NISMOドライカーボン製導風板塗装承ってます

 少し前に到着しておりました、ニスモ社のドライカーボン製導風板です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容としては、こちらに日産純正色のホワイトパール(カラーコード:QT1)の艶あり仕上げで承っているのですが、

 今回は一緒にお預かりしたこれらステッカーのロゴを、カーボン地を活かしたクリアー抜き(カーボン抜き)でご依頼を承っております。

同じような内容では、以前ご依頼を頂いたLOOK自転車フレームの画像が判り易いかと思いますのでそちらを紹介させていただきます。

この時はカーボン地をそのまま残しているだけでは無く、敢えてそれが目立たないようスモークも入っています。

 先ほどの自転車フレームと同じように艶々に仕上げるには、まずカーボン素地にある巣穴を埋める作業が必要となります。ぱっと見は綺麗に見えますが、ドライカーボンは穴だらけですので・・・。

 特にこの穴に離型剤が残っているので、一番重要な事としては最初の洗浄です。溶剤での脱脂は勿論、その後ウォッシュコンパウンドや工業用洗剤を使ってワックス分を取り除きます。水を流して完全に親水になったら、クリアーの下塗りを何度か行ってこれらを埋めていきます。

 そしてカーボン地で残す各ロゴについてですが、それぞれのサイズや配置についてもご指定を頂いていますので、まずそれらをデータ化します。

ロゴに関しては既存のステッカーをスキャナーでPCに読み込み、Illustratorなるドロー系のソフトを使ってベクトルデータを作成しますが、本体となる導風板はスキャン出来ないので、紙の上に置いて枠をボールペンでトレースするというアナログ的な作業となります(こういうのも新しいiPad Proに着いているLiDARの機能で正確に3Dスキャン出来るのでしょうか)。

 細部は後にPC上で修正するので、ここはあくまでも大体の形としています。

 そのままだとスキャナーに読み込めないので(A4サイズまでです)、分割して結合する為のラインを引いておきます。

それを基に、2次元の展開図を作成します。それらしく見えるよう、カーボン柄のスウォッチも作ってみました。

 ロゴ用のステッカーはそのままスキャン出来る物は再利用が可能ですが、台紙から剥がせない物(または同系色)は、透明なアクリル板に貼り付けてスキャナーに入れます。

 こんな感じで透明なアクリル板に貼り付け、

 スキャナーで画像を取り込みます。

手書きの画像などであればそのまま自動的にトレースしてくれる機能などもあるのですが、今回のようにカチっとした物でそれは難しい為、手作業でトレースしていきます。

こんな感じで一つずつをトレースしてきます。

こんな感じで全てのロゴをデータ化しました。

それぞれのロゴをご指定の位置に配置し、とりあえず最初のイメージイラストが完成しました。

ここからさらに各ロゴのサイズや位置などをオーナー様のご希望に沿って修正・変更していきます。

またこの後さらに追加でもう一つロゴステッカーが届いておりまして、現在はそれのデータ化を行っているところです。

ちなみにサイズの変更が無ければ元のステッカーをそのままマスキングとして使えるのでは?と思う方がいらっしゃるかも知れませんが、ステッカーのそれと、マスキング用のシートでは素材が違います。カッティングステッカー用のシートは主に塩化ビニル樹脂製で、また糊も「剥がれ難い」材質になっています。

対してマスキング用のシートはPP(ポリプロピレン製)で、使われている糊も適度に剥がれ難くまた剥がれやすい材質となっています。糊残りもし難く、耐溶剤性も高くなっています。

私も当初これを知らず塩ビのシートをマスキングとして使っていたのですが、自動車補修用塗料(ウレタン)だとその溶剤が塩ビシートを侵してしまい、糊が被塗面に残ってしまったり、マスキング際が同化して汚い仕上がりになってしまったりします(どちらも地獄のような状況です)。その後そういった専用のシートがある事を知り、仕上がりを向上させる事が出来ました。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!