自作真空脱泡機(概要)

pomp16 今年は夏休みを返上してこのような真空脱泡器を作成していました。

用途としては注型時に混入した樹脂中の気泡を取り除く為の物で、現在仕事で行っているスマートキーカバーの塗装&トヨタエンブレム埋め込みにこれを使いたかったのです。

pomp 揃えた材料はこんな感じで、作り方についてはネットで自作されている方が多くいらっしゃいましたのでそちらを参考にさせて頂きました。後日こちらでも作り方と使用した材料を紹介しようと思います。

pomp18 仕組みとしては非常に単純で、真空に出来る密封容器を作ってその中に注型する樹脂を入れるだけです。

市販のデジケーターでは2万円くらいの安い物もあるのですが、素材がポリカーボネートなので溶解力の強いポリエステル樹脂などを使えませんから、その点では自作した方が手っ取り早いようです。

pomp17肝となるのがこの真空ポンプで、一般的な油回転真空ポンプだとその辺に油を撒き散らしてしまうので当店のような塗装工場では使えず、今回は油の出ないドライポンプ(中古品)を入手しました。

また真空ポンプのパワーが足りないと真空になる前に樹脂が固まってしまう!と言う事態になりますので、通常は最低でも一分間に100L程度の排出量が求められる所を、今回は235L/minと十分な物を選びました。

ただこのドライポンプがどうやら少々お疲れ気味のようで、いくら頑張っても真空になりません(失敗したかも知れません…)。

pomp24真空になるにはこのメーターが-0.1Mpaの所までならないといけないのですが、MAXで-0.09が限界です。到達速度は十分早いので、調べてみるとどうやら内部のカーボンブレードが消耗しているように思われ、ただこちらは既に馴染みの業者さんにオーバーホールキットの値段も調べて貰っているので、時間が出来た時に分解して自分で交換してみようと思います。

pomp25 と言う訳で既にテストランも済ませています。使うのは少し前に作製した溶けたウサギのシリコーン型です。

pomp26いつものように型に透明ポリエステル樹脂を注ぎ、容器の内部を真空にすると(実際は真空に届いていませんが…)、こんな感じで樹脂の内部に残っていた気泡がまるで水が沸騰するかのようにブクブクと表面に上がって来ます。

pomp27その後弁を開けて空気を入れてあげると、表面に出ていた泡のような気泡が潰れて落ち着いて来ます。樹脂の硬化が早くこのタイミングが遅いと泡が残ったままとなってしまうのでその点に注意ですかね。

pomp28 ちなみにここでも問題が露呈しまいた。現在使っているレジン(透明ポリエステル樹脂)は収縮率が高いので、固まった際に型から剥がれてしまいます。

factory33しかもノンパラ(ノンパラフィン)のせいか表面の硬化が遅くいつまでもベトベトしているので、型から出すと糸を引くは表面に変な皺が出来てしまうはで出来具合としてはとても良くありません。

ちなみにこちらは最初に作った失敗作なので気泡も入ってしまっています。

pomp31こちらが二回目に作った物で、表面のシワは同じ様に出来てしまっていますが気泡は殆ど無い状態で出来ています。

pomp30一緒に作った車型の方もシワは出来てしまっていますが、気泡は全く見られません。

今回使っている透明ポリエステル樹脂は粘度も高く(露店の水飴くらい)、注型に使うには比較的気泡が入り易い樹脂だと思いますが、それでこれなら十分真空ポンプが機能してくれていると思われます。

本番の際には注型専用の粘度の低いエポキシ樹脂を使う予定ですので、次回は艶々テロテロ透明な造形品が出来ると思います。

ちなみに自家製真空脱泡機は信じられないくらい簡単に且つ安く出来ました。ただドライポンプをまともに買うとそれだけで10万円は掛かってしまうので(それ以下は使い物にならないようです)、塗装屋さんでなければ安い油回転ポンプが良いと思います(ただ油の煙が出て床がヌルヌルになるらしいです…)。尚、ダイアフラム型は安いのですが排出スピードが遅くて脱泡用には使い物にはならないようです。

ドライポンプどうしても本体が高くなりがちですが、オーバーホールが上手くいけば値段的な事も解消出来ると思いますので(OHキットは1万円くらいとの事です)、その辺も今後試してみて紹介出来ればと思ってます。

今回の制作工程は後日また改めて紹介したいと思います。使用するニップルの規格さえ間違えなければエアー漏れなどの心配も無く、本当に超簡単に出来てしまうんですよ。

2 thoughts on “自作真空脱泡機(概要)

  1. 仕事で使っていた脱泡器は、真空引きに電動のアスピレーターを使っていました。
    クリア樹脂はエポキシのデブコンETを使っていましたが、硬化時間が非常に長く設定されているので、紙コップ内で撹拌、注型して放置するだけで、全く気泡のない、きれいな造形物が出来ました。ただ、紫外線による(?)劣化はあるようで、数年でかなり黄変しました。

    • 電動アスピレーターとは初めて聞きました。ちょっと調べてみたいと思います。
      クリアレジンはデブコンETは有名ですよね!ただその後クリスタルレジンNeoが出て、こちらもシャブシャブなので気泡が非常に入り難く、またデブコンよりも黄変しにくいとの事でこちらにしました。そろそろ届く筈です。
      ただ300グラムで¥3,000と高額なのがネックで、ただどうせ使うだろうと1.5キロ買っておきました(笑)。
      出来上がったらまた報告しますね。アドバイス有難うございます!

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