TREK MTBアルミフレーム 下準備

trek9  先週に旧塗膜の剥離が完了していたTREK MADONEのアルミフレームです。全体をシンナーで洗浄し、深い傷があった箇所はポリパテで修正したので、早速プライマー&サフェーサーを塗布しました。

trek10スプレー塗装ではこういった袋状の裏側には塗料がちゃんと入らないので予め筆で塗っておきます。

またワイヤーガイドとチューブ(フレーム本体)とは完全に溶接されている訳では無いので若干隙間が空いていて、ああいった箇所に水(実際はホコリなどと一緒に)が溜まって常に湿度100%みたいな状態になって腐食がし易くなりますから、こういった箇所にもプライマーをよく詰めておきます。

trek11 こんな感じで溢れるくらいプライマーを塗り込み、塗料が乾かないうちにエアーブローしてプライマーを継ぎ目の奥深くまで到達させ、且つ余分な塗膜を取り除きます。

trek12 プライマーは厚く塗り過ぎると逆に悪影響が出るので余分はシンナーとウェスで拭き取っておきます。エアーブローはその為の作業でもある訳ですね。

本来であれば自動車の新車製造ラインみたいに防錆剤(プライマー)を溜めたプールに浸けてしまうのが一番理想的なのですが(所謂カチオン塗装です)、実際の補修の現場ではそうもいきませんので私的にそれをイメージしてこんな風にしています。こういう事は普通習いませんが、塗装屋さんなら皆さん気になりますよね。変性シリコンシーラーを詰め込むと言うのもアリですが、あれ自体に防錆効果はありませんので念のため。

ちなみに実際の新車時のプライマーは以下のような感じになります。宜しければ参考までにどうぞ(とにかく短くて判り易いのを選びました)

車体を回しているのは空気溜まりを作らないよう、ボディの隅々まで満遍なくプライマーを行き渡らせる為です。プライマーは水みたいにシャブシャブなので肌は荒れず、また電気的に膜厚を調整しているので均一で綺麗な下地になります。
自転車のフレームも新車時にこんな風にやってくれていれば内側から錆が出るというのも防げると思うんですけどね(クロモリは結露で内側がやられているのをよく見かけますので・・・)。

trek13 と言う感じでセッティング完了です。

trek14 先ほど筆で塗ったプライマーを、今度はスプレーで塗ります。薄く2コートですかね。

trek15その後は通常の2液ウレタンサフェーサーで、ただこちらも余り肌を荒らしたくは無いので、通常は希釈しないサフェーサー(STANDOXシステムフィラー)に5%程度シンナーを入れ、5コートくらい塗り重ねています。

自動車のような平面パネルであれば機械研ぎ(ダブルアクションサンダー)が使えるのでサフェーサーの肌はそこまで気にしなくても良いのですが、こういった自転車フレームは全て手研ぎになるのでとにかく肌を荒らさないように気をつけています。ヒーターも使わないので1回塗ったサフェは全然乾きませんから(途中で温度を上げると結局肌が荒れるので)、コート間のフラッシュオフタイム(乾燥時間)15分おきと長めにとって最初から最後までは1時間以上掛けてます。

ちょっとマニアックな独り言ですが、もしかしてサフェに2Kエナメルを入れてカラードサフェ仕様にしてしまった方がレベリングが良く肌が綺麗に仕上がるのかも知れませんね。原色何パーセントまで入れて良いのか忘れてしまったのでちょっと調べてみようかと思います。丁度VOC 2Kになる前の廃盤になった2Kエナメル原色が残っているので良い使い方かも知れませんし。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!