ポルシェボクスターテールランプ 本塗り

ポルシェボクスターテールランプ 本塗り(枠のみ)

先日、まず枠の部分を塗って全体にクリアーを塗っておいたポルシェ968ボクスターのテールランプです。

レンズ系 透過性塗装 下準備

その後熱を掛け、下塗りしたクリアーを研いで素地調整を行っていました。

 良く脱脂処理し、いよいよ本塗りの準備となります。

クリアーレンズ部の一部を透過性の赤=レッドキャンディーにする為、マスキングを行います。

塗り分けのラインは内部反射板の形状に沿って行う為、足付け処理をしたレンズ面に少量の中性洗剤を混ぜた水を塗り、内部を見やすくしてそれにそってマスキングテープを貼っていきます。

 まずは通常の和紙タイプのマスキングテープで大まかなライン(カクカクした部分)を描き、水を拭いたらそれに沿って3ミリ幅のラインテープを自然なラインになるよう貼っていきます。

 またクリアーレンズと赤レンズの境界線は、レンズ内部の粗が見えて綺麗では無いので、赤いレンズの範囲を2~3ミリくらい上にするよう承っています。簡単そうですが、この後の紹介でかなりの手間が掛かっているのが判るかと思います。

 先ほどまでの作業は前日までに行っておき、ここからが本塗り当日となります。

再び脱脂処理をし、エアーブロー&タッククロスでホコリを飛ばします。

 最初に塗る個所以外の部分をマスキングします。テープの「糊ハジキ」が起きるのが嫌なので被塗面には極力マスキングテープを貼らないよう養生紙を多用しています。

 まずは透過性の赤=レッドキャンディーを塗布します。下地は既にクリアーで覆われているのでプラスチックプライマーを塗る必要はありません。

 マスキングを剥がすと、既存の赤に比べて上の赤の方が黒いのが判ると思います。

最初の下塗り(枠部塗り)でもそうでしたが、今回のポルシェ純正テールランプはクリアーレンズ部に若干のスモークが掛かっている為、その上に透明な赤を塗るとこのようになるのです。

判っていた事ですので問題は無く、ここから上下それぞれの色味が合うよう調整していきます。

最初に塗った上部分をマスキングし、下側にスモークを塗っていきます。

 上側の色味と合わさなけれならない為、1コート毎にマスキングを剥がしてスモークの濃さを調整していきます。画像だと2コート塗った状態で、まだまだ足りないのが判るかと思います。

上下の色味が揃ったらマスキングを剥がします。上は「スモーク&レッド」で、下は「レッド&スモーク」といったところでしょうか。

 が、しかし、マスキングを剥がしてみると、塗り分けた曲線部分が余り美しくない(違和感がある)のが判り、修正する事にしました。内部の反射板にピッタリ合わせたのが逆に良く無かった模様です。

 一緒に塗るとコート数が多い方の赤が濃くなる恐れがあるので、最初に塗るのは塗り足りなかった個所のみを3コート、その後色味を合わせる為に赤を暈して塗ります。

 今度は自然な感じでカーブが繋がりました。

本塗り当日は出来るだけ時間に余裕を持って作業しているので、多少想定外の事が起きてもフォローが出来るようになっていますし、また他に待っている方も居ませんから、そういった点で工場設備を一人で好きに使えるのは良い環境だと思っています。

これでようやく塗り分けが完了です。

テールランプ全体がクリアーのレンズならここまで手間が掛からないのですが、元々赤いレンズ部があるテールランプのデザインを変えようとするのは非常に大変です。

そして最後にレンズ全体に薄くスモークを塗ります。

既に赤いレンズ部分にも薄くスモークは塗っていますから、最後に塗るスモークは残ったクリアーレンズ部を若干黒くする程度で、全体には控えめにしています。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

 それぞれの個所で赤を塗り分けた甲斐もあって、色の違和感は感じられない仕上りになっているかと思います。

縁を一段濃い赤とし、クリアーレンズ部も若干スモークを増やす事で全体のコントラストが増し、引き締まったように見えると思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。磨き処理を行い、さらに数日寝かしたら完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!