先日作業前の準備として土台となる木型を作成していたスーパーセブンのプリプレグカーボン製のボートカバー(トランクカバー)です。
カーボン成型時のウネリは仕方ないにしても、下塗りの段階で出来たと思われる凸凹の肌はある程度均したいので最初にこれを削っておきます。
最初は#320のダブルアクションサンダーで表面の凸凹を平らに削り、その後クッションパッドを間に挟んだ#400のダブルアクションサンダーでペーパー目を均します。
ダブルアクションサンダーで使うペーパーは予め丸くカットされた物で、糊が着いた物やマジックテープタイプの物など色々使い分けます。パッド(ペーパー)の大きさとしては125mm径の物が一般的ですが、場所によっては小さくないと入らない個所もあるので80mm径の物を使ったりもします。
その他シングルサンダーやオービタルサンダー、ギアーアクションサンダー・ベルトサンダーなど、用途によってそれぞれ使い分けるので、大抵は塗装屋(板金屋)一人でも15個~20個くらいは持っているのが普通です。
今回はそうでもないですが、気合を入れて削る場合は粉塵が凄いので、サンダー自体を吸塵機(掃除機)に繋いで使うタイプなどもあります。当店の場合は対象が小物となった事で大掛かりなパテ研ぎ作業が殆ど無くなった事と、塗装ブースの排気装置がそのまま集塵機として使えるのでわざわざ吸塵機用のサンダーを使う事は殆ど無くなりました。
全体を綺麗に掃除し、裏側をマスキングしておきます(本来こちらを先にやっておくべきでした)。
塗装はフチ(とその断面)まで塗りたいので、裏側のマスキングは0.5ミリくらいオフセットして貼っておきます。
その後耐水ペーパーの#600→#800を使って水研ぎをします。
通常の本塗りであれば最初にベースクリアー(1液ベースコートのクリアー)を塗る事もありますが、むしろ下地の様子を見たかったので直接クリアー(2液ウレタン)を塗布します。
下塗りとしてのクリアーを1コート塗った状態で、大きなハジキは少ないですが、やはりと言うか細かい穴が無数に開いてます。
細かい巣穴はその後のクリアー(今回は3コート)で埋まるとして、大きい巣穴は予めコート毎の間にクリアーを筆指しして埋めておきます。
ちなみに「筆指し」と言っても今時本当の筆を使う塗装屋さんは稀で、それ専用の物があります。適量にクリアーが筆指し出来るよう各サイズもあってとても使い易いです。
まず一回目の下塗りはクリアーを3コート塗って終了です。クリアーには軟化剤を5%入れてあります。主剤95:軟化剤:5:硬化剤50:シンナー30といった割合です。
一度に5コート塗る事も可能ですが、そうすると塗膜表面に細かい気孔が出たりと良く無い事が起こるので普通(私)はしません。厚く塗りたい場合は一旦硬化させて研ぎ出してまた塗るという事を繰り返すのが一般的です。
塗膜が少し盛り上がった個所は、クリアーのコート間に筆指しをした個所で、スムースになっているのが判ると思います。
こちらはクリアーを塗り終わった後にクリアーを筆指しした個所で、その差が判ると思います。
今回はさらに下塗りを行うので粗い番手(再び#320~)で研ぐので問題ありませんが、このまま磨いて仕上げる場合は最初のようにクリアーコート間で筆指しをしておいた方が後の作業は楽になります。
よく見ると小さい気孔が無数に開いていますが、恐らくこれは下塗りの時点で垂らしたか、或いは一度に極端に厚塗りしたせいで塗膜に穴が開いてしまった物と思われます。一つ一つは極小さい物なので次の下塗りで埋まってくれると思いますからご安心下さいませ。
既に熱も入れてますので(ウェットカーボンでは無いのでその辺は気を使わなくて安心です)、数日寝かした後にまた研いで下塗りクリアーを行います。
どうぞもう少々お待ちくださいませ!