VW GOLF R32エアベント&ワイパー 本塗り

 先日お預りしておりましたフォルクスワーゲンゴルフR32のワイパーパーツとエアベントです。

 エアーベントはハニカム構造になっていて、ただしこういった個所も足付け処理をしないと塗装は剥がれますから、

 ヘラに#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)を巻き、一つ一つ研磨していきます。面倒そうに見えますが、昔はもっと不便だったので(シュレッダーに掛けて細切れにしたようなペーパーを使っていました)、むしろ楽で仕方がありません。

 背板があって行き止まりの部分は、ヘラの先端とアシレックスを使って一つずつ足付け処理を行います。

 それだけだと不十分なので、さらにウォッシュコンパウンド(洗浄剤に研磨粒子が入った物)とナイロンブラシを使って処理します。

 丁寧に扱っていたつもりですが、作業中にリング部が外れました。

 元々ホットボンドで点いていた物で、そんなに強度は無かった模様です。

水気を飛ばして乾燥させた後、プラスチックプライマーを塗ってから同じようにホットボンドで、さらに元の状態より強化させておきました。オレフィン系の樹脂(PPやPAなど)は塗装や接着と同じくプラスチック用のプライマーを塗らないと十分な密着性は得られません(そもそもこれらの樹脂は同じ素材を使った溶着ですら非常に困難です)。

 本塗りはクリップで固定して行いますが、その前にこの状態で下塗りを行っておきます。

元々バリが酷く、ただ今回は下地処理(サフェーサーの塗装&研磨)は行わない予定だったのでそのまま塗るつもりでしたが、結局気になったのである程度取り除き、ただしそれでも繊維状になったケバケバが残ったので、

ガスプライマー&プラスチックプライマーを塗って下色の黒を塗り、気になった個所をアシレックススカイ(#500相当)で削り落としていきます。

ラジコンのポリカーボネート製ボディを塗ったことがある方なら判ると思いますが、あれに使う塗料は軟化性のある物が必須で、そうでない塗料で塗ると衝撃を受けた時にパリン!と割れてしまいます。-40℃の世界でバラの花びらを凍らせるとパリンと割れるのと同じですね(実際には違うかも知れませんが…)。

今回はそれの逆で、ネチネチ&ケバケバになった部分を一旦塗装してしまい、多少でも切削性が良くなった状態でペーパーを当てると削れてくれる、と言う寸法です。結果としては何とかなりました。

 ワイパーアームは元々艶消しの黒が塗られていて、一部研磨して素地が露出した個所があるので、この後プラスチックプライマーを塗っておきます。

 ワイパーアームカバーは実はブツブツとしたストラクチャー塗装が施されていて、一回目のベースコートを塗った時点で中研ぎを行いました。

そしてベースコートを塗布します。

 今回はお貸出しした色見本帳からポルシェの「BASALT BLACK」(カラーコード:C9Z)を選んで頂いたのですが、実はこれ、分類的にはLC9Zと同じですので、VWの「ブラックマジックパールエフェクト」と同じ色です。

ただし配合データを見てみるとVWとPORSCHEで同じ配合の物は無く、ですので当初の予定通りポルシェの配合データから色を作りました。中身(配合)は違いますが、VWのボディに合わせても違和感はないかと思います。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 クリアーはクリスタルクリアーとなります。

 スプレーは面に対して垂直が基本ですので、6方向から行いました。

 また裏から塗る事で普通には塗り難い側面も艶々に出来ていると思います。

ワイパーの旧塗膜もチヂレずに仕上がりました(時々そう言う事が起こります)。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!