だったのがこのラグ周りの研ぎで、アウター受け(ワイヤーガイド)などの付属品が付いたままでの研ぎ作業ですから、研いだ際の段差やスジが残らないように注意しました。それの確認の為にも一旦クリアーを全体に下塗りしています。

look157カーボン素材で剥離作業を行うと素地が凸凹になりますから、その後の下地処理(サフェ研ぎ)ではペーパーで研いだだけで平滑なラインは出ませんので、全ての面で何かしら当て板(場合によってはヘラ)を使って美しいラインになるようにしています。

look159 またアウター受けやラグの継ぎ目には元々隙間や巣穴のような物が残っていましたが、そういった所も綺麗になるようパテやシーラーを使って仕上げておきました。

look160 チェーンステー上部にあったLOOKのデカールは新たに塗装で再現しています。

look162 それぞれの色は色見本帳から近似色を探し、それぞれ一色ずつ配合データを使って作成しています(赤のみ若干修正しました)。

look161ヘッドチューブに入れたロゴは、先ほどのフルカラーロゴに使われているグレーの色を使っています。シンプルですが落ち着いていて良い感じですよね。

look163今回ベースカラーに採用したロールスロイスのARCTICA(カラーコード:9561001)なる色は少々変わった原色構成となっていて、通常使う白の他に、ソリッドカラーでは一般的には使わないマイクロチタンホワイト(STANDOXのMIX810、DUPONTだとAM3)が大量に入っる為かとても透明感があって、まるで白磁器のような風合いになっています(その代わり隠蔽性も悪く、作業的には下色を塗ってからの3コート塗装みたいに感じになりましたが・・・)。

look164クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」で、ベースカラーの特徴と相まってガラスのような質感を感じられると思います。

look165 ロゴが単なる黒であれば白の上に塗るだけなので、そんなに手間では無かったのですが、今回はカーボン地を活かした「抜き」となっていたので、マスキングの見切りラインを綺麗に仕上げるのも中々大変でした。新車時よりかは綺麗に仕上がっていると思います。

look152 ちなみに蛍光灯下でも撮影は試みたのですが、白が明るくなり過ぎて全く綺麗に撮れませんでした・・・。恐らくはマイクロチタンホワイトのフリップフロップ性のせいかと思います(パールでは無いのですがまるでパールのように光を反射します)。

look167ただこのロゴに関しては各色を綺麗に撮っておきたかったので、最後にもう一度照明の下でそれぞれの色がよく見えるように撮影しておきました。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!また大変長らくお待たせいたしました!

LOOKカーボンフレーム&フォーク 本塗り②

look108 前回の続きで、ベースコートの白を十分乾燥させてテープフリーな状態になったら次は各ロゴの塗装となります。

まずは床に置いても大丈夫なように各部にマスキングテープを貼り、フロントチューブに入れるロゴのマスキングを行ないます。

look29フロントチューブのロゴに関してもこんな感じで事前にプリントアウトした実寸のロゴを使って位置の確認をしています。

look110そしていよいよシートチューブ後方に着くLOOKのフルカラーロゴですね。まずは垂直面出しからです。

look12再現したいのはこのロゴで、純正の場合はクリアー下にデカールが貼ってあるのですが(フォークはクリアー上にシールでした)、今回はこれを塗装で行おうと言う作戦です(大変でした・・・)。

look109 ロゴの横幅は24ミリで、「O」の内側の丸は1ミリちょっとしかありませんから、もうここまで来ると機会でも綺麗に切ってくれません(メーカーの規定値以下なので仕方ないです)。

なので当初は黒い部分はドライプリンターを使った印刷によるデカール作成を考えていたのですが、出来ればデカールの厚みも無くしたかったと言うことで全て塗装で行く事にしました。

小さい丸に関しては沢山カットしてその中から良い物を抽出すると言うワンオブサウザンド方式(笑)で行なう事にしました(いや実際のところとても真面目です)。

look111 ちなみに最初は失敗しました。新車時のデカールもそうでしたが、どうやらセンターを出すのが難しいのです。きっとロゴ自体のデザインが左右対称ではないからでしょうね。

look112 まずは黒から塗ります。

look113 その後順番に升目の色を塗っていき、一旦マスキングを剥がしたら細部を修正していきます。

look114黒いラインは幅が1ミリ以下なのでちょっとしたズレや幅の違いも目立ってしまいます。

look115 と言う事でLOOKのフルカラーロゴ、塗装で完了です。これだけで半日(4時間くらい)を要してしまいましたが(苦笑)。

look116 再び台にセットして、いよいよクリアーの塗装です。

look118クリアーを塗る前に、黒いLOOKのロゴ部分にベースクリアーを塗っておきます。ベースクリアーはその名の通りクリアー(透明)なベースコートで、通常「クリアー」と呼ぶ物は2液性のウレタンクリアーです。

look119 フォークの方は非常にシンプルに白単色となります。既存の塗膜は全て剥がしてからの塗装となっています。

look121 クリアーはダウンチューブのみ3コートで、全体はいつも通り2コートです。

look122 白は隠蔽性が低くどうしても厚膜になってしまうので、「抜き」にした箇所は段差が出来てしまっていますから後でペーパーを掛けて磨くようにします。

look123 とにかく研ぎ難いラグ周りでしたが、一度下塗りを行なって確認しているだけあって美しいラインに出来ていると思います。

look124 この辺も簡単なようですが、研ぎ作業にはかなりの時間を掛けました。

look125 カーボン地スモーク仕様の抜き文字も綺麗なラインに出来ていると思います。

look126 トップチューブのLOOKのロゴのグレーもとても良い感じだと思います。ちなみにこちらはシートチューブ後方に入れたフルカラーロゴに採用しているグレーと同色です。お洒落ですよね。

look127 クリアーはとにかく塗り終わるまでのスピード感が重要なので、塗る順番を予めトレースしてから本番に挑みます。またわざと1コート目と2コート目を違う塗り方にして偏りを無くすような事でバランスを取ったりもします。

look128以前行ったクロモリラグ+カーボンチューブのフレームもそうでしたが、最初の状態に比べて大きな変化が無い場合はその分細部に気を遣います。相当の費用を掛けて頂いておいて、最初の状態よりも品質が落ちたりしたらガッカリですからね。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

LOOKカーボンフレーム&フォーク 本塗り①

look40ようやく諸々の準備が整ったので本塗り開始です。ここまで丁度3か月、予想以上に時間が掛かってしまい大変お待たせ致しました!

look39黒くなっている箇所がダウンチューブで、旧塗膜を全部剥離した上で、カーボン素地を活かす為に「クリアー塗装→完全硬化→研磨」といった工程で下地を作製しています。さらにオーナ様のご要望でカーボンの繊維目を目立たなくさせる為、最後の工程ではスモーク塗装も行っています。ここだけで「研磨→クリアー塗布→完全硬化→研磨」の工程を既に3回行なっています。

look21 各ロゴについては事前にイメージイラストを作製して、サイズや位置などもオーナー様にご確認して頂いています。特に今回はLOOKのロゴを真横から見た時の上下の位置に重点を置いています。

look31さらにプリントアウトした物を実際のフレームに貼り、イメージ通りに出来ているか確認しています。上の画像は実際のフレームの撮影画像とイメージイラストを重ねて見ているところです。

look97そしていよいよ本番です。事前に準備しておいた事を元に、各マスキング位置を決めていきます。

look98実作業になると画面上で見るのとは違い、視点によってズレが生じますから、とにかく真っすぐ貼るだけでも大変です。と言うかそれが一番難しいのではと・・・。

look99 今回のフレームはラグ(チューブパイプ同士をつなぐ部分)の段差があるので、左右のロゴ位置はそれも踏まえて決めています。

こちら側だけを見ると「K」の位置はもっと前方に詰めるべきだと思うのですが、それでは左右のロゴ位置が対象にならないので、先に反対側の「L」の位置を決めてからこちらを合わせています。

look100 左右のロゴを真横から見て同じ高さになっていれば、フレームを上から(実際は下から)見た状態でこのようにロゴが左右対称に見えるようになる筈です。

ただ場合によってはチューブ自体が左右対称で無い事もあるので、そういった時は全体を見て辻褄を合わせていきます(実際そういった事もありました)。

look101 左右「LOOK」のマスキングが出来たらいよいよ本塗り開始です。まずはベースコートですね。

色はロールスロイスのARCTICA(カラーコード:9561001)なる色で、原色の白の他に通常はソリッドカラーではあり得ないマイクロチタンホワイト(STANDOX MIX810、DUPONTだとAM3)が同量くらい入っています)(その他黒も結構入っています。

マイクロチタンホワイト(STANDOXだと色名はエフェクトホワイト)の特性としては、表面で黄色味が出て透かしで青が出ると言う少し変わった顔料で、通常はメタリックかパールに少量使われるだけですが、ここまでの量をしかもソリッドカラーに入れられるのはちょっと普通では無いですよね(勿論供給された配合データ通りで、全く前例が無いという事でもないので品質上の問題はありません)。

look102 途中の画像を取り忘れてしまったのですが、ベースコートの塗り方としてはまずロゴのマスキング周りを避けるように塗布し、無用に膜厚を着けたくは無いマスキング際は、エアーブラシを使って文字の内側から外に塗るようにしてマスキングシートの厚みを庇代わりにして塗っています。

look103 ただそれでも何カ所かはラインにガタが出来てしまっている所があるので、この後はそういった箇所を修正していきます。

look104 マスキングシートは本番用の他に修正用として1枚用意してあって、そこから切り取って修正する箇所に貼っていきます。

look105 修正したい箇所にカットしたマスキングシートを貼り、ピンポイントでスプレーしていきます。

画像だとマスキングシートの厚みを利用して「左から右」の方向にスプレーしますから、色が左方向に色が飛ぶ事はありませんのでマスキングはこれのみで大丈夫です。

look106 こんな感じでガタガタだった箇所が修正できます。

look107ベースコートの段階で付いたゴミはペーパーを使っての中研ぎで除去しますが、その際に出た研ぎ粉などはこういった不織布に粘着物質が付いたタッククロスなどを使って行います。

塗膜に完全に埋まり切っていない毛ホコリなどもこれで軽く擦れば取れたりもして、塗装には必要不可欠な副資材です。

次はフロントチューブのLOOKのロゴと、いよいよフルカラーのLOOKロゴ&クリアー塗装となります。もう少々お待ちくださいませ!

LOOKカーボンフレーム&フォーク 下準備

look88 先日足付け処理を行なったLOOKのカーボンフレームです。

ワイヤーガイド(アウター受け)の隙間が気になったのでここだけ埋めておく事にしました。

look89 一応ああいった部品はいつか外す可能性があるので隙間を埋めるのは接着剤では無く、こういった変性シリコンシーラー(実際は変性シリコーンシーラー)を使います。自動車の塗装で隙間を埋める時に使うアレですね。ちなみにヌルヌルとしたシリコーンシーラーを使うと塗装が確実に剥がれてしまうので絶対にNGです。

look90 隙間に詰めるようにして、

look91 拭き取るとこんな感じです。時間が経って完全に固まってしまうと今度は塗料がくっ付かなくなるので注意が必要です。本塗りを行う当日か、前日の最終って感じですかね。

look92 その他ロゴ位置などを再確認しておきます。この作業は既に以前行っていますが結構時間が空いてしまっているので、本塗り前にもう一度再確認しておきます。本塗り中にアタフタしたくは無いんですよね。

look93シートポストを差し込む箇所はそのままにしておこうと思ったのですが、結局気になったのでここも塗っておく事にしました。白が食み出ているのが気になって気になって・・・。

look94ここはシートポストを固定するバンドが着く箇所なので膜厚を着けるとグニュっとなりますから、ベースコートの黒のみを極薄膜で塗っておきました。もしかしたらバンドの隙間から見えてしまっていたかも知れませんしね。

look95先ほど黒く塗った部分をマスキングし、セッティング完了です。

look96ブース内にはマスキングシートや寸法図、ロゴの配置の参考となるイメージイラストなどを準備しておきます。

既に本塗りは開始していまして、ただ数日に掛けて作業をしていますので続きはまた後日改めて紹介します(とても大変なのです・・・)。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

LOOKカーボンフレーム 下準備

look77体の調子がようやく良くなって来ましたのでいよいよLOOKのカーボンフレーム&フォークの作業を再開しています。

ゴールデンウィーク前から腕が痛くて上がらなかったのですが、原因はどうやら頚椎(首)だったらしく、ギックリ腰ならぬギックリ背中かと思いきや、実はギックリ首だった!と言う事です。先日の鍼治療でようやく回復の兆しが見られるようになりました。

上の画像はゴールデンウィーク前に塗った「下塗りクリアー」で、元々ダウンチューブのみを塗る予定だったのですが、どうせならと言う事でフレームに塗っています。

look81ようやくそれで下地が整ったので、その後ダウンチューブ部分にスモーク塗装を行っています。ここまでがゴールデンウィーク前までの作業ですね。

look85そして全体の足付け処理を行いました。かなり遠回りしていますが、ようやくこれで上塗りをする為の準備が整ったという感じです。もう車のオールペン並みに時間が掛かってしまっているような気が・・・。

look3そして現在はこちらのロゴを入れる為の準備を行なっています。

元々はデカールですが今回はこれを塗装で行う予定で、マスキングシートは既に出来ているので色を用意していました。

look6各色は予めフレームに入っていたデカールとシールから近似色を選んでいますが、実際に色を作ってみたらどうやらグレーの色ブレが強い模様です。

上の画像は最初の頃に確認している時の物で、こうやって見るとRAL9002の色で悪くは無いのですが・・・

look86 ちょっと判り難いのですが、LOOKのロゴシールの下に指で塗ってあるのが先ほどのグレーです。

間違えてその上のRAL9001を作ってしまったのかと思いきやそうでは無く、ちょっとこれは酷過ぎるんじゃ・・・と言う事で改めて違う色を探す事にしました。

look87と言う訳で改めてRAL7035のグレーを採用する事にしました。シールのグレーに比べると黒味が強いですが、今回フレームに塗る白はシールの枠にある白程に白くは無いので、多少グレーの方の黒味を強くしておいた方がハッキリして良いと思った次第です。

それではまた作業進行しましたら紹介しますね。もう少々お待ち下さいませ!