インプレッサブレーキキャリパー 本塗り

 先日下準備を終え、ブレーキ屋さんに下地処理を御願いしていたインプレッサの純正ブレーキキャリパーが戻って来ました。

 全体を確認しながら必要な個所にはペーパーを当て、脱脂清掃を行います。

続けて天井から吊るした状態で、

 プライマーを塗布します。

 その後車体に固定する個所にベースコートの黒を塗り、十分に乾燥させたらマスキングを行います。「27」は直径が27ミリの事で、円形のマスキングシートは予め20~30ミリのサイズでカットした物を用意していて、その中から丁度良いのを選んで使えるようにしています。

 リヤキャリパーも同様に行います。

 そしてベースコートを塗布します。色は元のリヤキャリパーの純正色を参考に色見本帳から近似色を選び、それよりも若干濃い目のトヨタの1F6を採用しています。

ちなみに今回は変則的な方法で、こちらのフロントキャリパーはこれが本塗りでは無く「下塗り」になります。

 それに対してこちらのリヤキャリパーはこのまま本塗りとなります。結構慌ただしくやっていますので順を追って説明しますね。

 リヤキャリパーのロゴはいつも通りマスキングシートを使って塗装で入れますが、

 フロントキャリパーの方は「凸文字」の天面のみを白にする為、一旦はその周辺も一緒に白で塗って「後で研ぎ出す」と言う方法を行います。

ちなみに白はいつもの白(VWキャンディーホワイト)では無く、元のロゴはかなり暗い感じでしたのでそれに合わせてBMW MINIのライトホワイト(カラーコード:B15)を採用しました。多少グレー寄りの白となります。

 リヤキャリパーは艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。ここから徐々に艶が消えていきます。

 それに対してフロントキャリパーは下塗りの為、こちらは艶消しでは無く通常の「艶あり」のクリアーを使っています。

今回の下塗りでは黒メタリックは塗らず全体を白にしても良かったのですが、後の作業が多少なり楽になればと思い、先に隅々まで黒メタリックを塗っておきました。後で塗る時には凸文字周辺だけで大丈夫なようになります。

そしてこの後クリアーが完全硬化した後、全体を足付け処理して再びベースコートの黒メタリックを塗り、凸文字部分を削ると下から白が出て来て天面のみ白になる、という算段です。また最後には今度は全体に艶消しクリアーを塗ってリヤキャリパーと同様の艶消し仕上げとします。

尚、わざわざクリアーを塗っているのはペーパーを掛けても下地が出ないようにと、またここで艶消しクリアーで塗らないのは「白く濁る」のを避ける為です。

時々「新車で買った自転車のフレームが艶消し黒なので、クリアーだけ塗って艶ありの黒にして欲しい」といったご相談を受けますが、普通は(と言うか私は絶対)しません。艶消しクリアーには体質顔料としてシリカゲルが含まれている為、実際には透明では無く白く濁った色味になるのです。ベースコートは黒でもその上に艶消しクリアーが塗ってあれば、その上にクリアーを塗って艶を出しても「グレーっぽい気持ち悪い黒」になってしまいます。

それ故に調色して合わせた色に上に艶消しクリアーを塗ると色が変わる訳で、艶消しの調色がとてつも無く面倒と言うのはそう言う訳です。毎回艶消しクリアーを塗って熱を掛け硬化させた状態で色を確認しなければなりません。まさに地獄のような作業です。

 リヤキャリパーは艶消しクリアーの為、一時間くらい自然乾燥すると艶が消えていきます。

 同じような画像ですが、反対側の裏面です。

今回は固定場所の都合上ロゴが真下に来ていますのでちょっと撮影がし難いのですが、「ゴミが付き難い」という点では非常に良いのでむしろ良い感じでした。ロゴの白も白過ぎず(明る過ぎず)、落ち着いた感じで良い具合に出来ていると思います。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、リヤキャリパーはそのまま完成で、フロントキャリパーはもう一度塗装します。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!