ホンダN-VAN メッキフォググリル 本塗り

先日サーフェサーを塗っておいたホンダN-VANのメッキフォググリルです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

ラインが凸凹としていたり面積が大きい場合には#600から始めますが、今回のようにサフェの肌を落とす程度であれば#800から始め、その後~#1500でペーパー目を均し、フチは布状研磨副資材を使って足付け処理を行います。フチに耐水ペーパーを使わないのは腰が強くて簡単に角の下地が出てしまうからで、昔はこういった場面にはスコッチ(繊維状研磨副資材)を使っていましたが、現在はより使い易い布状の研磨副資材(アシレックスレモン)を使うようになっています。皮膚との一体感が良いので切削する際のコントロール性が良いんですよね。

よく脱脂清掃し、ワニクリップで芯棒に固定します。裏側からもスプレーし易いよう隙間を広く取るようにしています。

エアーブローを行い、最終脱脂、さらにエアブローを繰り返したら本塗り準備完了です。

尚、今回のパーツはこちらのプレートに空いた穴に装着される物で、元々塗ってあった艶消し黒の色板と比べてみると、プレートの方に黒味が足りない=グレー色なのが判ります。車の塗装屋さんならよく判ると思いますが、PP=ポリプロピレンの着色樹脂の黒は大抵がこうですね。

なので黒では無く、当店規定の色見本から良さそうな物を選び、

それを参考にして色を作り、洗剤を混ぜた水を塗って艶を出して色味を確認してみます。

上の色板が黒の原色まま(MIX571)に艶消しクリアーを塗った物で、下のオレンジ色が着いた色板が今回作った色となります。

と言う訳でベースコートの黒(グレー)を塗り、

艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

つや消しクリアーも艶ありと同様ウェットに2コート塗っていて、例えばこれをドライコートで塗った方がゴミが着くリスクは減らせるのですが、肌を荒らすと傷の付き易い塗膜になってしまい、プラモデル等の耐久性を考えなくて良い塗装であればそこは気にしなくて良いかも知れませんが、実用品としてはNGです。また同じ様にゴミが着かないよう早く表面を乾かそうとして赤外線ヒーターを当てながら塗ったりすると艶具合にムラが生じるのでこれもNGです(昔の私がそうやっていました…)。メタリックの粒子を綺麗に並ばせるのと同様で、艶消しの場合はそれをシリカゲルに置き換え、ウェットな状態を長く保てるようにするのが重要なのでは、と思う次第です。

その後徐々に艶が消えていきます。

艶消しクリアーは1コート目の塗り方でも仕上がりが大きく変わるので、毎回同じ様に塗るように気を付けて行っています。

あとは本塗りを行う前に十分過ぎる程塗料を攪拌するようにしていて、艶消しにする為の顔料成分(シリカゲル)が、媒体となる樹脂(クリアー)にしっかり分散させる事で安定した艶具合に仕上げられると思っています。車体を塗っていた時には余り気にしなかったのですが、小物を専門にするようになって艶消しクリアーを使う機会が増えてからこれらの事に気が付きました。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

こちらのオーナー様からは他にテールランプとルーフアンテナの塗装も承っておりますので、そちらも進行次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!