SENNHEISER E945 Microphone Pink

ゼンハイザーE945ボーカルマイクです。

今回のオーナー様は恐らく日本在住の海外の方で、この度開催されるライブに間に合わせたいとの事でお急ぎ=納期指定のオプションで塗装の御依頼を頂きました(施工事例のあるマイクの場合はこちらのオプションに対応可能です)。

御希望の色はこちらのRGB値で表現されたピンクで、何気なく見ると通常の塗料(顔料)で出せそうな色ですが、実際には塗装で再現するには物理的に不可能な色ですから、以前施工したマゼンタ80%のピンクの時と同様、蛍光顔料を使って対応する事にしました。

マイク本体は800番相当の布状研磨副資材で、グリルはそれにナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを併用して足付け処理をしてあります。

まずは下色として、白=MIX570と「鮮明な青赤味」=スカーレット(MIX857)を混ぜて作った物を塗り、元々あった黒を完全隠蔽させます。黒や他の色を混ぜていないので通常顔料としてはこれでもかなり鮮やかなピンクになる筈ですが、これが通常顔料の限界という訳です。

そしてその上に蛍光顔料のピンクを使った色を重ねます。車を塗っていた時は全く使っていなかった顔料で、小物塗装屋になって一応一式揃えていた物ですが、まさか在庫が無くなる日が来るとは思いませんでした(なので今回追加で2つ購入しました)。

蛍光顔料をそのまま使うと派手過ぎるピンクになってしまうので、最初に塗った下色にそれを混ぜるといった使い方にします。

画像の色はオーナー様より頂いた画像=RGBで表現された色で、それに合わせて色を作成します。

作成した蛍光顔料入りのピンクを塗ります。

これ単体で塗ると蛍光色っぽく見えませんが、

通常顔料だけで塗った左側の下色と比べるとその差は歴然です。参考の為にこれはこれで色板としてデータを残しておくようにしています。

画像のピンクとも見比べて、「大体似たような感じであればOKです」との事ですので、この場合は色板への塗装は行わない非調色作業となり、5分程度の簡易的な色の作成となりますので調色費は必要ありません。

色に関しては「画像では無く実際に塗られた色を見てみたい」という場合も対応は可能で、ただしこの場合は「調色費」と「色板作成費」が必要となり、今回の場合だと塗装費よりもそちらの方が金額が高くなります。作業内容としては以前イヤホンを塗った時の記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

その後磨き処理を行い、さらに数日寝かしたら完成です。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

ぱっと見は蛍光色に見えませんが、

通常顔料では出ない色味となります。

ちなみにもっと派手なピンクにする事も可能で、今回はあくまでも御希望される色味に似せて調整しています。

パウダータイプの蛍光顔料は、その顔料特性からどうしても艶引けが生じてしまう為(艶消しクリアーで言うシリカゲル顔料のような感じ)、磨き処理もしくはクリアーの二度塗りが必要となります。

パステルカラーの場合は画像が映えるよう、色見本帳を下に敷いて撮影するのが定番となっています。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!