HONDA CR-Xヘッドカバー 結晶塗装 本塗り

 先日お預りしておりましたホンダバラードCR-X(前記)のヘッドカバーです。アルカリ洗浄槽でオイルを除去した後、溶剤槽に入れて旧塗膜を剥がしていました。

溶剤槽はスプレーガンなどを洗った後の廃棄用シンナーを貯めた物で、剥離剤と違って威力は無い為、どうしてもここに時間は掛かってしまいますが、手を掛けなくても作業が進行している事、また廃棄物がゼロと言う事で私的に気に入っています。

スクレーパーやワイヤーブラシなども使って旧塗膜を除去しました。

塗膜を除去してみると多少腐食が見られましたので、当初の予定通りサンドブラスト処理を行う事にしました。

 全体をブラスト処理しました。

その後リン酸処理を行い、洗浄をし、よく乾かしておきました。

 プラグホールとボルト固定部は元々塗装されていませんでしたが(アルミの素地が露出していました)、腐食防止の為にそちらもサンドブラストを当ててプライマーを塗っています。

  ただしプラグホール部に結晶塗装を行うと、塗膜の厚みでキャップが上手く嵌らなかったりする恐れがある為、その部分には結晶塗装では無く、艶消しの黒(ベースコートの黒)を塗っておきます。これなら薄膜で済むので機能を阻害せず、腐食の心配もなくなります。

またホースパイプ部もメッキが剥がれて腐食気味でしたので同じようにしています。

 その後黒く塗った部分をマスキングします。

 ちなみにこちらは見本としてお預りした同型のもう一個のヘッドカバーで、プラグホール周りは塗装されていませんが、上面のみ塗膜が残っている事から、恐らくこちらは一旦ヘッドカバーを丸々結晶塗装した後に、フライスでプラグホール部分を切削しているのだと思います。日産のS20ヘッドカバーも同じような感じでした。マスキングをするよりも、一緒に削ってしまった方が早い=コストが低く済むからだと思います。

 色を参考にするのは一緒にお預りしたこちらのヘッドカバーで、当初はメタリックが入っているかと思いましたが、剥がれた塗膜片の裏側を見たりもした結果、ソリッドカラーの黄土色っぽい色味だと判断しました。恐らくは自家塗装か何かをされた時にそのメタリックが飛んでついていたのでは、と思われます。

 調色と言う程の事ではありませんが(結晶塗装で色を見るには毎回120℃で焼かないと判らないですし、原色数も限られているのでそこまでの事は出来ません)、元の色を参考に塗料を作りました。

 その後140℃30分くらいの熱を掛け、結晶目が出た状態です。

 マニュアル的には既に焼付け(硬化)は完了しているのですが、このままだとどうも柔らかい感じがするので、この後もう一度今度は恒温器で120℃30分程焼き付けます。

2液ウレタンも必ず熱を入れていますが、そちらは入れなくても(常温でも)固まるには固まるのでして、ただ結晶塗装のような1液の熱硬化型は熱が掛からないと永遠に硬化不良と言う恐れがある為、逆に怖いのです。

 一応第一焼付後に、色見本となる同型ヘッドカバーと並べて色を確認しておきました。

 全く同じと言う訳にはいきませんが、新車当時の状態(汚れる前)をイメージ出来ているかと思います。

この後は「HONDA」の凸文字部分を研磨してアルミ地を光らせ、腐食の進行を遅らせる為にクリアーを筆塗りしてもう一度熱を掛けて硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ち下さいませ!