ジムニーヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたスズキジムニーのヘッドカバーです。その後アルカリ洗浄槽に浸け置きし、リン酸処理を行いました。

本当は他の結晶塗装御依頼品と並行して作業をしたかったのですが、そちらはまだ手が付けられそうも無いので、今回は珍しくこちらのヘッドカバー単体での塗装となりました(ただ一応本塗り前のテストピースとして色見本キーホルダーのパーツを塗っています)。

まずは全体にプライマーを塗布します。

続けて膜厚を着けたくない箇所=プラグホール周りにベースコートの黒を塗布します。大抵はここで一旦昼休憩にします。

それが乾いたらマスキングを行い、

結晶塗装の黒を塗布します。お待たせしました!

結晶塗装はそれ専用の塗料=リンターで、いつも使っている2液性のアクリルポリウレタン樹脂塗料とは違って1液タイプの焼き付け型塗料で、

120℃~の熱を掛ける事で塗膜が硬化(熱重合)します。

その際、塗膜の中と表面で生じる伸縮差を利用してこの様な縮れた模様が生じます。

ちなみに100℃に達しない状態、90℃程度でもこの結晶模様は出るのですが、先に記載したようにこの塗料は熱で硬化する為、一定の温度(マニュアル上だと120℃)を掛けなければ塗膜としては完成しません。硬化剤を入れ忘れたクリアーみたいになってしまう感じですね。

結晶目は主に膜厚によって変わるので、全体が均一になるように塗っています。

赤外線ヒーターで焼く場合はどうしても照射面(上面)の熱が高くなり、一番遠い箇所(側面下側)では放熱して温度が低くなりがちですから、この場合は一番温度が高くなる箇所が170℃くらいにしています。

全体が120℃以上30分程の熱を掛け、ただし熱々の状態だとまだ塗膜が柔らかいので、少し冷えて固まったらマスキングを剥がしておきます。完全に冷えると糊がくっ付いて剥がし難くなる為ですね。

この後は念のため恒温機で120℃30分程の熱を掛けて2度焼きを行います。

ちなみにテスト用に塗った物がこちらのパーツで、

素材がアクリル樹脂なので変形し易いのですが、裏をテープで貼って強制的に当て板に固定する事で反りを防いでいます。それぞれの穴に色相環の12色に塗ったピースを嵌め込み、土台のプレートと組み合わせてキーホルダーにして販売しています。キーホルダーとしては異様に高いのですが(¥7,000を超える物もあります)、作っても直ぐに売り切れてしまい、ただそれでも赤字なので、現在は仕事が終わって自宅に帰ってから制作するようにしています。

色見本キーホルダー 色相環【ミラーキャンディー】完成

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!