ホンダS660カーボンルーフ 本塗り

先日下準備を行っておいたS660 ModuloX VersionZ用の八千代工業社製CFRPルーフハードトップです。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばします。

通常であれば手で持ってこの場所=排気浄化装置の前で塗りますが、比較的大きい物ですので、回転台に乗せて塗装を行うようにします。

まずは透明なベースコート=ベースクリアーを塗布します。今回のようなベタ塗りであれば(ボカシ作業が必要無ければ)そのまま色を塗るのが基本ですが、素地のカーボンを活かした塗装=変則キャンディーカラーの場合はちょっとしたミストムラ(静電気によるムラ)が出るのも防がなければならない為、ボカシ際と同様の方法で行っています。

予め作成した塗料を、さらにベースコート用樹脂(STANDOX MIX599)で希釈し、薄く塗り重ねていきます。

本来なら3コートで済むような塗装を、倍に希釈して6コートに分割して吹きムラを出さないような作戦となります。中研ぎも出来ないので(ペーパー目がそのまま残る恐れがあるので)埃が付かないよういつも以上に気を遣う必要がある為、ストレスで胃が締め付けられる感じです。

ベースコートを重ねながら、予め作成した色見本と見比べてカーボン地の透け具合と色味を確認します。

理想としては色板の4種類ある内の右から二番目で、

ただし色板のカーボンと実際の被塗物(ルーフ)とのカーボンでは色味が違う為、色々な角度や見え方を探りながら良さそうな塩梅を見つけます。

塗りが足りないと赤味(ボルドー)の発色が少なく、逆に塗り過ぎるとカーボン地が見えなくなってしまうので、最後の方はさらに希釈率を上げて(樹脂分の比率を上げて)、ほぼ透明なくらいのコートで微調整を行っています。

ブース内の照明を片側だけ落としたりして色々な環境で見て良い具合になったら、

最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

今回の塗色に使われているパールは赤系が2種、イエロー系が1種、ホワイト系が1種となっていて、パールは光源によってそれの見え方(効き方)が変わりますから、見る角度によってはカーボン目が目立たず、逆に違う方向や環境によってはしっかりカーボン目が確認出来るようになっています。一般的なキャンディーカラーより余程気を遣うので精神的な負担がかなり大きいです。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。磨き作業も行うので少し長めになるかも知れませんが、どうぞもう少々お待ち頂ければと思います!