ホンダS660カーボンルーフ塗装 完成

大変お待たせしました!先日磨き処理を行っておいたS660 ModuloX VersionZ用八千代工業社製CFRPルーフハードトップの塗装、本日完成となります。

最初の状態を紹介します。

元々はカーボン地にクリアー塗装が施されていた物に、

ロールトップのボルドーに似せた色=プジョー「Rouge Lucifer」(カラーコード:EKQ/BL)を、

カーボン地を透かすようにした塗装を施しました。

先ほどまでの画像は脚立に登って撮影したもので、ここからは下に降りた状態で撮影した物となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

裏側はそのままとなります。

2重にマスキングしていたので汚れや擦れなどは一切なく、新品時の綺麗な状態を保っています。

光源を正面に見るとパールに光が反射してカーボン地は目立たなくなりますが、見る方向をズラすとカーボン地が透けて見えるのが判るかと思います。

遠目には赤メタリック(実際にはパール)っぽく見えますが、

 近くによるとカーボン地がはっきりと判るようになっています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!


その後オーナー様より装着後の画像を送って頂きました。

製品が到着した時にご感想を頂いていたのでそちらも紹介させて頂きます。

「カーボン目の絶妙な透け具合が素晴らしく、美しく仕上がっており大満足です。
今後は、同封していただいた注意事項通り、2週間ほど寝かせた後にガラスコーティングを施工いたします。」

「最後になりましたが、無理筋なお願いを快諾していただき、素晴らしい作品を届けていただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました<(_ _)>」

こちらこそこの度は当店を御利用頂きまして有難うございました。またわざわざご報告&画像ありがとうございました!

ホンダS660カーボンルーフ 磨き処理

先日本塗りを終えていたS660 ModuloX VersionZ用の八千代工業社製CFRPルーフハードトップです。さすがにこのサイズだと恒温機(乾燥炉)には入らないので、赤外線ヒーターを使って全体を満遍なく、60℃60分くらいになるようにして熱を掛けました。

ゴミが着いた箇所はペーパーで研磨して均し、その後コンパウンドを使って磨き処理を行っています。画像は最後の超微粒子(ハード2)を行っているところですね。蛍光灯だとバフ目が見え難いので投光器を当てて磨いているところです。

全方向に照明があるブース内だと光がパールに反射して素地のカーボン目が目立ちませんが、

対角にある照明を落として、自然光と同様の一方向からの光にして見ると、

透かし=カーボン素地が見えるようになります。

以前塗ったスーパーセブンのカウルと同じような内容ですが、今回の塗色の方が調整幅が狭く、丁度良い塩梅を見つけるのにかなり神経を使いました。

しかしお陰でかなり丁度良い透け具合に仕上がっているかと思います。

梱包と輸送は塗膜に対してかなりのストレスになるので、発送はあと二週間くらい寝かしてからにしようと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダS660カーボンルーフ 本塗り

先日下準備を行っておいたS660 ModuloX VersionZ用の八千代工業社製CFRPルーフハードトップです。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばします。

通常であれば手で持ってこの場所=排気浄化装置の前で塗りますが、比較的大きい物ですので、回転台に乗せて塗装を行うようにします。

まずは透明なベースコート=ベースクリアーを塗布します。今回のようなベタ塗りであれば(ボカシ作業が必要無ければ)そのまま色を塗るのが基本ですが、素地のカーボンを活かした塗装=変則キャンディーカラーの場合はちょっとしたミストムラ(静電気によるムラ)が出るのも防がなければならない為、ボカシ際と同様の方法で行っています。

予め作成した塗料を、さらにベースコート用樹脂(STANDOX MIX599)で希釈し、薄く塗り重ねていきます。

本来なら3コートで済むような塗装を、倍に希釈して6コートに分割して吹きムラを出さないような作戦となります。中研ぎも出来ないので(ペーパー目がそのまま残る恐れがあるので)埃が付かないよういつも以上に気を遣う必要がある為、ストレスで胃が締め付けられる感じです。

ベースコートを重ねながら、予め作成した色見本と見比べてカーボン地の透け具合と色味を確認します。

理想としては色板の4種類ある内の右から二番目で、

ただし色板のカーボンと実際の被塗物(ルーフ)とのカーボンでは色味が違う為、色々な角度や見え方を探りながら良さそうな塩梅を見つけます。

塗りが足りないと赤味(ボルドー)の発色が少なく、逆に塗り過ぎるとカーボン地が見えなくなってしまうので、最後の方はさらに希釈率を上げて(樹脂分の比率を上げて)、ほぼ透明なくらいのコートで微調整を行っています。

ブース内の照明を片側だけ落としたりして色々な環境で見て良い具合になったら、

最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

今回の塗色に使われているパールは赤系が2種、イエロー系が1種、ホワイト系が1種となっていて、パールは光源によってそれの見え方(効き方)が変わりますから、見る角度によってはカーボン目が目立たず、逆に違う方向や環境によってはしっかりカーボン目が確認出来るようになっています。一般的なキャンディーカラーより余程気を遣うので精神的な負担がかなり大きいです。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。磨き作業も行うので少し長めになるかも知れませんが、どうぞもう少々お待ち頂ければと思います!

ホンダS660カーボンルーフ 下準備

先日色の確認を行っておいたS660 ModuloX VersionZ用の八千代工業社製CFRPルーフハードトップです。受け取った時に中身の確認はしていますが、作業するまでの間に傷等がつかないよう、工場二階に仕舞って保管してありました。

カーボン地の透け具合についてオーナー様にも色をご確認をして頂き、下から二番目(未塗装部を含まず、4段の内の 右から2番目)くらいを予定しています。

ただ色板につかっているカーボンは、今回塗装するルーフとは色(主に明度)が違うので、この辺りも考えて調整するようにします。ちなみに色板にあるブツブツはカーボン素地にある巣穴で、下塗りをしないでそのままクリアーゲルに塗装を行うとこのようになるのが普通です。

保管していた二階から作業を行う一階への移動はエレベーターを使用します。

以前知人の自動車修理工場に間借りしていた時は冷蔵庫やボンネット等の大きい物も対応していましたが、今の工場になってからは「片手で軽々持てる物」というのが基本となっていて(当ウェブサイト内「Q&Aのページ」でも記載しております)、ただ現在の工場になってからも初期の頃には比較的重たいスチール製のロッカーを施工した事がありますが、その後は身体上の問題でこちらも現在はお受付しておりません。まだ今後も25年以上は働かないとならないので、これ以上身体を壊す訳にはいかないんですよね…。

工場一階に移動し、作業を始めます。

まずは裏側をマスキングします。

さらにその上からビニールマスカーを使って覆います。細かい隙間からミストが入り込んだりするのを防止する為ですね。

その後ひっくり返し、表側からウェザーストリップ(ゴム部分)をマスキングします。ゴムを押すと隙間が出来るので、そこにマスキングテープを差し込むような感じですね。

新品でクリアーが塗装された状態なのでそのまま足付け処理だけすれば良さそうですが、

スプレー塗装された肌は多少なり凸凹していて、

またカーボン繊維の凸凹も表面に出ていますから、

被塗面全体を当て板を使って研磨します。番手は#800を使っています。

途中拭き取ると、ペーパーが当たっていない部分の艶が残って見えるので塗膜の表面が凸凹しているのが判ります。これが無くなるまでは当て板を使って研ぎます。

その後#1000~#1500でペーパー目を均し、フチは当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使って足付け処理を行っておきます。

この後は本塗り当日まで埃が付かないよう再びひっくり返して保管しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダS660カーボンルーフ 色確認

先日お預かりしておりましたS660 ModuloX VersionZに取り付け予定の八千代工業社製CFRPルーフハードトップです。

今回はこちらに、現状着いているロールトップのボルドーに似せたような感じに、且つカーボン地を透かした塗装で承っておりまして、まずはそちらの確認を行います。

使用するのは市販のウェットカーボン製の板をカットした物で、これにご指定頂いた色を実際に塗装し、カーボン地の透け具合を確認します。

まずは御指定の塗色、プジョー「Rouge Lucifer」(カラーコード:EKQ/BL)を作成し、それをベースコート用樹脂(STANDOX MIX599)で倍に希釈した物を適当なカーボン板に塗って隠ぺい性を確認します。結果2倍だと簡単にカーボン地が見えなくなってしまうので、この後3倍、さらに4倍=「EKQ:MIX588=1:3」としています。ちなみにこの場合シンナーで希釈するのはNGです(自動車補修塗装屋さんなら当然の事なのですが、模型の塗装だとシンナーで希釈するのが一般的なようなので一応説明しておきました)。希釈に使うのはベースコート用のクリアーのような物で、主にホワイトパールで使う塗料ですね。

本来ならクリアーで下塗りして下地を作っておく必要があるのですが(目に見えないような細かい巣穴が沢山あるので)、今回は色の確認だけなのでそのまま上塗りを行います。

まずは全体に3コート程塗り、

順番にマスキングをしてコート数を重ね、4種類の濃さにしてみました。

意外にもカーボン地が見えなくなるのが早く、ただ下地の黒さは隠ぺいしていないので、オーナー様に選んで頂いた色見本帳に比べると暗めの傾向になります。

その後クリアーを塗り、一日経った状態で色見本と見比べてみました。

色見本と比べると、一番塗り重ねた箇所でも色味が暗いですが、これ以上塗るとカーボン地が見えなくなるので、そのギリギリで止めてあります。

屋外でも確認しました。

カーボン色板で、一番コート数を重ねた塗色=最上段だとカーボン地が殆ど見えませんから、本番では真ん中より下にしようと考えています。

室内の自然光が当たるところでも確認しました。

塗装したルーフがカーボン製だとはっきり判るようにするには一番下か、下から2段目までが良いかと思っております。以前施工したスーパーセブンのグリーンの場合だと、この下から2番目くらいですかね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!